スチームトラップマネジメント 第2回
蒸気に関するWebマガジン No.89
※こちらの記事はスチームトラップマネジメント第2回です。第1回はこちらからご覧ください。
スチームトラップがドレンを排出するのに重要なことは分かったと思います。しかしスチームトラップはスチームトラップに到達したドレンしか排出できません、なのでドレンが発生してからしっかりとスチームトラップに到達するように配管を設計してあげることが非常に大切です。トラップはある程度なにを使っても許容できる場合がありますが、スチームトラップまでの道のりは確実にしておかないとドレン排出はできません。
スチームトラップの排出後
ドレンがスチームトラップを出た後はどうなるかご存じですか?圧力次第ではありますがドレンの一部は蒸気になります。この蒸気をフラッシュ蒸気と呼ぶのですが質量では一部でも体積とすると90%以上が蒸気になります。そのためドレン配管は水配管ではなく蒸気配管として設計する必要があります。また既存のドレン主管につなぐ場合には満水の可能性もありますのでウォータハンマ―の可能性もあります。少しでもリスクを低減するためにディフューザを設置し影響を少なくしましょう。
省エネトラップはどのトラップ?
省エネトラップという言葉を時々聞くことはありませんか?厳密にいうと多少の省エネ性はあるのですがここでの答えは省エネトラップは存在しません。なぜならスチームトラップはドレンを排出するだけです。『ドレンをつくることはしない』=『エネルギーを浪費しない』のでそもそも省エネ性を考えるのは難しいですね。細かな省エネ性に関してはDr Steamの『スチームトラップとして必要な機能』をご覧ください。
ちなみにオリフィストラップやラビリンストラップという種類のトラップがあります。これらは全閉ができないタイプのトラップです。(ISOではトラップには定義されない)これらは常に一定負荷を条件に選定しますので条件によっては蒸気を漏らすことを前提に設計します。なので省エネとは真逆と立ち位置にいるトラップです。もともとメンテナンスができない船で故障しないことを優先として設計されて使用されていたトラップですね。
トラップマネジメントの省エネルギー
省エネトラップは基本的に存在しないといいましたが、トラップマネジメントでは省エネができます。トラップが正常稼働時にはトラップは蒸気を漏らしませんが、故障時は蒸気を漏らします。なのでいかに故障したスチームトラップを早く修理するかがトラップマネジメントの課題です。その上でポイントは2つです。
❶ 故障の早期発見 定期的なトラップ点検やトラップ故障の自動検知(STAPS)等でなるべく早く発見する。 |
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❷トラップ交換の早期実施 スチームトラップステーションでは配管の取り外しをする必要がないため5分程度でのトラップ交換が可能です。また遮断弁を二重にしブローダウンバルブを設置することによって、蒸気通気中の交換が可能になるため定期修繕のタイミングまでの蒸気ロスを防ぐことができます。 |
第3回はスチームトラップの見直しによる制御弁の故障解消のケーススタディをご紹介します!