用語解説 フォーミングとは
蒸気に関するWebマガジン No.75
フォーミングとは水面と蒸気出口の間のスペースに泡が生成される現象のことで、起泡量が多いほど生じる問題は大きくなります。
フォーミングの徴候と影響
-ゲージガラスの蒸気接続口から水が少しずつ流れる。この場合、水位を正確に測定することが難しくなる。
- センサーやフロート、差圧セルによるレベル制御が正確に水位を測定できなくなる。
- アラームが作動し、バーナーがロックアウトする場合もある。このような場合、ボイラの制御パネルを手動でリセットしないと、ボイラの運転を再開することができない。これらの問題は、全面的もしくは部分的にボイラのフォーミングが原因であることが多いですが、フォーミングはボイラ水に固有の現象のため泡そのものを正確に理解する必要があります。
① 表面の境界-グラスに入ったビールの泡は液体の上に浮いており、液体/泡の境界面が明確である。沸騰する液体では、容器の底の少量の小さな蒸気泡から、最上面に浮いた大きな無数の蒸気泡まで、液面が明確に識別できない。 |
② 攪拌すると増大するフォーミング-この傾向は任意の蒸気発生率で稼動する小型のボイラに多い。小型のボイラほど水面の表面積が小さいため、水面1平方メートルあたりの蒸気放出率が大きい。これは、水面の攪拌が大きくなることを意味するものであり、小型のボイラはフォーミングの影響を受けやすいということになる。 |
③ 硬度-硬水は起泡しない。ただし、ボイラ水は、酸化やスケールの発生を防止するため、意図的に軟水化させている。このため、起泡が生じやすくなる。 |
④ コロイド状物質-懸濁コロイドによるボイラ水の汚染。例えば、牛乳では激しいフォーミングが生じる。注:コロイド粒子は直径が0.0001 mm未満であり、通常のフィルターでは通過してしまう可能性がある。 |
⑤TDSレベル-ボイラ水のTDSが増加するにつれて、蒸気泡は安定度を増し、破裂や分離が起こりにくくなり、泡のまま水面に存在し続ける。 |
フォーミングはキャリーオーバーの要因の一つです。キャリーオーバーについて、またキャリーオーバーに対する是正措置はこちらで説明しています。
スパイラックス・サーコではSteam Boilers - The Inside Storyの実験動画をご用意しております。ボイラの中の水がどのようになっているか、ぜひご覧ください。フォーミングについてもご確認いただけます。