スチームトラップの種類-機械式
蒸気に関するWebマガジン No.121
スチームトラップの基本的な目的はドレンを排出し、蒸気は漏らさない事です。
スチームトラップ内部に他の動力はなくなぜ排出できるのか?それは蒸気配管側や装置の圧力と、スチームトラップ二次側のドレン配管の圧力との差、差圧を使用しているからです。
そのためスチームトラップ二次側配管が立ち上がっていても、蒸気側の圧力が十分にあればドレンを排出することが可能です。
スチームトラップの種類
スチームトラップは温調式、機械式、熱力学式の3つに分けられます。
用途別スチームトラップチャート
今回はこの中の機械式スチームトラップの動作、メリット/デメリットについて解説します。
機械式スチームトラップ
機械式スチームトラップは、蒸気とドレンの密度差を感知することで動作します。
ボールフロート式 | 逆バケット式 |
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ボールフロート式では、ドレンが存在するとボールが上がり、バルブが開いて高密度のドレンを通過させます。古いタイプのボールフロート式では、手動式の空気抜きが行われていたが、現代のスチームトラップでは温調式のエアベントが使用され、初期空気を通過させながら、スチームトラップでドレン排出にも対応することができます。 | 逆バケット式は、蒸気がスチームトラップに到達すると、さかさまになったバケットが浮き上がり上昇して、バルブを閉じます。バケットの上部にはベント穴が開いており、これは蒸気と空気を排出させる上で必要不可欠です。 |
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フロート式の作動
メリット | デメリット |
蒸気温度のドレンを連続排出できる 大小のドレン負荷にも等しく対応することができ、広範囲にわたる急激な圧力や流量変動に影響されない 口径に比べて大容量 ウォーターハンマーへの耐性が高い 空気障害解消装置付きが選べる |
凍結による破損の可能性がある 多様な圧力範囲で動作させるためには、異なる内部部品が必要となる。高差圧で動作させる場合、オリフィスを小さくしフロートの浮力とのバランスを維持する必要がある |
バケット式の作動
メリット | デメリット |
高圧に耐えられる ウォーターハンマーへの耐性が高い 入口に逆止弁を追加すれば過熱蒸気ラインにも使用可能 故障時には通常開。従って例えばタービンからの排出など、この機能を必要とする用途に置いては安全性の向上となる |
バケット最上部の穴径が小さいため、空気を極めて緩慢にしか排出できない 凍結による破損の可能性がある 圧力変動が予想されるラインには逆止弁が必要 バケット下部に水封が必要。水封が失われると無駄に蒸気が排出されてしまう可能性がある |
その他のスチームトラップの作動
機械式と熱力学式については下記ページにて順次解説いたします。ぜひこちらもご覧ください。
カタログはこちらをご覧ください。