蒸気に関するWebマガジン|スパイラックス・サーコ
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First for Steam Solutions

蒸気質の低下原因#02

Clean_steam_building_13.jpg蒸気に関するWebマガジン No.14

◆キャリーオーバーはボイラのせい?

いいえ、前回『蒸気質の低下原因#01』や動画を見ていただいた方はわかると思いますが、キャリーオーバーはボイラの性能よりも、運転管理に起因することが多いと考えられます。

もちろん、ボイラの水位制御やブローダウン制御が正しく行われることは必須条件です。特に、バッチプロセスが多い設備では、プロセスのスタート時に最大負荷となり、プロセスの最終で最小負荷となるように蒸気が消費されます。

装置の蒸気消費量は時間当たりの平均蒸気負荷で算出されるので、スタート時の最大負荷は蒸気設計に反映されず、ボイラの瞬間的な圧力低下をもたらす要因となります。

また、電磁弁による制御はON になれば、バルブのKv値(Cv値)と前後の差圧から演算される最大流量が流れ、プロセスのスタート・終盤にかかわらず、ボイラ圧力の低下原因となります。

◆運転管理側からできる、キャリーオーバー防止策

運転管理側からできるキャリー・オーバー防止策として、次のような対策があります。

・ 朝の始動時はボイラ圧力が所定の運転圧力まで上昇したのを確認の上、ヘッダーのバルブをゆっくり開けて、ウォーターハンマーと、キャリー・オーバーの発生を防止する!

・ バッチプロセスが多い場合は、スタート時間をずらす等の時間管理を行い、急激な負荷増加が重ならないよう配慮する!

・ ON/OFF 制御を比例制御に変更し、スタートアップ時以外に最大負荷とならない仕組みを構築する!

・ 遮断弁を含め適正なバルブの口径選定により、不必要に過大な蒸気量が流れないよう、蒸気設計の最適化を図る!

このようにボイラの「蒸気質」を決めるのは、ボイラの性能だけでは無く、蒸気の使い方にも起因するということです。


『製品の品質と蒸気の純度』もぜひご覧ください。

次回は『スチームトラップの選定』について解説します。こちらからご覧ください。