Why Steam? #01
蒸気に関するWebマガジン No.3
◆なぜ蒸気を使うのでしょう?
蒸気って産業革命時代のエネルギーだと思っている方が多いと思います。でも実は現在の産業でも欠かせないエネルギーです。"なぜ蒸気を使うの?" "ほかのエネルギーじゃだめ?"の疑問にお答えします。
◆蒸気x動力、蒸気x熱エネルギー
『蒸気』と聞いて、まず思い浮かぶのが蒸気機関車だと思います。18世紀以前より蒸気は熱動力として蒸気機関車や蒸気船、機織りなどに使用されてきました。
現在は熱動力としての蒸気は影を潜め、熱エネルギー媒体として様々な産業で使用されています。現在、食品、繊維、化学、医学、電力、および輸送産業等の分野において最新技術に必要不可欠な役割を担っています。
では、なぜ蒸気は発電用タービンから暖房やプロセスに至るまで幅広い産業で使用されているのでしょう?
ポイント1◆効率的で経済的!
水は豊富で環境にやさしく安価です。気体では効率的なエネルギー媒体であり、同じ質量の水に比べ5~6倍のエネルギーを保有できます。最新の高効率ボイラと効率的な熱回収システムを採用することにより、蒸気およびドレンループを全体として経済性を高めることが可能です。
蒸気 | 温水 | 熱媒油 | |
100℃の時の 比エンタルピー | 2,680kJ/kg | 419kJ/kg | 169~293kJ/kg |
コスト | 安価 | 安価 | 高価 |
腐食 | 防止処理が必要 | 少ない | ほとんどない |
火災の危険性 | なし | なし | あり |
ポイント2◆輸送が容易で経済的!
蒸気はラインの圧力低下に従い流れるので、熱の移送のためにポンプを必要としません。高圧で移送すれば比較的小口径で済み、使用ポイントで減圧します。これにより、一般的に蒸気の発生、分配、ドレン回収システムの施工・運用コストは他の熱媒体と比較して割安となります。
蒸気 | 温水 | 熱媒油 | |
動力 | 不要(ボイラ) | 必要 | 必要 |
配管口径 | 小口径 | 中口径 | 大口径 |
ドレンの処理 | 必要 | 不要 | 不要 |
ポイントは6つあります。残り4つについてはWhy Steam?♯02で説明しています。