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今、ご使用の減圧弁や制御弁の選定はあっていますか?

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このようなお困りごとはありませんか?

・よくハンチングしている
・3年以内に壊れる
・開度が20%以下でよく作動している
・開度が80%以上でよく作動している
・二次側の安全弁がよく吹いている
・ウォーターハンマーがよく起こっている
・電磁弁をつかってON/OFF制御をしている
・安全弁が頻繁に作動する

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これらのお困り事は制御弁の再選定で解決できるかもしれません

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ケーススタディ集はこちらからご覧いただけます


制御弁の作動原理は動画で確認いただけます


蒸気の制御について他にもブログがございます。こちらもぜひご覧ください

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スチームトラップマネジメント 第2回

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蒸気に関するWebマガジン No.89

※こちらの記事はスチームトラップマネジメント第2回です。第1回はこちらからご覧ください。

スチームトラップがドレンを排出するのに重要なことは分かったと思います。しかしスチームトラップはスチームトラップに到達したドレンしか排出できません、なのでドレンが発生してからしっかりとスチームトラップに到達するように配管を設計してあげることが非常に大切です。トラップはある程度なにを使っても許容できる場合がありますが、スチームトラップまでの道のりは確実にしておかないとドレン排出はできません。


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スチームトラップの排出後

ドレンがスチームトラップを出た後はどうなるかご存じですか?圧力次第ではありますがドレンの一部は蒸気になります。この蒸気をフラッシュ蒸気と呼ぶのですが質量では一部でも体積とすると90%以上が蒸気になります。そのためドレン配管は水配管ではなく蒸気配管として設計する必要があります。また既存のドレン主管につなぐ場合には満水の可能性もありますのでウォータハンマ―の可能性もあります。少しでもリスクを低減するためにディフューザを設置し影響を少なくしましょう。

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省エネトラップはどのトラップ?

省エネトラップという言葉を時々聞くことはありませんか?厳密にいうと多少の省エネ性はあるのですがここでの答えは省エネトラップは存在しません。なぜならスチームトラップはドレンを排出するだけです。『ドレンをつくることはしない』=『エネルギーを浪費しない』のでそもそも省エネ性を考えるのは難しいですね。細かな省エネ性に関してはDr Steamの『スチームトラップとして必要な機能』をご覧ください。

ちなみにオリフィストラップやラビリンストラップという種類のトラップがあります。これらは全閉ができないタイプのトラップです。(ISOではトラップには定義されない)これらは常に一定負荷を条件に選定しますので条件によっては蒸気を漏らすことを前提に設計します。なので省エネとは真逆と立ち位置にいるトラップです。もともとメンテナンスができない船で故障しないことを優先として設計されて使用されていたトラップですね。

トラップマネジメントの省エネルギー

省エネトラップは基本的に存在しないといいましたが、トラップマネジメントでは省エネができます。トラップが正常稼働時にはトラップは蒸気を漏らしませんが、故障時は蒸気を漏らします。なのでいかに故障したスチームトラップを早く修理するかがトラップマネジメントの課題です。その上でポイントは2つです。

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❶ 故障の早期発見

定期的なトラップ点検やトラップ故障の自動検知(STAPS)等でなるべく早く発見する。

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❷トラップ交換の早期実施

スチームトラップステーションでは配管の取り外しをする必要がないため5分程度でのトラップ交換が可能です。また遮断弁を二重にしブローダウンバルブを設置することによって、蒸気通気中の交換が可能になるため定期修繕のタイミングまでの蒸気ロスを防ぐことができます。

第3回はスチームトラップの見直しによる制御弁の故障解消のケーススタディをご紹介します!
 

蒸気に関連する用語集

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蒸気に関連する用語を集めました。聞いたことない用語に出会った際にぜひ参考にしてみてください。今後も追加していきます。もっと詳しく説明してほしいという用語がありましたら、ぜひこちらまで。


ア行カ行サ行タ行ナ行ハ行マ行ヤ行ラ行

用語 英語表記 解説

アウトフローヒーター

Outflow heaters

貯湯タンクの側面・下部に設置されたシェルアンドチューブ式熱交換器のこと。タンクから吐出されるオイルを局部的に加熱する

アキュムレーション

Accumulation

保護対象システムの最大許容作動ゲージ圧を越える圧力増加のこと

ウォーターハンマー

Water hammer

ドレンの「かたまり」と障害物の衝撃によっておこる騒音と振動のこと。詳しくはこちらで解説しています

エコノマイザー

Economizer

高温の排煙中のエネルギーを用いてボイラの熱交換率を改善する装置で熱交換器の一種

エンタルピー

Enthalpy

物体が持つエネルギーの総量で単位はkJ(キロジュール)やkcal(キロカロリー)。また単位質量当たりの物体の持つエネルギーは比エンタルピーと呼ばれkJ/kgで表される。工業分野では後者の比エンタルピーが良く利用される。詳しくはこちらで解説しています

エントロピー

Entropy 物体の「乱雑さ」を表す指標。熱量を温度で割ったkJ/K(キロジュール/ケルビン)で表されSという記号が使われる。こちらもエンタルピー同様に単位質量当たりのエントロピーは比エントロピーと呼ばれる

オートクレーブ 

Autoclaves 蒸気を充満する加圧容器で医療機器の滅菌や高温高圧を使用した化学反応(ゴムの加硫など)に使用される機器

オートチューニング

Auto-Tuning 特定の時間オン/オフ制御に切り替える時間中に制御装置がその応答の結果を分析し、自らPID定数を計算して設定する機能

オーバーシュート

Overshoot 加熱時に被加熱物体が目標温度を超えてしまった際の温度超過分のこと

塊状流

Massive flow

蒸気配管の中をドレンが塊になって流れる様。こちらで解説しています

過熱蒸気

Superheated steam 飽和蒸気がより高温の伝熱面にさらされると、その温度が蒸発温度を越えて上昇した蒸気のこと

環状散乱流

Annular scattering flow

湿り飽和蒸気の代表的な流れ。環状流に似ていますが気相に浮遊する水滴状態の水分も含まれている。こちらで解説しています

環状流

Annular flow

蒸気配管の中をドレンが配管壁を伝い環状に流れる様。こちらで解説しています

間接加熱

Indirect heating

熱交換器などを使って間接的に加熱する方法。温水製造における間接加熱をこちらで解説しています

キャビテーション

Cavitation

液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象である。空洞現象ともいわれる。詳しくはこちらで解説しています

キャリーオーバー

Carry-over

ボイラで発生した蒸気に、ボイラ内の水が混ざった状態で運ばれてしまう現象のこと。詳しくはこちらで解説しています

給水

Supply water

ボイラへ供給する水のこと

給水タンク

Water tanks

蒸気ボイラに供給される水を一時的に貯めるタンクのこと

ゲージ圧

Gauge pressure 大気圧を基準点とした圧力単位。ゲージ圧=絶対圧-大気圧(0.1) これは海面での大気圧の平均値。MPaG

顕熱

Sensible heat 温度上昇また温度下降を伴う熱のことをいう。 温度が上昇または下降するときに変化する熱のことを指すもの

差圧

Differential pressure 単純に二つの圧力の差

散乱流

Scattered flow

水分が浮遊する水滴状態の流れで乾き度の高い蒸気の流れ。こちらで解説しています

時間比例方式制御

Time proportional method

蒸気をON-OFFで供給する際に比例周期(標準は20秒)で何秒供給するか決めて制御する方式。こちらで解説しています

ジャケット釜

Jacketed Pans

ステンレスまたは銅製の釜で、食品・飲料業などであらゆる材料の煮沸に使用される。この巨釜は二重釜構造になっておりジャケット部に蒸気を充満させ釜内部の材料を加熱する

蒸気障害

Steam locking

トラップ内が蒸気でロックされドレンが排出できない現象。サイフォン管や封管からドレンを除去する場合に起こりやすい。こちらで解説しています

蒸解

Digesters

化学パルプの製造過程でパルプの原料である木材チップに薬液を加えて高温・高圧で煮て、樹脂(主にリグニン)を溶かすこと

出典:日本製紙グループ 紙の豆知識

水位制御(ボイラ)

Water level control 水位が低下しすぎてボイラ管が水面から露出した場合、ボイラ管が過熱されて破損し爆発を起こす恐れがあるためボイラ内の水位を制御する事

水質処理

Water treatment 水道水はボイラに最適とは言えないため、薬品で処理し不純物を減らすこと

SCADAシステム

SCADA 監視制御データ収集システム(Supervisory control and data acquisition)スキャダと読む

スケール

Scale 配管内に析出する難溶性の物質

ストール

Stall

熱交換器からのドレンの流れが減少または停止する現象。詳しくはこちらで解説しています

スパージパイプ

Sparge pipe 一定の位置(通常は4時と8時の位置)に孔をあけ、タンク内に蒸気を噴出する蒸射管

絶対圧

Absolute Pressure 完全真空を基準点とした圧力単位。すなわち完全真空の圧力が0 bar A = MPaA

セルフチューニング 

Self-Tuning オートチューニングでは試運転時のPID定数を設定するが、それだけでなくプロセスシステムの変化又はアプリケーション状況の変化により必要であればそれを設定し直す機能

剪断ピン

Breaking pin/ shear pin 入口静圧で作動する非再閉圧力逃がし装置で、圧力保持部を支持するピンの負荷部の剪断によって機能する

潜熱

Latent heat 物体が融解・気化のときに吸収し、凝結のときに出す熱

全熱

Total spesific entropy 蒸気が保有している総てのエネルギー。顕熱+潜熱=全熱

ツィーグラー・ニコルズ法 

Ziegler-Nicholls method 周波数応答法限界感度法とも呼ばれる。実際の負荷に対する制御装置の設定を決定するのに非常に有効。安定点に達するための増幅器として制御装置を使用する

伝導

Conduction 個体もしくは静止流体のいずれかの媒体で温度勾配が潠題する場合に起こる熱の伝達のこと

ターンダウン

Turn down ターンタウン比はアプリケーションにおける最大流量と最小流量の比

直接蒸射

Direct steam injection

直接蒸気を噴射して加熱・殺菌する方法。温水製造における直接蒸射をこちらで解説しています

TDS管理

TDS management TDS濃度を正常に保つためにボイラの缶水を一部定期的に排出してTDSを管理する

TDS濃度

TDS concentration 総溶解固形分濃度 TDSとは、Total Dissolved Solids=総溶解固形分のこと

トレーシング/

トレース

Trace heating/Trace

大きい口径のプロセス配管の外面に沿って小径の蒸気管を設置した加熱保温システム。詳しくはこちらで解説しています

ドレン

Condensate

蒸気が放熱して凝縮したもの。ドレンの持っているエネルギーについてこちらで解説しています

2相流

Two-phase flow 配管中を流れる蒸気は気体(蒸気)と液体(ドレン)からなる気液2相の流れ

熱交換器

Heat exchanger

ある媒体から別の媒体への熱伝達を促す機器。くわしくはこちらで解説しています

ノンフロー型アプリケーション 

Non-flow aplication

加熱される製品を容器内に充満させて加熱するバッチ式アプリケーションのこと。貯湯槽やタイヤプレス、ランドリー用タンブラー、加硫装置、オートクレーブなど

バッチ式制御

Batch prosesses

製品を設定温度まで加熱したり、設定温度を一定時間保持する制御。温水製造におけるバッチ式をこちらで解説しています

バランスレスバンプレス

Balanceless Bumpless

自動制御ループの中断(「手動」-「自動」切り替え機能で特定の制御条件において自動制御を必要とする場合がある)を回避する機能。出力信号を一致させる

比エンタルピー

Specific enthalpy

単位質量(1kg)あたりのエンタルピー。kJ/kg。詳しくはこちらで解説しています

比熱

Specific heat

質量1kgの物質の温度を1℃上げるのに必要なエネルギー。水の比熱は4.19kJ/kg℃(0~100℃の場合)

ビルエネルギー管理システム

BEMS (Building and Energy Management System) ベムスと読む

ファウリング

Fouling

伝熱面に蓄積した沈着物によって熱の流れに抵抗が加わって起こる現象

フィルタースチーム

Filter steam

蒸気の純度で分類した際にフィルター(通常5ミクロン)を通した蒸気のこと。こちらで解説しています

フェイルセーフ

Fail-Fafe

故障した際に安全を確保するために機器が行う動作。フェイルオープンとフェイルクローズがある

フォーミング

Foaming

これはボイラ水面の濃度上昇により、蒸気出口とのスペースに泡が生成される現象のこと。詳しくはこちらで解説しています

吹出し圧力

Opening pressure

所定の流量を排出するのに十分なリフトが得られるゲージ圧。設定圧力に吹出し圧力差を加算したものに等しい

吹出し係数

Coefficient of discharge

理論上の吹出し量と実際の吹出し量の比

腐食

Corrosion

配管が金属の場合、隣接する物質(水や空気など)と化学反応を起こし変質し錆などができること

プライミング

Priming 大きな負荷が突然加えられることによって蒸気圧が急激に降下するとボイラ水が配管内に引き込まれ、流れる現象のこと

フラッシュ蒸気

Flash steam

ドレンがより低い圧力の個所に排出された際にドレンの一部が再蒸発してできる蒸気。詳しくはこちらで解説しています

ブリッジ(自動化用語)

Bridges

ネットワーク上のフィールドバスプロトコルとコンピュータとの間をインターフェースするデバイスのこと

フロー型アプリケーション

Flow aplication 加熱される流体がコンスタントに伝熱面を流れている連続式アプリケーションのこと。シェルアンドチューブ式熱交換器、エアヒーター用バッテリーなど

ブローダウン

Blowdown 缶水のPhを維持するために、濃縮された缶水の排出を行うプロセス

プロセス

Process 工程。工場において加熱プロセス、乾燥プロセスのように使われる

プロセスタンク加熱

Process tank heating 液体タンク内に蒸気管を沈めタンクの内容物を設定温度まで加熱する

飽和蒸気

Saturated steam 水と水蒸気のように同じ物質の液体と蒸気が熱平衡にあるときの、その蒸気を飽和蒸気とよぶ

ポッピング圧力

Popping pressure 圧力逃がし弁の増大する入口静圧の値でこの圧力において測定可能なリフトがある、または吹出しが連続的になると視覚、触覚、聴覚によって判断される

水処理

Water treatment 水質処理と同じ

モリエル線図

Mollier diagram 蒸気の比エンタルピーをその比エントロピー(sg)との比較において作図した線図のこと。H-S図とも呼ばれる

溶解固形分

Total dissolved solids ボイラの缶水中にブローダウンで除去できなかった不純物。=TDS

溶存酸素量

Dissolved gases (oxygen) 水に溶けている酸素の量。加熱することによって溶存酸素量は低減する

リフト

Lift ディスクが閉止位置から移動する距離

臨界圧力

Critical Pressure 一般にどんな気体でも、ある温度以下でないと液化しない。この限界の温度を臨界温度といい、その温度で液化させるのに必要な圧力を臨界圧力という

累積背圧

Built-up backpressure 吹出しにより出口側に蓄積されるゲージ圧

レベル制御

Level control

プロセスタンクなどの液体水位の制御。水位制御ともいう

レンジアビリティ

Rangeability

機器の持つ制御可能(流量計測可能)な最大流量と最小流量の比。流量計におけるレンジアビリティをこちらで解説しています。

連続式制御

Continuous control system

需要の有無に関係なく一定出力を保つ制御。温水製造における連続式をこちらで解説しています

連続比例方式制御

Continuous proportional method

蒸気を連続的に供給し加熱量を何%増減するか決めて制御する方式。こちらで解説しています


ア行カ行サ行タ行ナ行ハ行マ行ヤ行ラ行

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制御弁 ケーススタディ

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蒸気に関するWebマガジン No.74

今、ご使用の減圧弁や制御弁の選定はあっていますか?

こんなことがあるならぜひ制御弁のケーススタディをご覧ください。


・よくハンチングしている

・3年以内に壊れる

・開度が20%以下でよく作動している

・開度が80%以上でよく作動している

・二次側の安全弁がよく吹いている

・ウォーターハンマーがよく起こっている

・電磁弁をつかってON/OFF制御をしている


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ケーススタディ集はこちらからご覧いただけます。


制御弁の作動原理


蒸気の制御について他にもブログがございます。こちらもぜひご覧ください。

蒸気の制御

制御のお話し

スチームトラップの選定時に考慮すべきポイント#01ウォーターハンマー

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HR01236_jpg.jpg 蒸気に関するWebマガジン No.16

スチームトラップの選定時に考慮すべきポイント

今回はスチームトラップを選定する際に考えるべきいくつかの重要なポイントは7つあります。

1.ウォーターハンマー

2.汚れ、ストレーナ

3.蒸気障害

4.グループトラッピング

5.ディフューザー

6.真空排出

7.ストール

今回はこの中から『ウォーターハンマー』について解説していきます。

◆ウォーターハンマーの可能性がある場合には

ウォーターハンマーについては、別ページで解説しています。詳しくは『蒸気配管の困った現象#01 ウォーターハンマーとは』をご覧ください。

ウォーターハンマーは次にあげるいくつかの要因によって、引き起こされることがあります。

-配管内の高速蒸気流路からドレンが除去されていない。

-アプリケーションに置いて温度制御が行われていたり、ドレンの回収ラインに立ち上がりがある。あるいはドレンを加圧システムに回収しなければならない。

-冠水、もしくはフラッシュ蒸気の絞り効果による過圧状態のいずれかにより、ドレンが過小サイズの回収ラインに流入できない、もしくはこれらのラインを流れることができない。

ウォーターハンマー_かたまり.jpg

ウォーターハンマーの可能性がある場合には常にかなり丈夫なスチームトラップ、例えばディスク式またはバケット式を取り付けることをお勧めしています。

しかし、現在のスチームトラップは、昔と比べると頑丈で耐用寿命も延び、ウォーターハンマーへの耐性も増しています。既設のシステムにおいて、ウォーターハンマーが原因でスチームトラップが継続的に壊れるようであれば、それは恐らくスチームトラップではなく、システムのレイアウト不具合である可能性が高い考えられます。

この場合の解決策は、十分な調査を実施し、システムの欠点を是正することによって真の問題原因を解消する必要があります。

次回は『2.汚れ、ストレーナ』について解説します。

蒸気配管の困った現象#01ウォーターハンマーとは

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◆人命にも関わることがある、ウォーターハンマー

お盆休み等の工場休止後や新設ラインの始動時など、弁を開けるとカンカン高い音がすることがあります。この正体をご存知ですか?

このカンカン音がなる正体によって、海外では過去に死亡事故も起きています。

◆ウォーターハンマーとは

蒸気がボイラを出るとすぐ、熱を失い始め配管内で凝結が始まります。これは装置が冷えている始動時に特に多くなります。下記の図はドレンの水滴が配管内でどのように形成されるかを示しており、時にドレンの「かたまり」が形成されます。配管に沿って蒸気速度の高速で運ばれていく可能性があります。

ウォーターハンマー_かたまり.jpg

この「かたまり」が配管の曲がった部分や分岐などによって妨げられると、運動エネルギーは圧力エネルギーに急に転換され、量が異物に圧力による衝撃が加えられることになります。

ドレンの「かたまり」と障害物の衝撃によっておこる騒音と振動が、ウォーターハンマーと呼ばれます。

ウォーターハンマーは配管補器類の寿命を著しく縮めてしまう可能性があります。重度なケースだと、ほぼ爆発性の衝撃で継手に割れが生じることがあり、結果的に破損個所では生蒸気が損失し、人体に危険な状況が発生する場合があります。

ドレンは低い箇所に集まるため、ドレンの「かたまり」が蒸気流によって捕獲され、下流のバルブや配管継ぎ手に勢いよくぶつかる場合がある。このような低い箇所には、不適切な配管支持や、本管がたるんだ部分が含まれます。また、考えられるウォーターハンマーのその他の発生源には、同芯レデューサーの使用やストレーナの誤った設置方向の他、蒸気配管の立ち上げ箇所の手間位における不十分なドレン排水などが挙げられます。

ウォーターハンマー_ドレン溜り.jpg

ウォーターハンマーを起こさないようにするためには、配管内のドレンを素早く除去する必要があります。

1.ドレンが溜まらない配管設計・施工

2.スチームトラップの選定

3.始動時に弁をゆっくりとあける

等の対策が有効です。

次回は『蒸気配管の困った現象#02ストールとは」です。

蒸気質の低下原因#02

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Clean_steam_building_13.jpg蒸気に関するWebマガジン No.14

◆キャリーオーバーはボイラのせい?

いいえ、前回『蒸気質の低下原因#01』や動画を見ていただいた方はわかると思いますが、キャリーオーバーはボイラの性能よりも、運転管理に起因することが多いと考えられます。

もちろん、ボイラの水位制御やブローダウン制御が正しく行われることは必須条件です。特に、バッチプロセスが多い設備では、プロセスのスタート時に最大負荷となり、プロセスの最終で最小負荷となるように蒸気が消費されます。

装置の蒸気消費量は時間当たりの平均蒸気負荷で算出されるので、スタート時の最大負荷は蒸気設計に反映されず、ボイラの瞬間的な圧力低下をもたらす要因となります。

また、電磁弁による制御はON になれば、バルブのKv値(Cv値)と前後の差圧から演算される最大流量が流れ、プロセスのスタート・終盤にかかわらず、ボイラ圧力の低下原因となります。

◆運転管理側からできる、キャリーオーバー防止策

運転管理側からできるキャリー・オーバー防止策として、次のような対策があります。

・ 朝の始動時はボイラ圧力が所定の運転圧力まで上昇したのを確認の上、ヘッダーのバルブをゆっくり開けて、ウォーターハンマーと、キャリー・オーバーの発生を防止する!

・ バッチプロセスが多い場合は、スタート時間をずらす等の時間管理を行い、急激な負荷増加が重ならないよう配慮する!

・ ON/OFF 制御を比例制御に変更し、スタートアップ時以外に最大負荷とならない仕組みを構築する!

・ 遮断弁を含め適正なバルブの口径選定により、不必要に過大な蒸気量が流れないよう、蒸気設計の最適化を図る!

このようにボイラの「蒸気質」を決めるのは、ボイラの性能だけでは無く、蒸気の使い方にも起因するということです。


『製品の品質と蒸気の純度』もぜひご覧ください。

次回は『スチームトラップの選定』について解説します。こちらからご覧ください。

蒸気の乾き度

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蒸気に関するWebマガジン No.5

SteamDry Condition_sxs01.jpg

◆飽和蒸気表の蒸気って・・

飽和蒸気表に記されている物性値は、全て乾き度100%の飽和蒸気が保有してる値ってご存知でしたか?

乾き度100%の蒸気は、工場内どこにもありません。飽和蒸気を発生させるボイラ出口の最も高い値でも乾き度99%が上限です。

その後、配管内を流れながら放熱によってさらに乾き度が低下していくので、実際に工場内に存在する蒸気のほとんどが水分を含んでいることになります。

◆蒸気内の水分が曲者!

配管内.jpg

この水分が蒸気配管のウォーターハンマーや配管、配管部材の浸食を促進する原因となって、メンテナンス費用を増加させます。また、湿り蒸気は単位質量あたりのエンタルピーが飽和蒸気より少ないので、同じ生産を行うためにより多くの蒸気を消費することになります。

◆蒸気の乾き度を高く維持するメリット

蒸気の乾き度を高く維持すると、次のような効果があります。

①ウォーターハンマーの軽減

②配管・配管部材の浸食によるトラブル軽減

③蒸気消費量の削減

◆乾き度を高く維持する方法は?

①ボイラ圧力を高く維持し、キャリーオーバーを制限する。

⇒キャリーオーバーとは、ボイラ内部の圧力低下により、ボイラ内水面から水滴が蒸気主管に運ばれていく現象のことです。詳しくは『蒸気質の低下原因』でも解説しています。

②高圧移送、低圧利用により減圧効果による乾き度の改善を有効利用する。

⇒減圧効果とは、減圧弁で減圧する場合に絞り断熱膨張と呼ばれる、減圧による飽和温度が下がっても、ドレンを再蒸発させて乾き度が向上する効果のことです。

③配管口径を正しく選定し、フランジや機器を含めて保温する。

⇒必要な蒸気を運ぶ、適切な配管を選定し、適切な保温を施すことにより、放熱を減らすことができ乾き度を保ちます。

④適切な箇所にスチームトラップを設置し、配管内のドレンを排出する。

⇒スチームトラップにより配管内から素早くドレンを除去することにより、乾き度を保ちます。

⑤セパレーターの設置により浮遊ドレンを配管内から除去する。

⇒スチームトラップで取りきれない蒸気内の浮遊ドレンをセパレーターのバッフル(板)に当てることによって取り除きます。


製品の品質と蒸気の純度』もぜひご覧ください。

次回はスチームトラップについてのお話しです。

スチームトラップとは