蒸気の特性
蒸気に関するWebマガジン No.2
◆熱エネルギー媒体としての蒸気の特性
蒸気が産業分野で熱エネルギー媒体や動力として利用されて、はや3世紀が過ぎようとしています。
そもそも蒸気とはどのようなものなのか。こちらで解説しています。
蒸気は蒸気機関等の動力としての顔を持つ一方、多くの理由から、最も広く利用される熱エネルギー媒体として利用されています。今回は、熱エネルギー媒体としての蒸気の特性についてです。
多くのエンジニアの方に質問してみます。
◆熱エネルギー媒体としての蒸気を利用する最も重要な特性(利点)は?
多くの方から、「安全性」、「コストが安い」、「水は安価で豊富な資源だから」という答えを耳にします。
でも、それだと温水も同じ特性を持っています。
蒸気の物理的な特性は、「保有熱量が大きい」や「熱貫流率が大きい」ところにあります。
では、実際に生産で蒸気を使用されている方々は、そんな難しい物理特性の利点を評価して使っているのでしょうか?
◆熱エネルギー媒体の比較
蒸気 | 温水 | 熱媒油 | |
100℃の時の比エンタルピー | 2,680kJ/kg | 419kJ/kg | 169~293kJ/kg |
動力 | 不要(ボイラ) | 必要 | 必要 |
熱伝達率 | ◎ | 〇 | △ |
◆蒸気を利用する最も重要な特性(利点)は。
蒸気は製品の生産に必要とする最適な温度を安定的に供給できる熱源です。
言い換えれば、蒸気は圧力を一定に維持さえすれば、エネルギーを失っても、一定の温度で製品を加熱できる熱エネルギー媒体なのです。
製造プロセスで考えれば、蒸気を熱源として使用することにより、製品に最適な加熱条件を安定的に提供することができるのです。
このような品質管理において、重要な熱エネルギー媒体としての条件が蒸気では簡単に得られるのに比べて、温水熱源では絶対に不可能なことです。
次回はなぜ蒸気を使うのかについて解説いたします。