蒸気に関するWebマガジン|スパイラックス・サーコ
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First for Steam Solutions

蒸気の乾き度

蒸気に関するWebマガジン No.5

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◆飽和蒸気表の蒸気って・・

飽和蒸気表に記されている物性値は、全て乾き度100%の飽和蒸気が保有してる値ってご存知でしたか?

乾き度100%の蒸気は、工場内どこにもありません。飽和蒸気を発生させるボイラ出口の最も高い値でも乾き度99%が上限です。

その後、配管内を流れながら放熱によってさらに乾き度が低下していくので、実際に工場内に存在する蒸気のほとんどが水分を含んでいることになります。

◆蒸気内の水分が曲者!

配管内.jpg

この水分が蒸気配管のウォーターハンマーや配管、配管部材の浸食を促進する原因となって、メンテナンス費用を増加させます。また、湿り蒸気は単位質量あたりのエンタルピーが飽和蒸気より少ないので、同じ生産を行うためにより多くの蒸気を消費することになります。

◆蒸気の乾き度を高く維持するメリット

蒸気の乾き度を高く維持すると、次のような効果があります。

①ウォーターハンマーの軽減

②配管・配管部材の浸食によるトラブル軽減

③蒸気消費量の削減

◆乾き度を高く維持する方法は?

①ボイラ圧力を高く維持し、キャリーオーバーを制限する。

⇒キャリーオーバーとは、ボイラ内部の圧力低下により、ボイラ内水面から水滴が蒸気主管に運ばれていく現象のことです。詳しくは『蒸気質の低下原因』でも解説しています。

②高圧移送、低圧利用により減圧効果による乾き度の改善を有効利用する。

⇒減圧効果とは、減圧弁で減圧する場合に絞り断熱膨張と呼ばれる、減圧による飽和温度が下がっても、ドレンを再蒸発させて乾き度が向上する効果のことです。

③配管口径を正しく選定し、フランジや機器を含めて保温する。

⇒必要な蒸気を運ぶ、適切な配管を選定し、適切な保温を施すことにより、放熱を減らすことができ乾き度を保ちます。

④適切な箇所にスチームトラップを設置し、配管内のドレンを排出する。

⇒スチームトラップにより配管内から素早くドレンを除去することにより、乾き度を保ちます。

⑤セパレーターの設置により浮遊ドレンを配管内から除去する。

⇒スチームトラップで取りきれない蒸気内の浮遊ドレンをセパレーターのバッフル(板)に当てることによって取り除きます。


製品の品質と蒸気の純度』もぜひご覧ください。

次回はスチームトラップについてのお話しです。

スチームトラップとは