蒸気に関するWebマガジン|スパイラックス・サーコ
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First for Steam Solutions

温水をつくる-瞬間給湯編- 第4回

蒸気に関するWebマガジン No.68

温水をつくる-瞬間給湯編- 第1回はこちら

温水をつくる-瞬間給湯編- 第2回 ポンプ はこちら

温水をつくる-瞬間給湯編- 第3回 熱交換器 はこちらでお読みいただけます。

No64_012sxs.png制御弁

熱交換器とポンプで負荷変動における、安定性を確保できたので最後に制御になります。ここで重要なのは2つです。圧力条件を精査すること過大選定しないことです。

過大選定しないこと

蒸気の流量はバルブの固有値である(KVs)と圧力差(ΔP)で決まります。圧力差が増えれば基本的には流量が多く流れ、またKVsも大きくなればそれだけ多く流体を流すことができます。制御弁は本来20-80%程度の開度で制御されるように設計されており、この範囲から外れた場合の制御性というのは落ちてしまいます。そのため最大負荷を満たしたうえでできるだけ小さい制御弁を選ぶことが結果としてターンダウンの高い温度制御を実現することができます。圧力損失限界を利用した設計をすることによって、最大負荷時においては80%以上のバルブ開度を利用しても安定した温度制御を確保することができます。

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圧力条件の精査

では設計のKVsを小さく設計にあたり、圧力条件を決める必要があります。既にポンプのセクションで熱交換器内部の圧力(P2)は低下することを話しました。二次側の圧力(P2)は熱交換器が決定してから、多少の過大選定により原設計から低下するので反映させましょう。また、KVsを小さくするためにはP1を大きく設計することによって実現できます。P1は現実的な範囲で少し高めに設計し、試運転時の変動幅を持たせることをお勧めします。仮にP2を0.1MPag、P1を0.3Mpaとしましょう。この場合に元圧が0.8MPaだった場合に、給湯能力が足らない場合にはP1を上げることによって対応。逆に、過大選定してしまっていた場合にはP1を下げることによって、制御範囲を確保することができます。

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その他の設計

ポンプ、熱交換器、制御弁は重要な機器ですが、より温度制御や安全性省エネ性を求めるにはその他のノウハウも併せて必要になります。

貯湯レスの瞬間給湯では

必要なときに、必要な量を、必要な温度で、安全に供給し続けることができることが重要です。
そのため様々な負荷条件に合わせてポンプ、熱交換器、制御弁を適切に設計することが大切です。またシステムとして包括的に選定してあげることが安定した給湯設備の設計において不可欠です。

次回はプレート式熱交換器のケーススタディをご紹介します。12/7公開予定です。