蒸気に関するWebマガジン|スパイラックス・サーコ
蒸気に関するWebマガジン|スパイラックス・サーコ
First for Steam Solutions

スチームトラップの選定時に考慮すべきポイント#03蒸気障害

HR01236_jpg.jpg蒸気に関するWebマガジン No.18

どんな種類のスチームトラップでも、システムに取り付けることは可能です*。

しかし、特定の用途にてきした最良のトラップを選ぶことが必要です。

今回はスチームトラップを選定する際に考えるべきいくつかの重要な問題の中から

『3.蒸気障害』について解説します。

◆蒸気障害という現象

蒸気障害は、スチームトラップを排出対象の設備から離れた箇所に設置する場合に必ず起こりうる現象です。サイフォン管や封管からドレンを除去する場合は、特に深刻になる恐れがあります。

蒸気障害.jpg

上図はサイフォン管を用いた回転型乾燥シリンダーにおける蒸気障害トラブルです。

①十分な蒸気圧によってドレンがサイフォン管に吸い上げられ、スチームトラップを通って排出されます。

②シリンダーの底にあるドレン液位がサイフォン管の末端よりも下になるとどうなるかを示したものです。蒸気がサイフォン管に入り込み、スチームトラップ(このケースではフロート式)が閉じています。

③トラップは一時的に「蒸気によってロックされた」状態になります。シリンダーからの熱損失によって生成されるドレンが増え、結果的にトラップに到達することができません。

シリンダーに徐々にドレンが滞留し、シリンダーの乾燥率が低下してシリンダーを回転させるのに要する出力が増大します。極端なケースでは、シリンダーが中央線までドレンで満水になり、機械的な過負荷によって破損が起こることがあります。

◆蒸気障害を解消するには

スチームロック状態を解消するためにトラップの蒸気を排出する必要があります。

そのためには、トラップに蒸気障害解消弁が必要になります。これは内蔵のニードルバルブで、サイフォン管の内部にロックされた蒸気をメインバルブから排出させることができます。

◆蒸気障害を解消する最適なトラップは

フロート式トラップ_透明_s.jpg

フロート式スチームトラップはこの蒸気障害解消機構を持つ唯一のトラップです。乾燥シリンダーのような回転型の機械類では、適切な選択肢になります。ニードルバルブは上記の損失を回避できる分だけ開くため、空気抜きの容量は限られています。この種のトラップには、エアベントと蒸気障害解消弁の組み合わせが装備されていることが多いといえます。手動操作式の蒸気障害解消機構は、自動式エアベントの作動とは関係なく作動します。

その他の種類のトラップでも、発生後に開くことによって、最終的にはスチームロックを解消することができます。しかしながら、排出や設備の稼働性能にはむらが生じます。バッチ時間や品質、効率が大きな重要性を持つプロセス設備のユーザーにとっては、蒸気障害解消機構がついたフロート式が最適であると言えるでしょう。

次回は『4.グループ・トラッピング』について解説します。

前回の『2.汚れ・ストレーナ』はこちらから。