流量計測#02
蒸気に関するWebマガジン No.11
流量計測は難しい?
流量計測#01で蒸気の流量計測の意義について説明しました。
"でも、蒸気の流量計測ってむずかしいでしょ?"という印象をお持ちのお客様が多いのではないでしょうか。
確かに蒸気の流量計測には、蒸気エンジニアリングが必要です。残念ながらどんなに優れたデザインの流量計でも、蒸気システムや設置に配慮がなされないとうまく機能しないのです。
なぜなら蒸気は気体と液体の二相流の状態で、配管の中を通常25 ~ 30 m/s 程度のスピード(時速100 km !!!)で流れています。
また蒸気圧力は常に変動しており、単純に流量計を設置しただけで、必要な流量計測情報が得られるとは限りません。
◆なぜ蒸気の流量計測はむずかしいのか。
多くの計器は容積の測定に頼っています。容積は圧力に左右されるので、測定はその契機に適した圧力で行わせるべきで、そうでないと複雑な補正が必要になります。圧力が変動する条件下で行われた測定は不正確なのです。
◆蒸気流量計測を行う際に注意しなければいけないポイント!
ポイント1 設置
蒸気は計測点において、可能な限り安定し、乾いた状態であることが求められます。直管寸法だけではなく、蒸気セパレータ、スチームトラップ、ストレーナなどによって、蒸気の質を高め、計測に適した蒸気を作り出すことは流量計の最高の性能を引き出すことのみならず、メンテナンスやシステム改善にも寄与します。
ポイント2 レンジアビリティ
レンジアビリティ(ターンダウン)は流量計が精度、及び繰り返し性の公差内で機能する、最大流量と最少流量の比です。レンジアビリティが広ければ、それだけ、流量を広範囲に一台で計測する事ができます。蒸気使用量がレンジ内で安定的であるならば、狭いレンジアビリティでも計測は可能ですが、一旦、範囲外を出てしまうと、計測していても精度保証範囲外であったり、計測値がゼロとなり、「とりこぼし」となります。一般的には、この「とりこぼし」が多く、蒸気の使用実態を見にくくしている要因の一つでもあります。
ポイント3 圧力補正
蒸気圧力は変動しています。圧力が変わると、比体積が変わるので、補正を行わないと計測誤差を生じ、それが累積すると無視できない値になってしまいます。流量計のタイプにもよりますが、例えば差圧式流量計の場合、設定圧力:0.50MPag、実際圧力:0.42MPag であれば、流量計の計測表示は、約+7% の過大表示になってしまいます。
ポイント4 乾き度補正
蒸気は気体と液体の二相流です。例えば、乾き度補正のない流量計で、乾き度95% の蒸気を計測した場合、流量計の計測表示は、約-2.5% の過小表示になってしまいます。
最後に
蒸気流量計測の意義や蒸気の流量計測方法に求められることについて解説してきました。
流量計測の意義をご理解いただくと、今度はその活用方法や、流量計の精度、検出方法、外部出力などについて知りたくなると思います。詳しいことはお問い合わせください。流量計の選定などのご相談も受け付けております。
スパイラックス・サーコの蒸気流量計の詳細についてはこちらからご覧ください。
次回は『蒸気質の低下原因』について解説します。ぜひご覧ください。