スパイラックス・サーコの高精度流量計は、従来の流量計に比べ格段に幅広い測定範囲と精度を保証。単なる流量検出だけでなく、不具合監視センサーとして蒸気システム及び設備機器の管理にも広く使用されています。正確な原単位管理と省エネ実施ツールとして、"使途不明" 蒸気ゼロを実現します。
既設流量計では総発生蒸気量を正確に計測できない問題があります。
使途不明蒸気の比率は総発生蒸気全体の20%~ 30%あり、使途不明蒸気はトラップの洩れ、バルブ漏れ、放熱が主な要因です。
■毎年省エネ・原単位目標を達成するために
① 蒸気流体の特性を正確にカバーできる、高精度流量計の設置が必要
② 現状を正確に把握し、省エネ目標値を設定
③ 省エネ目標検証ツール
■蒸気を正確に計測できない理由
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①運転中常に圧力が変動している =比体積が常に変動 =補正・計測をする必要がある。
②負荷変動が激しいため、上限・ 下限値の計測精度が高くなければ対応できない。
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0.8MPaGから0.7MPagに圧力が低下すると体積は11.6%増加する。 |
■高精度蒸気流量計の採用をお勧めします!
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①他の流量計では計測できない範囲(下記グラフ黄色部分)を計測=使途不明蒸気の把握が可能となります
負荷変動、バッチプロセスのあるラインに対して特に有効です
②レンジが広いため、計測上限に合わせて選定が可能になります(下限測定のための親子設置が不要。2台⇒1台に)
③計測誤差が少ない
④測定部前後の必要直管距離が少ない。上流6D、下流3D
⑤低流速蒸気でも計測可能
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■プロセスの生産性、効率性、持続可能性を高めるスパイラックス・サーコの流量計
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プロセスの完全な制御は精密に測定することから始まります |
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トータルサポート:プロセス監査からプログラムの最適化まで
困難な流動媒体の正確な測定は多くの場合、複雑で正しく行うのが困難であることは間違いありません。しかし50 年以上の流量計の経験によりお客様が成功するために必要なリソースを正確に知っています。
最寄りのスパイラックス・サーコに流量をどの程度正確に測定できるかについてご相談ください
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製薬会社/日本
目的:既存渦流量計の老朽更新
ソリューション:管理強化のため場内で使用している可変オリフィス式蒸気流量計ILVAを提案
成果:計測可能な下限流量が大幅に改善、本来の蒸気消費を可視化。25%の使途不明蒸気の特定と共に、省エネルギーのポテンシャルを確認
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課題
既設の蒸気流量計は渦式を使用しており、設置から15年以上が経過のため更新を計画。更新は単なる流量検出ではなく、実負荷を正確に把握し管理ツールとして活用するため、従来の流量計に比べて幅広い測定範囲と精度を持つ流量計への更新を検討。
ソリューション
従来の渦式から可変オリフィス式のILVA型蒸気流量計を採用。
レンジアビリティ(測定範囲)が20︓1から100︓1へと向上、計測可能な下限流量が240㎏/hから24kg/hに大幅に改善。
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成果
これまで把握ができていなかった25%の使途不明蒸気を特定。
メインのプロセス停止時に常時200~250kg/h程度蒸気を消費していることを確認。
改善ポイントとして省エネルギーのポテンシャルを確認。
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流量計比較
更新後の状況
【蒸気流量計更新後の考察】
25%の使途不明蒸気
メインプロセスがバッチ運転の為、メインプロセス待機時の流量は、運転時の1/10 程度。渦式流量計の下限流量を下回るケースが見られた。また渦式流量計における未計測流量を積算した結果、累積誤差は2,280kg/ 日となり、全体の約25%を締めた。
* 累積誤差2,280kg/ 日÷全体8,982kg/ 日= 0.253 ≒ 25.3%
放熱抑制による省エネルギーの可能性
メインプロセスは、日中の間に稼働しており、その他の時間は空調機、製品保温等の低圧プロセスが稼働。
低圧プロセス稼働時のみ、蒸気主管を0.8MPaG から0.2MPaG に減圧することで配管の放熱ロスを抑制し約40% 分の放熱蒸気量削減による省エネルギーの可能性あり。
こちらのケーススタディは下記よりダウンロードが可能です!
まとめ
プロセスの完全な制御は精密に測定することから始まります。
生産性、効率性、持続可能性を高めるため、プロセス監査からプログラムの最適化までスパイラックス・サーコはトータルでサポートが可能です。
流量をどの程度正確に測定できるか、スパイラックス・サーコにご相談ください。
スパイラックス・サーコの流量計
※ILVA型可変オリフィス式流量計は製品前後のエンジニアリングが必要です。詳細はお問い合わせより連絡いただくか、担当営業までご連絡ください。
関連Blog
Webinar
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2022年に開催しました蒸気の見える化と活用法のWebinarです。
興味がございましたらぜひお問い合わせください!
CO2 削減に対する意識はこれまで以上に高まっています。蒸気の省エネを推進するにあたりその指標となる計測は必要不可欠です。今回のウェビナーでは蒸気の見える化と活用法と題し、蒸気の見える化の必要性、流量計測のポイント、計測データの活用法についてご紹介致します。 【主な内容】 ・蒸気の見える化とは ・流量計測でわかること ・流量計測のポイント ・計測データの活用事例
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Case Study
スチームトラップステーションを導入。バイパスラインが無くなりコンパクトになりました。
既存:950 x 370 =351,500 mm2
新設:520 x 230 =119,600 mm2 約1/3のスペースになりました。
Video
ドキュメント
関連ブログ
ぜひこちらもご覧ください!
工場の煙突や配管の先から、もやもやしたものが立ち上がっていませんか?
白い蒸気の正体は蒸気漏れではなくフラッシュ蒸気かもしれません。フラッシュ蒸気についてはこちらの記事をご覧ください。
今回は実際にフラッシュ蒸気を回収したCaseStudyを2つご紹介します。
製紙会社におけるフラッシュ蒸気の回収
きっかけ
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ご提案
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◆ドレンタンクの大気開放管から放出されるフラッシュ蒸気が気になっていた。
◆燃料費の高騰により省エネできる方法を模索していた。
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生産の安定性を測りながら同時にフラッシュ蒸気を回収し、熱エネルギーの削減できるユニットを工事費も削減できるパッケージでご提案しました。
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お客様のコメント
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大気開放管から放出されるフラッシュ蒸気が1/3程度になりました。約1年でペイアウトできるのでありがたいです。
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食品会社におけるフラッシュ蒸気の回収
きっかけ
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ご提案
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◆ボイラ給水タンクからの蒸気漏れが気になっていた。
◆製品と接した蒸気のドレンを有効使用できないか。
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給水タンクからのフラッシュ蒸気はプロセスに再利用しました。また、製品と接したドレンは廃熱回収システムを可能な限り工事も簡単なパッケージでご提案しました。
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お客様のコメント
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燃料費が4%削減できている。試算頂いた通りの結果でとても満足しています。
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フラッシュタンク
フラッシュタンクにつきましたはこちらをご覧ください。詳細はこちらよりお問い合わせください。
無圧の廃蒸気、無圧フラッシュ蒸気の回収につきましてはこちらにて解説しております。
蒸気システムにおいてドレン回収は大きな省エネ要素です。ドレンからでるフラッシュ蒸気を回収することができれば更なる省エネにつながります。
お問い合わせは上部『お問い合わせ』よりお願いいたします。
蒸気に関するWebマガジン No.89
※こちらの記事はスチームトラップマネジメント第2回です。第1回はこちらからご覧ください。
スチームトラップがドレンを排出するのに重要なことは分かったと思います。しかしスチームトラップはスチームトラップに到達したドレンしか排出できません、なのでドレンが発生してからしっかりとスチームトラップに到達するように配管を設計してあげることが非常に大切です。トラップはある程度なにを使っても許容できる場合がありますが、スチームトラップまでの道のりは確実にしておかないとドレン排出はできません。
スチームトラップの排出後
ドレンがスチームトラップを出た後はどうなるかご存じですか?圧力次第ではありますがドレンの一部は蒸気になります。この蒸気をフラッシュ蒸気と呼ぶのですが質量では一部でも体積とすると90%以上が蒸気になります。そのためドレン配管は水配管ではなく蒸気配管として設計する必要があります。また既存のドレン主管につなぐ場合には満水の可能性もありますのでウォータハンマ―の可能性もあります。少しでもリスクを低減するためにディフューザを設置し影響を少なくしましょう。
省エネトラップはどのトラップ?
省エネトラップという言葉を時々聞くことはありませんか?厳密にいうと多少の省エネ性はあるのですがここでの答えは省エネトラップは存在しません。なぜならスチームトラップはドレンを排出するだけです。『ドレンをつくることはしない』=『エネルギーを浪費しない』のでそもそも省エネ性を考えるのは難しいですね。細かな省エネ性に関してはDr Steamの『スチームトラップとして必要な機能』をご覧ください。
ちなみにオリフィストラップやラビリンストラップという種類のトラップがあります。これらは全閉ができないタイプのトラップです。(ISOではトラップには定義されない)これらは常に一定負荷を条件に選定しますので条件によっては蒸気を漏らすことを前提に設計します。なので省エネとは真逆と立ち位置にいるトラップです。もともとメンテナンスができない船で故障しないことを優先として設計されて使用されていたトラップですね。
トラップマネジメントの省エネルギー
省エネトラップは基本的に存在しないといいましたが、トラップマネジメントでは省エネができます。トラップが正常稼働時にはトラップは蒸気を漏らしませんが、故障時は蒸気を漏らします。なのでいかに故障したスチームトラップを早く修理するかがトラップマネジメントの課題です。その上でポイントは2つです。
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❶ 故障の早期発見
定期的なトラップ点検やトラップ故障の自動検知(STAPS)等でなるべく早く発見する。
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❷トラップ交換の早期実施
スチームトラップステーションでは配管の取り外しをする必要がないため5分程度でのトラップ交換が可能です。また遮断弁を二重にしブローダウンバルブを設置することによって、蒸気通気中の交換が可能になるため定期修繕のタイミングまでの蒸気ロスを防ぐことができます。
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第3回はスチームトラップの見直しによる制御弁の故障解消のケーススタディをご紹介します!
蒸気に関するWebマガジン No.77
蒸気システムの中にある高温ドレンは、大気に放出されると一部はフラッシュ蒸気となって逃げていきます。また、脱気やスチーマーなどでは白い湯気が排出されています。
ベントコンデンサーは無圧の廃蒸気、フラッシュ蒸気の熱エネルギーを回収し温水をつくる熱交換器です。
今回はベントコンデンサーを通ることによって実際に白いゆげが消えるかの実験を行いました。
ベントコンデンサーの詳細はこちらのページで紹介しております。
こちらもぜひご覧ください!
蒸気に関するWebマガジン No.70
プレート式熱交換器のケーススタディ
温水をつくる-瞬間給湯編- 第1回 はこちら
温水をつくる-瞬間給湯編- 第2回 ポンプ はこちら
温水をつくる-瞬間給湯編- 第3回 熱交換器 はこちら
温水をつくる-瞬間給湯編- 第4回 制御弁 はこちら でお読みいただけます。
福岡県小倉市
搬入出コスト削減(商業ビル)
顧客課題
古くなったシェル&チューブのタンクの入れ替えを検討するも、駅ビル屋上という設置場所のため、工事時間や作業スペースに限界があった。
御提案内容
あえてシェル&チューブ式タンクの撤去は行わず、省スペースで設置可能なスパイラックスEasiHeatTMを従来のタンク前に設置。
工数を削減し、温水の供給を止めることなくタンクの置き換えを可能にする。
成果
ビル内の搬入用エレベーターを使用して、屋上にスパイラックスEasiHeatTMを搬入し、短期間でタンクの置き換えを可能にしました。来館されるお客様への不便を最小限に抑えることができました。
大変コンパクトになりました。湯量も十分です。
設備管理担当者様からのコメント
岡山県岡山市
機械室内の省スペース化、省メンテナンス化(病院)
顧客課題
南館新築計画に伴い、給湯システムを検討。従来の貯湯槽方式にて計画が進んでいたが、施工面、運用面から改善が可能な別のシステムについても検討。
御提案内容
プレート式蒸気温水製造ユニットEasiHeat™を2台設置。
貯湯槽方式から貯湯槽レスの瞬間給湯方式へ変更。
圧力容器非該当の為、定期法定検査が不要。
成果
施工時の工数削減および省スペース化、運用時の省メンテナンスを実現。ピーク負荷にも安定した給湯を実現。
第一種圧力容器の法定検査の必要がないのが最大のメリットでしょう。
貯湯槽で行なっていた点検時のコストと1~2日間の停止の必要がありません。
施設担当者様からのコメント
スパイラックス・サーコのプレート式蒸気温水製造ユニットカタログはこちらでご確認いただけます。
ぜひ下記の動画もご覧ください!
蒸気に関するWebマガジン No.68
温水をつくる-瞬間給湯編- 第1回はこちら
温水をつくる-瞬間給湯編- 第2回 ポンプ はこちら
温水をつくる-瞬間給湯編- 第3回 熱交換器 はこちらでお読みいただけます。
制御弁
熱交換器とポンプで負荷変動における、安定性を確保できたので最後に制御になります。ここで重要なのは2つです。圧力条件を精査することと過大選定しないことです。
過大選定しないこと
蒸気の流量はバルブの固有値である(KVs)と圧力差(ΔP)で決まります。圧力差が増えれば基本的には流量が多く流れ、またKVsも大きくなればそれだけ多く流体を流すことができます。制御弁は本来20-80%程度の開度で制御されるように設計されており、この範囲から外れた場合の制御性というのは落ちてしまいます。そのため最大負荷を満たしたうえでできるだけ小さい制御弁を選ぶことが結果としてターンダウンの高い温度制御を実現することができます。圧力損失限界を利用した設計をすることによって、最大負荷時においては80%以上のバルブ開度を利用しても安定した温度制御を確保することができます。
圧力条件の精査
では設計のKVsを小さく設計にあたり、圧力条件を決める必要があります。既にポンプのセクションで熱交換器内部の圧力(P2)は低下することを話しました。二次側の圧力(P2)は熱交換器が決定してから、多少の過大選定により原設計から低下するので反映させましょう。また、KVsを小さくするためにはP1を大きく設計することによって実現できます。P1は現実的な範囲で少し高めに設計し、試運転時の変動幅を持たせることをお勧めします。仮にP2を0.1MPag、P1を0.3Mpaとしましょう。この場合に元圧が0.8MPaだった場合に、給湯能力が足らない場合にはP1を上げることによって対応。逆に、過大選定してしまっていた場合にはP1を下げることによって、制御範囲を確保することができます。
その他の設計
ポンプ、熱交換器、制御弁は重要な機器ですが、より温度制御や安全性省エネ性を求めるにはその他のノウハウも併せて必要になります。
貯湯レスの瞬間給湯では
必要なときに、必要な量を、必要な温度で、安全に供給し続けることができることが重要です。
そのため様々な負荷条件に合わせてポンプ、熱交換器、制御弁を適切に設計することが大切です。またシステムとして包括的に選定してあげることが安定した給湯設備の設計において不可欠です。
次回はプレート式熱交換器のケーススタディをご紹介します。12/7公開予定です。
蒸気に関するWebマガジン No.66
温水をつくる-瞬間給湯編- 第1回はこちら
温水をつくる-瞬間給湯編- 第2回 ポンプ はこちらでお読みいただけます。
熱交換器
ここで熱交換器に求められるものが何かを検討していきましょう。給湯で求められる熱交換器の要素は大きく2つです。負荷変動による熱交換能力の変化がないこと(ターンダウン)と過大選定されないことの2つです。下図に給湯用に使われる代表的な熱交換器を比較してみます。式でいうとU値の変動を抑えるとA値の過大選定をなくすです。
*温度制御は目安で付随する制御方法によって変化します。
総括伝熱係数(U値)の変動を抑える
U値というのは変動します。これは同じ熱交換器であっても、『汚れ』『乱流』『流体』『温度』といったものによって著しく変化してしまいます。熱交換器の選定のポイントとしては、『汚れ』『乱流』による影響をできるだけ少なくして、どの条件下でも一定のU値に整えることが重要です。比較表の『熱交換効率』『圧力損失』『セルフクリーニング』『ターンダウン』『コンパクト性』はすべて、熱交換器内の『乱流』に起因します。乱流等とは熱交換器内部でどれだけ、流れが乱れていてうまく混ざっているかと考えてもらえればわかりやすいかと思います。よく混ざっていれば、熱交換効率がよくなりコンパクトに設計ができ、汚れが付きにくく(セルフクリーニング)、また負荷が変動して流速が下がった際も熱交換効率を維持することできます。その代わりに圧力損失が発生してしまいます。これらはトレードオフの関係にあります。
伝熱面積(A値)の過大選定をなくす
過大選定されないことを熱交換器に当てはめた場合に必要なことはどれだけ細かく設計できるかです。
表では出力の多様性としていますが、要は何kW刻みで設計できるかが重要です。220kWの最大負荷に対して、300kWをこなす熱交換器があった場合には、80kW(36%)分余計に加熱されることが考えられ、こういった余剰の能力は、過熱ぎみに温度制御がふれる可能性を作ってしまいます。もちろん制御でカバーできるところもありますが、制御の幅を制限してしまうことになりますので、過大選定されないに越したことはありません。設計段階では足りないことの方が問題になりますので、設計自体が過大気味になりがちです。そのため、そこから選定する熱交換器ではできるだけ最小限の過大を心がけましょう。
拡張性
また設計条件と運転条件がちがう、もしくは長年の利用で需要が変わってしまうこともよくあります。こういった場合には、出力を増やす、もしくは減らすことができる拡張性もあった方がいいといえるでしょう。
給湯システムにはそれぞれの特性があり、適した設計があります。システムをよく理解し、適したシステムを導入することが重要です。
次回は制御弁についての解説いたします。11月2日公開予定です。こちら
蒸気に関するWebマガジン No.65
温水をつくる-瞬間給湯編- 第1回はこちらでお読みいただけます。
ポンプ
給湯システムにおいてポンプが持つ役割は大きく、ポンプの有無によって制御方法が変わってしまいます。総括伝熱係数(U値)の変動を抑える、伝熱面積(A値)の変動をなくす、加熱温度(ΔT)の変動を無くすの全てに当てはまります。
まず、前提としてですが100℃以下の温水製造のアプリケーションでは高確率でスチームトラップを使用した場合にはストールと呼ばれる熱交換器内の加熱側が真空になってしまい、うまくドレンを排出できなくなる現象が起きます。下記条件では被加熱流量に変化がなくとも入口温度が5℃から30℃に上がった時点で真空になってしまっていることがわかります。
スチームトラップの場合
ΔT:被加熱側の温度を下げて真空状態になります。次にドレンが熱交換器内部に滞留することによって加熱流体が2層になります。ドレンと蒸気のU値とそれぞれのA値が変化し、バランスをとろうとします。
プレッシャーポンプの場合
ΔT:被加熱側の温度を下げて真空状態になります。真空蒸気のままドレン排出を行うことができるので、変動値はΔTのみになります。
次回は熱交換器について解説いたします。
温水をつくる-瞬間給湯編- 第3回
蒸気に関するWebマガジン No.64
温水は非常に身近な熱媒体です。手洗い、シャワー、洗浄、空調に生産プロセスといろいろな用途で利用されます。蒸気を利用した標準的な温水では貯湯槽を用いたものがおおいですが、最近では貯湯レスソリューションというものも増えて来ていますので、今回はどちらの方がいいのかを考えていきたいと思います。
必要なときに、必要な量を、必要な温度で、安全に供給し続けること
結局のところ、温水を作るうえでの重要な事項というのは変わりません。なので貯湯レスにしてもいいかどうかは、このポイントをどうやってクリアにするかになります。貯湯槽が長く利用され続けてきたのにはもちろん理由があります。それは瞬間的な負荷変動が多い場合でも温度を一定に保ちやすいことです。そしてこの特性は一般給湯において簡単に設計でき尚且つ、失敗しにくいという安全策です。
貯湯槽が選ばれる理由は、レジオネラのリスクや長時間のピーク負荷のリスクより、温度制御ができなくなることの方がリスクは高いからです。
貯湯レスにできるかどうかは温度制御がどれだけ精度よくできるかにかかっています。
温水をつくる-貯湯槽編-はこちらからご覧ください。
貯湯槽の計算についてはこちらで解説しています。
蒸気の世界で使う3つの公式についてはこちらで解説しています。
貯湯レスソリューションの主要な機器
貯湯レスにするうえで必要なポイントは温度制御をどの負荷でも実現できるかです。では安定した制御をする上で、重要なポイントはなんでしょう?どれだけ安定した運転条件を整えられるかが一つのポイントになります。熱交換器の公式を用いて考えていきましょう。
次回はポンプについて説明いたします。
温水をつくる-瞬間給湯編- 第2回
蒸気に関するWebマガジン No.63
蒸気で温水を製造することは最も一般的なアプリケーションです。その製造方法も加熱方法では直接蒸射と間接加熱にわかれ、それぞれがバッチ式と連続式にわかれます。
1.直接蒸射
水を張ったタンクの中や水の循環ラインに直接蒸気を蒸射して温水を製造する方法です。水中に蒸射された蒸気は温水となり、タンクや循環ライン中の水の質量を増加させることになり、温水がオーバーブローすることもありますが、加熱装置としては、サイレンサーやインラインミキサー等、安価な機器を使用できるので、設備コストが安く大量の蒸気エネルギーを水に与えることができます。
2.間接加熱
シェル&チューブ熱交やプレート式熱交を使って貯湯槽の加温や連続式給湯器として温水を製造する方法です。間接加熱なので給湯用の水に蒸気が混入することも無く、よりクリーンで質量が増えることもありません。
従ってオーバーブローのリスクは減少するが熱交換器からドレンとして排水されるので、エネルギーの効率的な使用を考えるとドレン回収が必須となります。
これらのことから、温水製造の選択肢は広いですがそのニーズに基づいて直接/間接の使い分けはされていますが蒸気消費量は同じでも瞬間蒸気流量に大きな違いがあることに気付かず、結果として蒸気量が不足しボイラ圧力が低下する等のトラブルの原因になっているケースを見掛けます。
3.連続式とバッチ式における瞬間蒸気流量の違い
600ℓの水を1時間で20℃から60℃まで加熱するのに必要な熱量はバッチ式でも連続式でも同じです。これは、次の式で計算します。
Q = m x Cp x (t2 - t1)
Q : 必要熱量
m : 質量
Cp : 比熱
t2 : 水の目的温度
t1 : 水の初温
従って連続式でもバッチ式でも、消費する蒸気量は同じであるがここに大きな落とし穴があるのです。
連続式の場合は、600ℓ/時なので10ℓ/分の水を20℃から60℃まで加熱し続けるので蒸気温度と水の温度差は常に一定で、蒸気量も1時間を通して一定となります。
しかし、バッチ式の場合はタンクに600ℓの水が20℃貯水されており1時間後には60℃まで昇温することになります。蒸気と水温との温度差は水温の上昇に沿って変化し続けます。先の計算でもとめた蒸気量は水温が40℃の時の蒸気消費量でその値を100%とすると20℃の時は122%、60℃の時は78%(蒸気圧力を0.2MPagとして計算)と変化するのです。
これがバッチ装置における蒸気の流れ方で配管設計やボイラの能力に直接影響を与えるリスクがあります。
貯湯槽(バッチ)からEasiHeat(連続式温水製造器)への変更は、蒸気のピーク負荷を抑えるという点で、とても有益な方法で冬場に蒸気量が不足する工場では一つの解決策となり得ます。
また、どうしてもバッチ装置でピーク負荷を低減する必要がある場合は水温を上昇させて給水する「湯張り」という方法がピーク負荷の低減と昇温時間の短縮という二つの点で利点があります。
お湯を沸かすというシンプルなニーズに対してその方法は直接蒸射、間接加熱、バッチ式、連続式等に分類され、それぞれ利点、欠点、効率、安全性が異なります。
まずどの給湯システムが工場の現状に最適でメリットがあるのかを一度考えてみてはいかがでしょうか?
ぜひこちらの記事もお読みください!
温水をつくる-貯湯槽編- はこちら
温水をつくる-瞬間給湯編- は次回公開予定です。
スパイラックス・サーコのAPT14型ハイブリッド・プレッシャーポンプ
APT14型は逆止弁とスチームトラップを組み込んだハイブリッド型ポンプです。1台で3つの機能を持ち省スペース化と設計・配管工数の低減が図れます。
製品ページは"こちら"から
蒸気に関するWebマガジン No.56
ドレン回収をあきらめていませんか?
ドレン回収が省エネルギーになるとわかっていても様々な理由でドレン回収をあきらめているケースが見られます。今回はドレンを回収できないと思われるポイントを4つご紹介します。
①ボイラ室にあるタンクまで100Mと遠く、配管工事もしなければならないので、回収メリットがないと思うのですが?
ドレン回収メリット計算をしたところ、工事に対する投資費用回収期間は2.5年で、ドレン回収工事を実施する事になりました。
400万円/年saving!
②プラントには加熱・冷却プロセスがあり、ドレンと冷水を共通配管にしているので、水質上、回収には向かないと考えているのですが?
加熱ラインのみの回収工事を実施しました。投資費用回収期間は2年です。
75万円/年saving!
③洗浄液を熱交換器で加熱して使用しているけど、ドレン水の汚染が怖いので回収できないのですが?
当社のドレン水監視システムを導入し、捨てていたドレンを回収するようにしました。投資費用回収期間は1.5年です。
220万円/年saving!
④ドレン回収はしているのだけれども、給水温度が30℃と低いのです。でも、回収タンクからは、"もうもう"と湯気が出ているのだけれども?
簡単なタンク改善工事を実施し、給水温度は60℃にまで上がりました。投資費用回収期間は5か月です。
77万円/年saving!
(その他)
●管末、及びジャケット釜装置からドレンが低圧で、自圧で回収ができので廃棄しているのですが?
●電気が近くにないので、ポンプで送ることができないのですが?
ドレンは価値ある資源で多くのケースで回収に値します。蒸気ドレン回収に関わるご質問があれば、当社のエンジニアまでご相談ください。適切なソリューションをご提案させて頂きます。
次回は『蒸気の制御 第1回』です。
蒸気制御においていろいろな制御がありますが、どの場合でも原則として"制御弁を流れる蒸気量を調整し、その結果、温度、圧力、流量などを必要な条件に整えること"を蒸気制御と呼びます。ではどのように蒸気を制御しているか、Kv値やバルブ特性、トリム、シートなどを解説しています。ぜひご覧ください。
蒸気に関するWebマガジン No.55
温水をつくる-貯湯槽編- 第2回
温水は非常に身近な熱媒体です。工業はもちろんのこと、ホテル、病院や商業施設といった一般施設においてもよく利用されます。蒸気の熱の利用先として最も使われることが多い用途は温水をつくることではないでしょうか。温水をつくる方法はいろいろありますが、その中でも今回は最も基本的な蒸気で加熱する貯湯槽について考えていきたいと思います。
貯湯槽の目的は他の給湯設備と同じく第一に温度を安定させることが目的になります。その上で、一定量の保有水量があるので瞬間的な負荷に対しての対応に優れています。実際に設計してみましょう。せっかくなので、実際に数字を当てはめて考えてみましょう。
前回の温水をつくる-貯湯槽編-第1回では、『①貯湯槽の容量』、『②熱負荷と追従性』について解説しました。
③温度ムラとレジオネラ菌対策
貯湯槽内の温度はどうしても、上と下で、あるいは熱交換器から近い場所と遠い箇所とでは温度差が出てしまいます。温度管理を一点で行っている場合、供給している温度が数値通りになっているかはわかりません。その場合には60℃以下で滞留している水が発生する可能性があります。レジオネラ菌は20-45℃の範囲、特に38℃前後で最も繁殖しやすい温度環境になります。貯湯槽ではこういった温度ムラをタンク内に作らないことが重要になります。過大選定された貯湯槽では、温度ムラが発生しやすくレジオネラ菌増殖のリスクが増大します。必要以上に大きな貯湯槽を設置するのは避けましょう。温度ムラをなくすためには循環ポンプを設置することも推奨されます。滞留しやすい、熱交換器から一番遠い管底部等に循環ラインを作ることによって、温度ムラを解消しましょう。また、複数のポイントで温度計測をすることによって、安全管理の見える化もいいでしょう。
レジオネラ菌についてはこちらのページでビデオをご覧いただけます。
④ドレン滞留と熱交換器のパンク
100℃以下の流体を加熱した場合に、蒸気圧力が大気圧より下がり負圧になることがあります。この場合に、スチームトラップの二次側より一次側の圧力が下がった場合に、発生したドレンはスチームトラップから排出されることができません。この現象をストールと呼びます。このストールは熱交換器内のウォータハンマ―を引き起こし、加熱コイルの水位レベルでパンクを引き起こす原因になります。また、蒸気の制御弁のハンチング等を起こす原因にもなります。プレッシャーポンプと呼ばれるポンプをスチームトラップの代わりに設置することによって、強制的にドレン排出を行うことができますので、80℃未満の加熱で特に設計より負荷が下がることが予想される場合には、プレッシャーポンプを設置しましょう。
⑤緊急時の貯湯槽の役割
震災等の緊急時に温水を貯めていると安心ということをよく聞きます。では、実際に貯湯槽が緊急時にどのように役立つかを考えてみましょう。
ガスの供給がなくなった場合、ボイラが停止し貯湯槽の加熱ができなくなりますが貯湯しているお湯を供給することができます。ただし、お湯を本来の温度で供給できるのははじめだけで使うにつれて補給水が入ることによって、温度が下がっていきます。仮に1時間の貯湯量があっても、お湯の供給ができるのは、1時間未満となります。
電気の供給がなくなった場合、この場合はボイラ、及び供給するポンプ自体が停止していることになりますので、使用すれば、給湯システム全体の圧力がすぐに下がり、供給自体ができないと考えていいでしょう。
水の供給がなくなった場合、この場合には、ポンプ、ボイラ共に稼働し続けることが短時間可能になります。この短時間は受水槽の水の容量で決まってきます。
緊急時の温水利用という点においては、限定的な条件でのみ貯湯槽が役立ちます。緊急時の温水供給が必要なのであれば、それぞれのユーティリティの代替を検討する方が確実です。ガス供給であれば、油炊きのボイラ、電気であれば自家発電、水であれば、井戸や、十分な量の貯水等が検討できるでしょう。緊急時の対応に関しては、実際に使用したい条件を想定してシステムを構築しましょう。
熱力学の公式はこちらでご確認ください。
温水をつくる‐貯湯槽編‐いかがでしたでしょうか。実際に貯湯槽を更新する際に専門家が必要だと感じましたら、ぜひスパイラックス・サーコにお問い合わせください。
温水製造におけるバッチ式と連続式の違いについての記事を公開いたしました。こちらもぜひお読みください。
こちらの記事の対となる『温水をつくる‐瞬間給湯編』を公開いたしました。合わせてご覧ください。
次回は『ドレン回収をあきらめていませんか?』です。ぜひご覧ください。
蒸気に関するWebマガジン No.54
温水をつくる-貯湯槽編- 第1回
温水は非常に身近な熱媒体です。工業はもちろんのこと、ホテル、病院や商業施設といった一般施設においてもよく利用されます。蒸気の熱の利用先として最も使われることが多い用途は温水をつくることではないでしょうか。温水をつくる方法はいろいろありますが、その中でも今回は最も基本的な蒸気で加熱する貯湯槽について考えていきたいと思います。
貯湯槽の目的は他の給湯設備と同じく第一に温度を安定させることが目的になります。その上で、一定量の保有水量があるので瞬間的な負荷に対しての対応に優れています。
実際に設計してみましょう。せっかくなので、実際に数字を当てはめて考えてみましょう。
① 貯湯槽の容量
まずは貯湯槽の大きさです。貯湯槽の大きさは継続供給力です。貯湯槽の保有水量は最大使用流量に対してどれだけの容量をもっているかで選定します。保有水量は補給水の供給が停止した場合に稼働が可能な時間を想定します。設計思想に依りますが30分から2時間程度の保有水量で設計することが一般的といえるでしょう。この場合仮に1時間の想定としてみましょう。
注意:過大選定は必ずしもいいとは限りません。設備では大は小を兼ねないことはよくあります。貯湯槽の場合は、スペースの負担、荷重の負担、レジオネラ繁殖のリスク等が増えてしまいます。適切な大きさに設計しましょう。
② 熱負荷と追従性
貯湯槽の大きさが決まったら、熱交換器を考えてみましょう。熱負荷の最大に合わせるのが基本になります。仮に10℃の補給水を60℃まで加熱するとしましょう。
熱交換器単体で考えた場合は最大流量の10℃の水を60℃まで加熱する。
貯湯槽で考えた場合に、少し時間を刻んで考えてみましょう。仮に貯湯槽の温度が60℃の状態で、最大流量が6分間流れたとします。そうすると1m3の60℃の温水が出ていき、1m3の10℃の補給水が入ってきます。この状態では平均温度55℃の10m3の温水がタンクに入っています。*(簡易的にするため、計算上6分毎のポイントでの加熱にしています。)
※上の二つのモデルはどちらも加熱した熱量はおなじです。
熱量と熱交換量
同じ熱量なことはわかりましたが、同じように熱交換できるかが問題です。
熱交換量を決める要素は①熱交換器熱伝達率、②伝熱面積、③流体温度差の3つあります。この中で、運転中に変わる条件が③の流体温度差です。熱交換器は温度差が大きければ熱交換しやすく、温度差が小さければ熱交換しづらくなります。
つまり、熱交換器は同じ熱量でも少量で温度差が大きい方が熱交換量を大きくできるのです。
計算の詳細はこちらのブログにて解説しています。
つまり最大流量で計算した場合でも貯湯槽のバッファを考慮した場合には、ピーク負荷が続くと熱交換容量が足りずに温度低下が起きます。下のグラフで示すように貯湯槽の温度が55℃に9分後には低下します。
貯湯槽は瞬間的なピーク負荷に対しては温度低下が発生しにくい反面、長時間のピーク負荷に対しては、徐々に温度を低下させてしまう特性があります。これは貯湯槽のサイズを大きくしたり熱交換器のサイズを小さくするとより顕著になります。
次回の温水をつくる-貯湯槽編-第2回では、『③温度ムラとレジオネラ菌対策』、『④ドレン滞留と熱交換器のパンク』、『⑤緊急時の貯湯槽の役割』について解説します。
こちらの記事の対となる『温水をつくる‐瞬間給湯編』を公開いたしました。合わせてご覧ください。
蒸気に関するWebマガジン No.53
スチームマネジメント
ボイラーから発生した蒸気は、乾き度維持、圧力制御、流量計測、トラップ管理、ドレン管理等、様々なマネージメントが要求されます。
各箇所における、適切な「スチーム・マネージメント」の実施は、お客様のシステムの生産性向上、効率・環境の改善、コストダウンと共に、それらを高い基準で維持する事に繋がります。
これらは『スチーム・マネージメント』の代表例であり、ほかにも多くの項目がありますが、それらすべてをお客様で実践することは大変です!
蒸気のことは、すべてスパイラックス・サーコに任せてください。当社はお客様の持続可能な成長のために、貢献させていただきます。
次回は『温水をつくるー貯湯槽編 第1回』です。
蒸気に関するWebマガジン No.52
スチームオペレーション
蒸気の発生源であるボイラ室周辺には、様々な機器が設置されています。特に蒸気に初めてかかわるの方々は、見たこともない機器も多く、分からないことも多いのではないでしょうか。
オペレーターの皆様は安全に、適切な蒸気をプロセスに送気するために、日々細心の注意を払って機器を操作します。今回は、オペレーターの日々を、ほんの少し覗き込んでみましょう。
①朝一番、蒸気ヘッダーへ
なぜバルブ回し棒が必要なの?
バルブ回し棒は、主にグランドシール方式のバルブの開閉に使用されます。グランドシールは、その締付力により流体が漏れない構造になっていますので、軸棒との摩擦力が大きく、ハンドルを回す力が大きくなりがちです。グランドシール方式の良いところとしては、漏れても、締めれば、ある程度まで漏れは止まります。
●現場の声(問題点)
バルブ回し棒を忘れたら・無くしたら大変。 遠くまで持っていくのは、結構大変です。
解決策:ベローシールバルブ
ベローシールバルブは、その構造上、簡単に手で回すことが可能で、ハンドルも熱くなりません。また、ベローシールで、蒸気漏れがありませんので、保守や省エネでランニングコスト削減に貢献します。
②ヘッダーからプロセスへ
なぜ、1時間も掛かるの?
オペレーターの皆様は、バルブ操作に大変気を使います。蒸気のバルブを一気に開ける行為は、「ウォーターハンマー」を発生させ、安全を脅かすと同時に、システムに壊滅的な損傷を与えることがあります。 ゆっくり、ゆっくり、バルブ操作をするため、各プロセスへ完全に送気する には、1時間以上掛かることは、決して珍しいことではありません。
●現場の声(問題点)
送気に時間が掛かるので、朝早く出社して準備なくちゃ。 数ラインでも立ち上げるのに結構時間が掛かるんだ。
解決策:自動送気システム
制御弁を系統のラインに設置します。その制御弁を、タイマー等との組み合わせで、ゆっくり開けます。(蒸気ラインは、ゆっくり開けないといけないのです。)朝出社したときには、ラインは立ち上がっていてすぐに操業に入れます。
③装置の昇温
なぜ、バイパス弁を開けるの?
朝一番は配管内に空気が多く含まれ、蒸気の流入をさまたげています。バイパス弁を開けると空気の排出が速くなります。
●現場の声(問題点)
でも毎回開けるのは面倒だなあ。 実は開けたまま忘れてしまうこともあります。
解決策:自動エア抜き弁
装置に適切な自動エア抜き弁を設置します。また、配管の適切な個所にもエア抜きを設置する事は有効な対策です。蒸気は冷えて凝縮すると、管内が負圧になり、外部からのエアが入ってきますので、操業開始時は配管管内に多くのエアがあります。エアは装置昇温を妨げます。
まとめ
もちろんその他にも、オペレーターの皆様は、機器からの異音・振動に留意しながら、モニタリング(圧力、水位、流量、温度、TDS、PHなど)、制御(制御弁、ブローなど)など、非常に多くのものを管理しながら、さらなる改善を行っています。
一つ一つの課題を解決できれば、より価値のある業務に時間を費やすことができ、お客様のシステムの生産性向上、効率・環境の改善、コストダウンなどに繋がります。
日々、蒸気に関して疑問に思う事はありませんか?
蒸気の事は、全てスパイラックス・サーコに任せてください。当社はお客様の持続可能な成長のために貢献させていただきます。
次回は『スチームマネジメント』です。ぜひご覧ください。
蒸気に関するWebマガジン No.51
蒸気配管の中ってどうなっていると思いますか?
蒸気配管ですから、"蒸気だけが流れている"と思われる方も多いのではないでしょうか?
"蒸気だけが流れている"というのは非常に理想的なのですが、現実ではなかなかそうはいきません。
今回は、蒸気配管の中をのぞきながら、それぞれの流体・物質に対して、適切な解決策を探ってみましょう。
蒸気
言うまでもありません。でも実は蒸気には「乾き度」と言うものがあります。ひとくちに"蒸気"といっても、配管に流れている蒸気は同じではありません。過熱蒸気なのか飽和蒸気なのかをはじめ、「温度」「圧力」「乾き度」「流速」等いろいろな要素があります。
蒸気を加熱目的で利用するためには、これらの要素が使用するポイントで安定していることが大切です。
ドレン
蒸気発生時点での浮遊する水であったり放熱等で蒸気が水に凝縮してしまったものを「ドレン」や「凝縮水」と呼びます。過熱蒸気でない限りはボイラーでの蒸気発生時点でも100% 乾き度の蒸気というのは、まずありえません。そのためドレンは蒸気配管には少なからず存在します。
そしてこのドレンが「蒸気は難しい」といわれる代表的な原因といえるでしょう。
ドレンによる「浸食」や「ウォーターハンマー」は蒸気の設備の運営において、保守や安全性に大きく影響を与えます。ドレンの適切な除去は蒸気エンジニアリングにおける大きな一つのテーマといえます。
空気
空気を代表する非圧縮性ガスと呼ばれる気体は非常に優秀な断熱材です。
ただし、加熱を行う上では加熱時間、温度の安定やムラや配管の腐食等、蒸気配管にとってのメリットはないといえるでしょう。24 時間運転の工場ならともかく、毎日や週末に蒸気設備を停止する工場では、フランジの隙間などからの空気の混入を防ぐのは困難です。
異物
錆、スケールや金属くずといった固形物は配管を施工するうえで排除しきるのは困難でしょう。ストレーナを詰まらせることにより圧力が低くなってしまったり、制御機器にかみ込んでしまうことによって機器の故障につながります。
今回の関連事項を少しだけまとめました。
如何でしたか?蒸気配管の中身は、一様な蒸気だけではありません。配管方法や適切な機器を設置して、配管の環境を整えることで、問題解決につながります。詳しくはお近くのスパイラックス・サーコのエンジニアまでご相談ください。
次回は『スチームオペレーション』です。
蒸気に関するWebマガジン No.50
普段は"蒸気"という言葉でひとくくりにされていますが、"過熱蒸気"と"飽和蒸気"という2種類の蒸気があることはご存知ですか? 2つの蒸気は特性の違いから、発電設備等では"過熱蒸気"が、熱利用する施設では"飽和蒸気"が多く利用されています。
排熱ボイラーや発電設備で副次的に生成された過熱蒸気は加熱媒体としては飽和蒸気に劣りますが、幾つかのメリットがあります。
過熱蒸気から飽和蒸気に
過熱蒸気から飽和蒸気に調整するシステムを 減温システム といいます。
過熱蒸気は飽和蒸気より更に熱エネルギーを保有している蒸気です。そのため、過熱蒸気に水を混ぜることにより、飽和蒸気へと調整することができるのです。
ただし、蒸気の理想配管では蒸気(気体)とドレン(液体)が同時に存在することを嫌います。ですので、飽和蒸気より少し過熱されている程度の過熱蒸気へと調整します。
こうすることによって、熱利用設備で利用しやすい飽和蒸気に調整され、熱利用が可能になります。
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過熱蒸気と飽和蒸気の使い分け
過熱蒸気と飽和蒸気はそれぞれメリット・デメリットが存在します。
また、過熱蒸気は動力や移送に、飽和蒸気は熱利用に――各工場での最適な使い方は異なりますので、工場の生産、安全、保守、省エネ等を考慮したうえで、最適な蒸気システムを組むことが大切です。
スパイラックス・サーコでは過熱蒸気に低圧蒸気を混ぜて中圧蒸気にする減温器をご用意しております。
製品詳細はこちらから。
次回は『蒸気配管の内部を見てみよう』です。ぜひご覧ください。