蒸気に関するWebマガジン|スパイラックス・サーコ
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蒸気配管の困った現象#01ウォーターハンマーとは

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◆人命にも関わることがある、ウォーターハンマー

お盆休み等の工場休止後や新設ラインの始動時など、弁を開けるとカンカン高い音がすることがあります。この正体をご存知ですか?

このカンカン音がなる正体によって、海外では過去に死亡事故も起きています。

◆ウォーターハンマーとは

蒸気がボイラを出るとすぐ、熱を失い始め配管内で凝結が始まります。これは装置が冷えている始動時に特に多くなります。下記の図はドレンの水滴が配管内でどのように形成されるかを示しており、時にドレンの「かたまり」が形成されます。配管に沿って蒸気速度の高速で運ばれていく可能性があります。

ウォーターハンマー_かたまり.jpg

この「かたまり」が配管の曲がった部分や分岐などによって妨げられると、運動エネルギーは圧力エネルギーに急に転換され、量が異物に圧力による衝撃が加えられることになります。

ドレンの「かたまり」と障害物の衝撃によっておこる騒音と振動が、ウォーターハンマーと呼ばれます。

ウォーターハンマーは配管補器類の寿命を著しく縮めてしまう可能性があります。重度なケースだと、ほぼ爆発性の衝撃で継手に割れが生じることがあり、結果的に破損個所では生蒸気が損失し、人体に危険な状況が発生する場合があります。

ドレンは低い箇所に集まるため、ドレンの「かたまり」が蒸気流によって捕獲され、下流のバルブや配管継ぎ手に勢いよくぶつかる場合がある。このような低い箇所には、不適切な配管支持や、本管がたるんだ部分が含まれます。また、考えられるウォーターハンマーのその他の発生源には、同芯レデューサーの使用やストレーナの誤った設置方向の他、蒸気配管の立ち上げ箇所の手間位における不十分なドレン排水などが挙げられます。

ウォーターハンマー_ドレン溜り.jpg

ウォーターハンマーを起こさないようにするためには、配管内のドレンを素早く除去する必要があります。

1.ドレンが溜まらない配管設計・施工

2.スチームトラップの選定

3.始動時に弁をゆっくりとあける

等の対策が有効です。

次回は『蒸気配管の困った現象#02ストールとは」です。