蒸気に関するWebマガジン|スパイラックス・サーコ
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蒸気質の低下原因#01

Clean_steam_building_13.jpg蒸気に関するWebマガジン No.13

◆蒸気質の低下原因

蒸気の質(乾き度)を高く維持するための5ポイントを『蒸気の乾き度』の回で解説しました。

その中の『ボイラ圧力を高く維持し、キャリーオーバーを制限する』ことによる蒸気質の低下抑制について詳しく解説していきます。

◆ボイラ圧力を高く維持し、キャリーオーバーを制限する

省エネボイラには「高効率」であることと同時に「高品質」の蒸気を発生させることが要求されます。国内で主流の貫流ボイラのボイラ効率は98% まで高められており、極めて完成された熱交換器であることが判ります。ですが、どのような高効率ボイラでも、急激な負荷増加に伴う圧力低下は避けられず、この圧力低下がキャリーオーバーの要因となります。圧力が低下した時に、ボイラ内部で何が起こっているかを考えてみましょう。

ボイラ内部の圧力低下により、蒸気の基本特性から次の事が起こります。

a) 蒸気の飽和温度が下がり、ボイラ内の缶水の自己蒸発(フラッシュ)により蒸気発生量が増加する。

b) 蒸気の比体積が増加し、缶水内で発生する蒸気泡が大きくなり、水位の上昇を促進する。

c) この水位上昇と比体積増加により、ボイラ出口の蒸気流速が加速され、上昇した水面の水滴を蒸気が運んでいくこととなる。

このボイラ出口から水滴が蒸気とともに運ばれる現象を『キャリーオーバー』といいます。

蒸気圧力と比体積の関係.jpg

これらの事は、貫流ボイラよりも保有水量の多い炉筒煙缶ボイラでも、発生することが判っており、ボイラ内部で竜巻のように水面の缶水が蒸気出口に向かって吸い込まれていく様子を紹介しています。

◆では実際にボイラの中では何が起こっているのか見てみましょう

見られない方は、下記リンクよりYoutubeに飛んでください。

https://youtu.be/Eupxbs5ue9U

◆『蒸気質の低下原因#02』では

運転管理側からできるキャリーオーバー防止策について解説します。こちらからご覧ください。