蒸気とは
蒸気に関するWebマガジン No.1
◆そもそも蒸気って、何?
蒸気と聞いて、多くの人が、やかんから吹き出す白い湯気を思い浮かべると思います。液体が蒸発、固体が昇華することによって気体となったものが蒸気で、主に水蒸気のことを指します。
◆産業用流体としての蒸気って?
蒸気は、様々な産業においてガスや電気と同じように、動力源、加熱源として使用されています。(動力源/加熱源についてはWhySteam?にて解説しています)
産業用流体としての蒸気は白い湯気ではありません。産業用流体としての蒸気は無色透明です。
左図では、蒸気スペースに充満しているのが蒸気です。これを『飽和蒸気』と呼びます。
やかんから吹き出して白く見える蒸気は、すでに凝縮中の蒸気で、『湿り蒸気』(水分を含んだ蒸気)と呼びます。飽和蒸気をさらに加熱させた『過熱蒸気』も使用されています。
◆蒸気の発生
小学生の理科で学んだ『飽和点』は覚えていますか?
水に熱エネルギーが加えられると、水の温度は上昇し、これ以上は水が液体として存在しえない値まで到達します。この値が『飽和点』で、飽和点を超えてエネルギーが加えられると、水の一部は沸騰し蒸発します。
◆蒸気と圧力の関係
蒸気は圧力によって温度が決まっています。これは全世界共通です。例えば、現在私たちが暮らしている大気圧(0.0MPaG)のもとでは、水の飽和点は100℃で、水は蒸気に変わります。つまり蒸気の温度は100℃です。
◆蒸気設備に温度計がない?
産業用流体としての蒸気は、圧力を管理することによって温度を管理します。0.7MPaGの時、蒸気は169.78℃です。蒸気設備を見ている方はご存じと思いますが、基本的に設備には圧力計しかありません。温度計は必要ないのです。
産業用流体としての蒸気は、蒸気ボイラで生成されます。蒸気ボイラは都市ガスまたは重油を燃料とし、水に圧力をかけ加温し、多くの設備では0.8MPaA=約170℃の蒸気を生成します。この蒸気を蒸気主管に流し、各プロセスで減圧して使用します。
注:MPaG:ゲージ圧、MPaA:絶対圧
◆圧力と比体積の関係
水は蒸気になる際に体積が約1700倍にも膨れ上がります。(大気圧0.0MPagの場合)
蒸気は圧力によって比体積が変わります。圧力がかかることによって、大きくなった比体積は再度小さくなっていきます。つまり、蒸気配管は水配管より大きくなければいけないが、高圧移送することによって配管は小さくできる、ということになります。
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次回は蒸気の特性について説明します。