温水をつくる-瞬間給湯編- 第3回
蒸気に関するWebマガジン No.66
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熱交換器
ここで熱交換器に求められるものが何かを検討していきましょう。給湯で求められる熱交換器の要素は大きく2つです。負荷変動による熱交換能力の変化がないこと(ターンダウン)と過大選定されないことの2つです。下図に給湯用に使われる代表的な熱交換器を比較してみます。式でいうとU値の変動を抑えるとA値の過大選定をなくすです。
*温度制御は目安で付随する制御方法によって変化します。
総括伝熱係数(U値)の変動を抑える
U値というのは変動します。これは同じ熱交換器であっても、『汚れ』『乱流』『流体』『温度』といったものによって著しく変化してしまいます。熱交換器の選定のポイントとしては、『汚れ』『乱流』による影響をできるだけ少なくして、どの条件下でも一定のU値に整えることが重要です。比較表の『熱交換効率』『圧力損失』『セルフクリーニング』『ターンダウン』『コンパクト性』はすべて、熱交換器内の『乱流』に起因します。乱流等とは熱交換器内部でどれだけ、流れが乱れていてうまく混ざっているかと考えてもらえればわかりやすいかと思います。よく混ざっていれば、熱交換効率がよくなりコンパクトに設計ができ、汚れが付きにくく(セルフクリーニング)、また負荷が変動して流速が下がった際も熱交換効率を維持することできます。その代わりに圧力損失が発生してしまいます。これらはトレードオフの関係にあります。
伝熱面積(A値)の過大選定をなくす
過大選定されないことを熱交換器に当てはめた場合に必要なことはどれだけ細かく設計できるかです。
表では出力の多様性としていますが、要は何kW刻みで設計できるかが重要です。220kWの最大負荷に対して、300kWをこなす熱交換器があった場合には、80kW(36%)分余計に加熱されることが考えられ、こういった余剰の能力は、過熱ぎみに温度制御がふれる可能性を作ってしまいます。もちろん制御でカバーできるところもありますが、制御の幅を制限してしまうことになりますので、過大選定されないに越したことはありません。設計段階では足りないことの方が問題になりますので、設計自体が過大気味になりがちです。そのため、そこから選定する熱交換器ではできるだけ最小限の過大を心がけましょう。
拡張性
また設計条件と運転条件がちがう、もしくは長年の利用で需要が変わってしまうこともよくあります。こういった場合には、出力を増やす、もしくは減らすことができる拡張性もあった方がいいといえるでしょう。
給湯システムにはそれぞれの特性があり、適した設計があります。システムをよく理解し、適したシステムを導入することが重要です。
次回は制御弁についての解説いたします。11月2日公開予定です。こちら