スチームトラップマネジメント 第3回

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

蒸気に関するWebマガジン No.90

※こちらの記事はスチームトラップマネジメント 第3回です。

第1回はこちらから、第2回はこちらからご覧ください。今回はケーススタディをご紹介します。

スチームトラップの見直しによる制御弁の故障解消

課題.png

課題︓空調機の加湿ラインの制御弁が頻繁に故障し漏水が発生していてテナントからクレームが来ていた

課題を分解していくと
▶制御弁前でのドレン除去ができておらず制御弁が浸食されていた。特に加湿ラインでは制御弁が閉弁している時間も長く溜まりやすかった
▶スチームトラップを設置するスペースが各フロアに確保できていない
▶作業スペースが限られており作業も難しい
▶高層ビルでトラップを設置する場合に騒音を気にする必要がある
▶オフィスビルであるため工事は土日しかできないため工期がかかってしまう
▶今後のメンテナンスも容易に実施できる必要がある

提案.png

提案︓スチームトラップステーションの設置による蒸気システムからのドレン除去


課題を分解すると
▶温調式トラップを設置することによって静かなドレン排出
▶ドレンポケットの設置によるドレン流入ラインの確保
▶トラップステーションの設置
▷スペースを1/3 以下に抑える
▷現場での補器類の接続作業を排除
▷工期を1/2 以下に短縮
▷メンテナンス時は配管の取り外しを行わずにトラップ交換が可能

成果.png 成果︓制御弁の漏れが解決し、将来的なリスクを抑えるため全フロアで実施し管理することでテナントへよりよい環境を提供できることができるようになった。

No.89_08.png

スチームトラップステーション STS17.2








スチームトラップマネジメント 第2回

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

蒸気に関するWebマガジン No.89

※こちらの記事はスチームトラップマネジメント第2回です。第1回はこちらからご覧ください。

スチームトラップがドレンを排出するのに重要なことは分かったと思います。しかしスチームトラップはスチームトラップに到達したドレンしか排出できません、なのでドレンが発生してからしっかりとスチームトラップに到達するように配管を設計してあげることが非常に大切です。トラップはある程度なにを使っても許容できる場合がありますが、スチームトラップまでの道のりは確実にしておかないとドレン排出はできません。


No.89_03.png

スチームトラップの排出後

ドレンがスチームトラップを出た後はどうなるかご存じですか?圧力次第ではありますがドレンの一部は蒸気になります。この蒸気をフラッシュ蒸気と呼ぶのですが質量では一部でも体積とすると90%以上が蒸気になります。そのためドレン配管は水配管ではなく蒸気配管として設計する必要があります。また既存のドレン主管につなぐ場合には満水の可能性もありますのでウォータハンマ―の可能性もあります。少しでもリスクを低減するためにディフューザを設置し影響を少なくしましょう。

No.89_06a.png

省エネトラップはどのトラップ?

省エネトラップという言葉を時々聞くことはありませんか?厳密にいうと多少の省エネ性はあるのですがここでの答えは省エネトラップは存在しません。なぜならスチームトラップはドレンを排出するだけです。『ドレンをつくることはしない』=『エネルギーを浪費しない』のでそもそも省エネ性を考えるのは難しいですね。細かな省エネ性に関してはDr Steamの『スチームトラップとして必要な機能』をご覧ください。

ちなみにオリフィストラップやラビリンストラップという種類のトラップがあります。これらは全閉ができないタイプのトラップです。(ISOではトラップには定義されない)これらは常に一定負荷を条件に選定しますので条件によっては蒸気を漏らすことを前提に設計します。なので省エネとは真逆と立ち位置にいるトラップです。もともとメンテナンスができない船で故障しないことを優先として設計されて使用されていたトラップですね。

トラップマネジメントの省エネルギー

省エネトラップは基本的に存在しないといいましたが、トラップマネジメントでは省エネができます。トラップが正常稼働時にはトラップは蒸気を漏らしませんが、故障時は蒸気を漏らします。なのでいかに故障したスチームトラップを早く修理するかがトラップマネジメントの課題です。その上でポイントは2つです。

No.89_06.png

❶ 故障の早期発見

定期的なトラップ点検やトラップ故障の自動検知(STAPS)等でなるべく早く発見する。

No.89_07.png

❷トラップ交換の早期実施

スチームトラップステーションでは配管の取り外しをする必要がないため5分程度でのトラップ交換が可能です。また遮断弁を二重にしブローダウンバルブを設置することによって、蒸気通気中の交換が可能になるため定期修繕のタイミングまでの蒸気ロスを防ぐことができます。

第3回はスチームトラップの見直しによる制御弁の故障解消のケーススタディをご紹介します!
 

スチームトラップマネジメント 第1回

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

蒸気に関するWebマガジン No.88

TD42_Thermodynamic_Steam_Trap_Installation_02LR.jpg

蒸気システムにおいて、スチームトラップというのは欠かせない設備ですね。蒸気システムにおいての理想のひとつはいかに蒸気だけを供給することができるかという点です。スチームトラップはその名前の通り、蒸気(スチーム)を捕らえて(トラップして)、その他の流体を蒸気システムから排出する設備です。

スチームトラップの定義

ISOやJISの規格では "蒸気機器から凝縮水を自動的に排出し,原則として閉弁の間は生蒸気を漏らさない弁装置を内蔵しているもの"と定義されています。またその種類は大きく作動原理により3種類に分類されており、それらはそれぞれ『機械式』『温調式』『熱力学式』と呼ばれています。それぞれその作動方式の中でもよく見かけるものがフロート式、バケット式、バイメタル式、バランスプレッシャー式とディスク式の5つがあり、大手のスチームトラップメーカーではおおよそこの5つのスチームトラップで使い分けがされます。

No.89_01.png

スチームトラップの役割と選定

スチームトラップの役割は定義されている通り、蒸気システムからのドレン排出であり、蒸気システムが設計された通り蒸気で満たされて稼働することが唯一にして最大の役割です。

①ドレンの排出能力

まず一番重要な選定基準は『ドレンを排出できる』ことです。

●圧力 ●温度 ●流量

通常のドレン排出であればこの3点さえ仕様を満足しておけば、上の5種類のスチームトラップのどれを選定しても、設置環境を整えてあげることでドレンの排出は可能です。また過熱蒸気の場合には温度と流量を複数検討する必要がある場合もありますので気を付けましょう。

②一次側のドレン溜り

スチームトラップはドレンを排出するのが仕事ですが、その作動方式によってはドレンの排出能力が足りていても一次側に一定量のドレンを保有してしまうことがあります。これは場合によっては『蒸気システムを蒸気で満たす』という役割の邪魔になってしまう可能性があります。特に熱交換器のドレン排出では加熱能力に直接影響がでやすいため水位を感知しているトラップであれば、一次側にドレンがたまることはないため、機械式トラップが推奨になります。その他のトラップでも一次側配管をしっかり設計することによってこのデメリットは解消できますが、設計の自由度を考えるとやはり機械式トラップを選んだ方が無難といえるでしょう。

③フェールオープンとフェールクローズ

スチームトラップは可動部がありますので、故障は発生します。ここで注意すべき点は壊れた際に『ドレンを排出できない』か『蒸気を漏らす』かです。ここに関してはアプリケーションごとによって優先順位が変わってきますが、ポイントは大きく2つで『すぐに気づけるか』と『すぐに直せるか』です。ここでも注意すべき点は蒸気システムからのドレン排出の優先です。配管の中間トラップ等はすぐに気づくことまたすぐに直すことも容易ではないケースが多いためウォータハンマ―の危険性が付きまといますのでフェールオープンにすべきでしょう。

④空気の排出能力

蒸気配管には空気が混入してしまうことがどうしてもあります。特に24時間稼働でない場合には、毎日ボイラー休止時には高確率で配管内に空気が入ってきてしまいます。空気は非常に優秀な断熱材であるため、蒸気システムとしては当然排出できることが好ましいです。この場合には、蒸気配管の管末に空気抜き弁を設置することと装置でもなるべく空気障害解消機能を持ったスチームトラップが推奨になります。

⑤蒸気障害

アプリケーションによっては蒸気障害といわれる現象が発生します。これは回転機などでトラップの一次側にドレンより先に蒸気が来ることによってスチームトラップがドレンがないと判断してしまいドレン除去ができない場合です。こういった場合には蒸気障害解消機能付きのスチームトラップを選定しましょう。

No.89_02.png

スチームトラップの作動

各スチームトラップの作動についてはこちらの動画で纏めてあります。ぜひご覧ください。

ブログタイトルD_スチームラボ6_アートボード 1.png

スチームラボ|スチームトラップ (spiraxsarco.co.jp)

次回

スチームトラップはスチームトラップに到達したドレンしか排出できません。なのでドレンが発生してからしっかりとスチームトラップに到達するように配管を設計してあげることが非常に大切です。第2回ではドレンがトスチームトラップに到達するまでの道のりを見ていきましょう。

スチームラボ|スチームトラップ

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

蒸気に関するWebマガジン No.86

スチームラボIcon.png

スチームトラップは大きく作動原理により3 種類に分類されており、それらはそれぞれ『機械式』『温調式』『熱力学式』と呼ばれています。それぞれその作動方式の中でもよく見かけるものがフロート式、バケット式、バイメタル式、バランスプレッシャー式とディスク式の5つがあり、今回はバイメタル式を除く4つのスチームトラップの構造や排出の実演を用いて解説しました。

メリット・デメリット、設置場所についてもまとめてあります!

ぜひ動画をご覧ください。

◆スチームトラップの資料

各スチームトラップの資料はこちらから。

スチームトラップのオーバービューカタログは下記よりご覧いただけます。

◆実験のリクエストを受け付けております。ご意見、ご感想もよろしくお願いします。

https://forms.gle/NoNxKH9iban8PtXc9

スチームラボ|空気抜き有無による昇温の比較実験

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

蒸気に関するWebマガジン No.84

スチームラボIcon.png

配管内には蒸気とドレンだけでなく空気が存在します。アプリケーションの休止時に配管が冷えることによって配管内が負圧になりやすく、フランジ等から空気が流入します。

空気は優秀な断熱材です。優秀な断熱材がアプリケーションに残っているとプロセスで熱交換する際に邪魔になります。

今回のスチームラボでは、ジャケット釜において空気抜き弁の有無で昇温時間にどれくらい差がでるかの実験を行いました。

どれくらい影響がでるのか、ぜひ動画をご覧ください。

◆空気抜き弁の資料

空気抜き弁の資料はこちらから。

スチームトラップにも空気抜き機能付タイプもございます。こちらからカタログをご覧になれます。

◆実験のリクエストを受け付けております。ご意見、ご感想もよろしくお願いします。

https://forms.gle/NoNxKH9iban8PtXc9

蒸気に関連する用語集

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

蒸気に関連する用語を集めました。聞いたことない用語に出会った際にぜひ参考にしてみてください。今後も追加していきます。もっと詳しく説明してほしいという用語がありましたら、ぜひこちらまで。


ア行カ行サ行タ行ナ行ハ行マ行ヤ行ラ行

用語 英語表記 解説

アウトフローヒーター

Outflow heaters

貯湯タンクの側面・下部に設置されたシェルアンドチューブ式熱交換器のこと。タンクから吐出されるオイルを局部的に加熱する

アキュムレーション

Accumulation

保護対象システムの最大許容作動ゲージ圧を越える圧力増加のこと

ウォーターハンマー

Water hammer

ドレンの「かたまり」と障害物の衝撃によっておこる騒音と振動のこと。詳しくはこちらで解説しています

エコノマイザー

Economizer

高温の排煙中のエネルギーを用いてボイラの熱交換率を改善する装置で熱交換器の一種

エンタルピー

Enthalpy

物体が持つエネルギーの総量で単位はkJ(キロジュール)やkcal(キロカロリー)。また単位質量当たりの物体の持つエネルギーは比エンタルピーと呼ばれkJ/kgで表される。工業分野では後者の比エンタルピーが良く利用される。詳しくはこちらで解説しています

エントロピー

Entropy 物体の「乱雑さ」を表す指標。熱量を温度で割ったkJ/K(キロジュール/ケルビン)で表されSという記号が使われる。こちらもエンタルピー同様に単位質量当たりのエントロピーは比エントロピーと呼ばれる

オートクレーブ 

Autoclaves 蒸気を充満する加圧容器で医療機器の滅菌や高温高圧を使用した化学反応(ゴムの加硫など)に使用される機器

オートチューニング

Auto-Tuning 特定の時間オン/オフ制御に切り替える時間中に制御装置がその応答の結果を分析し、自らPID定数を計算して設定する機能

オーバーシュート

Overshoot 加熱時に被加熱物体が目標温度を超えてしまった際の温度超過分のこと

塊状流

Massive flow

蒸気配管の中をドレンが塊になって流れる様。こちらで解説しています

過熱蒸気

Superheated steam 飽和蒸気がより高温の伝熱面にさらされると、その温度が蒸発温度を越えて上昇した蒸気のこと

環状散乱流

Annular scattering flow

湿り飽和蒸気の代表的な流れ。環状流に似ていますが気相に浮遊する水滴状態の水分も含まれている。こちらで解説しています

環状流

Annular flow

蒸気配管の中をドレンが配管壁を伝い環状に流れる様。こちらで解説しています

間接加熱

Indirect heating

熱交換器などを使って間接的に加熱する方法。温水製造における間接加熱をこちらで解説しています

キャビテーション

Cavitation

液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象である。空洞現象ともいわれる。詳しくはこちらで解説しています

キャリーオーバー

Carry-over

ボイラで発生した蒸気に、ボイラ内の水が混ざった状態で運ばれてしまう現象のこと。詳しくはこちらで解説しています

給水

Supply water

ボイラへ供給する水のこと

給水タンク

Water tanks

蒸気ボイラに供給される水を一時的に貯めるタンクのこと

ゲージ圧

Gauge pressure 大気圧を基準点とした圧力単位。ゲージ圧=絶対圧-大気圧(0.1) これは海面での大気圧の平均値。MPaG

顕熱

Sensible heat 温度上昇また温度下降を伴う熱のことをいう。 温度が上昇または下降するときに変化する熱のことを指すもの

差圧

Differential pressure 単純に二つの圧力の差

散乱流

Scattered flow

水分が浮遊する水滴状態の流れで乾き度の高い蒸気の流れ。こちらで解説しています

時間比例方式制御

Time proportional method

蒸気をON-OFFで供給する際に比例周期(標準は20秒)で何秒供給するか決めて制御する方式。こちらで解説しています

ジャケット釜

Jacketed Pans

ステンレスまたは銅製の釜で、食品・飲料業などであらゆる材料の煮沸に使用される。この巨釜は二重釜構造になっておりジャケット部に蒸気を充満させ釜内部の材料を加熱する

蒸気障害

Steam locking

トラップ内が蒸気でロックされドレンが排出できない現象。サイフォン管や封管からドレンを除去する場合に起こりやすい。こちらで解説しています

蒸解

Digesters

化学パルプの製造過程でパルプの原料である木材チップに薬液を加えて高温・高圧で煮て、樹脂(主にリグニン)を溶かすこと

出典:日本製紙グループ 紙の豆知識

水位制御(ボイラ)

Water level control 水位が低下しすぎてボイラ管が水面から露出した場合、ボイラ管が過熱されて破損し爆発を起こす恐れがあるためボイラ内の水位を制御する事

水質処理

Water treatment 水道水はボイラに最適とは言えないため、薬品で処理し不純物を減らすこと

SCADAシステム

SCADA 監視制御データ収集システム(Supervisory control and data acquisition)スキャダと読む

スケール

Scale 配管内に析出する難溶性の物質

ストール

Stall

熱交換器からのドレンの流れが減少または停止する現象。詳しくはこちらで解説しています

スパージパイプ

Sparge pipe 一定の位置(通常は4時と8時の位置)に孔をあけ、タンク内に蒸気を噴出する蒸射管

絶対圧

Absolute Pressure 完全真空を基準点とした圧力単位。すなわち完全真空の圧力が0 bar A = MPaA

セルフチューニング 

Self-Tuning オートチューニングでは試運転時のPID定数を設定するが、それだけでなくプロセスシステムの変化又はアプリケーション状況の変化により必要であればそれを設定し直す機能

剪断ピン

Breaking pin/ shear pin 入口静圧で作動する非再閉圧力逃がし装置で、圧力保持部を支持するピンの負荷部の剪断によって機能する

潜熱

Latent heat 物体が融解・気化のときに吸収し、凝結のときに出す熱

全熱

Total spesific entropy 蒸気が保有している総てのエネルギー。顕熱+潜熱=全熱

ツィーグラー・ニコルズ法 

Ziegler-Nicholls method 周波数応答法限界感度法とも呼ばれる。実際の負荷に対する制御装置の設定を決定するのに非常に有効。安定点に達するための増幅器として制御装置を使用する

伝導

Conduction 個体もしくは静止流体のいずれかの媒体で温度勾配が潠題する場合に起こる熱の伝達のこと

ターンダウン

Turn down ターンタウン比はアプリケーションにおける最大流量と最小流量の比

直接蒸射

Direct steam injection

直接蒸気を噴射して加熱・殺菌する方法。温水製造における直接蒸射をこちらで解説しています

TDS管理

TDS management TDS濃度を正常に保つためにボイラの缶水を一部定期的に排出してTDSを管理する

TDS濃度

TDS concentration 総溶解固形分濃度 TDSとは、Total Dissolved Solids=総溶解固形分のこと

トレーシング/

トレース

Trace heating/Trace

大きい口径のプロセス配管の外面に沿って小径の蒸気管を設置した加熱保温システム。詳しくはこちらで解説しています

ドレン

Condensate

蒸気が放熱して凝縮したもの。ドレンの持っているエネルギーについてこちらで解説しています

2相流

Two-phase flow 配管中を流れる蒸気は気体(蒸気)と液体(ドレン)からなる気液2相の流れ

熱交換器

Heat exchanger

ある媒体から別の媒体への熱伝達を促す機器。くわしくはこちらで解説しています

ノンフロー型アプリケーション 

Non-flow aplication

加熱される製品を容器内に充満させて加熱するバッチ式アプリケーションのこと。貯湯槽やタイヤプレス、ランドリー用タンブラー、加硫装置、オートクレーブなど

バッチ式制御

Batch prosesses

製品を設定温度まで加熱したり、設定温度を一定時間保持する制御。温水製造におけるバッチ式をこちらで解説しています

バランスレスバンプレス

Balanceless Bumpless

自動制御ループの中断(「手動」-「自動」切り替え機能で特定の制御条件において自動制御を必要とする場合がある)を回避する機能。出力信号を一致させる

比エンタルピー

Specific enthalpy

単位質量(1kg)あたりのエンタルピー。kJ/kg。詳しくはこちらで解説しています

比熱

Specific heat

質量1kgの物質の温度を1℃上げるのに必要なエネルギー。水の比熱は4.19kJ/kg℃(0~100℃の場合)

ビルエネルギー管理システム

BEMS (Building and Energy Management System) ベムスと読む

ファウリング

Fouling

伝熱面に蓄積した沈着物によって熱の流れに抵抗が加わって起こる現象

フィルタースチーム

Filter steam

蒸気の純度で分類した際にフィルター(通常5ミクロン)を通した蒸気のこと。こちらで解説しています

フェイルセーフ

Fail-Fafe

故障した際に安全を確保するために機器が行う動作。フェイルオープンとフェイルクローズがある

フォーミング

Foaming

これはボイラ水面の濃度上昇により、蒸気出口とのスペースに泡が生成される現象のこと。詳しくはこちらで解説しています

吹出し圧力

Opening pressure

所定の流量を排出するのに十分なリフトが得られるゲージ圧。設定圧力に吹出し圧力差を加算したものに等しい

吹出し係数

Coefficient of discharge

理論上の吹出し量と実際の吹出し量の比

腐食

Corrosion

配管が金属の場合、隣接する物質(水や空気など)と化学反応を起こし変質し錆などができること

プライミング

Priming 大きな負荷が突然加えられることによって蒸気圧が急激に降下するとボイラ水が配管内に引き込まれ、流れる現象のこと

フラッシュ蒸気

Flash steam

ドレンがより低い圧力の個所に排出された際にドレンの一部が再蒸発してできる蒸気。詳しくはこちらで解説しています

ブリッジ(自動化用語)

Bridges

ネットワーク上のフィールドバスプロトコルとコンピュータとの間をインターフェースするデバイスのこと

フロー型アプリケーション

Flow aplication 加熱される流体がコンスタントに伝熱面を流れている連続式アプリケーションのこと。シェルアンドチューブ式熱交換器、エアヒーター用バッテリーなど

ブローダウン

Blowdown 缶水のPhを維持するために、濃縮された缶水の排出を行うプロセス

プロセス

Process 工程。工場において加熱プロセス、乾燥プロセスのように使われる

プロセスタンク加熱

Process tank heating 液体タンク内に蒸気管を沈めタンクの内容物を設定温度まで加熱する

飽和蒸気

Saturated steam 水と水蒸気のように同じ物質の液体と蒸気が熱平衡にあるときの、その蒸気を飽和蒸気とよぶ

ポッピング圧力

Popping pressure 圧力逃がし弁の増大する入口静圧の値でこの圧力において測定可能なリフトがある、または吹出しが連続的になると視覚、触覚、聴覚によって判断される

水処理

Water treatment 水質処理と同じ

モリエル線図

Mollier diagram 蒸気の比エンタルピーをその比エントロピー(sg)との比較において作図した線図のこと。H-S図とも呼ばれる

溶解固形分

Total dissolved solids ボイラの缶水中にブローダウンで除去できなかった不純物。=TDS

溶存酸素量

Dissolved gases (oxygen) 水に溶けている酸素の量。加熱することによって溶存酸素量は低減する

リフト

Lift ディスクが閉止位置から移動する距離

臨界圧力

Critical Pressure 一般にどんな気体でも、ある温度以下でないと液化しない。この限界の温度を臨界温度といい、その温度で液化させるのに必要な圧力を臨界圧力という

累積背圧

Built-up backpressure 吹出しにより出口側に蓄積されるゲージ圧

レベル制御

Level control

プロセスタンクなどの液体水位の制御。水位制御ともいう

レンジアビリティ

Rangeability

機器の持つ制御可能(流量計測可能)な最大流量と最小流量の比。流量計におけるレンジアビリティをこちらで解説しています。

連続式制御

Continuous control system

需要の有無に関係なく一定出力を保つ制御。温水製造における連続式をこちらで解説しています

連続比例方式制御

Continuous proportional method

蒸気を連続的に供給し加熱量を何%増減するか決めて制御する方式。こちらで解説しています


ア行カ行サ行タ行ナ行ハ行マ行ヤ行ラ行

Line.png

スチームラボ|加湿器のドレンだれが起きるか

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

蒸気に関するWebマガジン No.82

スチームラボIcon.png

衛生環境に対する意識はこれまで以上に高まっておりウイルスへの対策が注目されています。加湿は特に重要なファクターとして位置づけられています。スパイラックス・サーコでは加湿アプリケーションにおいて使用する「水が細菌の繁殖を引き起こせない100℃の温度に加熱されるため完全に無菌の大気湿度を生成できる」蒸気式加湿をお勧めしています。

加湿器を使用する上での懸念事項の一つとしてドレンだれがあると思います。ドレンだれが起こると垂れた水によってできた水溜まりが細菌の繁殖の温床になったり、設備に腐食が発生するため、できるだけ避けたい現象です。

スパイラックス・サーコの直接蒸射式加湿器はドレンだれがないことをメリットの一つに挙げています。

今回のスチームラボでは、加湿器のドレンだれが起こるかの実験を行いました。 水分のない蒸気を確認いただけます。

◆カタログ

蒸気噴射式加湿器のカタログはこちらから。

◆実験のリクエストを受け付けております。ご意見、ご感想もよろしくお願いします。

https://forms.gle/NoNxKH9iban8PtXc9

オンラインで蒸気技術セミナー Entryコースの受講が可能です

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

Icon部分_アートボード 1.png

2024年5月 エントリーコースをオンラインで開催いたします

全4回 各1時間 

5/14(火)、5/16(木)、5/21(火)、5/23(木)  10:00-11:00


受講対象者

セミナーレベルツリー_初級_LR_アートボード 1.png

蒸気の初心者

受講後にできること

●蒸気が加熱媒体として使用されているのかを説明できる。
●蒸気システムに必要な主要機器を理解している。


受講内容

『蒸気とは?』をテーマに、蒸気そのものを学びます。

●なぜ蒸気が加熱媒体として広く使われているのか
●蒸気機器とその役割


時間割

① Why Steam?
② 蒸気の基本特性
③ 蒸気システムの構成機器(プロセス1次側)
④ 蒸気システムの構成機器(プロセス2次側)

各1時間


講義時間/受講料

4時間

5,000円+税
テキストはPDFデータでお渡しいたします。


お申し込み

下記申込用紙にご記入の上、Infojp@spiraxsarco.comまでご連絡もしくFAXください。

2024申し込み用紙_定例セミナーCB.pdf


注記

・全4回の録画ビデオを視聴いただく受講形式です。

・質問は電話、メールにて対応可能です。

・受講開始より90日間、お好きな時間に繰り返し閲覧いただけます。

その他のコース

ブログタイトル_セミナー再開LR_アートボード 1.png



現在、オンライン開催はエントリーコースのみですが、他のコースもございます。

詳しくはこちらのページをご覧ください。

レベルチェックテスト

Entryコースを受講しようか迷われている方へ、レベルチェックテストをご用意しました。
ぜひこちらで確認してみてください!(無記名ですのでお気軽にどうぞ)

test.jpg

用語解説 キャビテーション

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

蒸気アプリケーションにおいてのキャビテーションとは

沸点に近い水がポンプに流入すると、ポンプインペラーの目の部分で蒸発し、蒸気になりやすくなります。このような現象が起こった場合、圧力が沸点以下まで低下した際に蒸気泡が発生します。圧力が再び上昇すると蒸気泡がはじけ、その空洞に水が急激に流入しぶつかり合います。

これが「キャビテーション」として知られる現象です。

キャビテーションは

・配管の損傷(細孔、スポンジのような外観になる)

・騒音

・振動

・反復的な保護層の剥離による腐食の加速

の原因になります。

GESTRA How to prevent valve erosion-30_1.png

キャビテーションには大別すると、高温水の移送時にポンプ内で発生するものと2方弁で制御した場合の圧力損失により発生するものがあります。

ポンプによるキャビテーション

キャビテーションが起こる原因

一般的に80%を超えるようなドレン回収率が極めて高いケースでは給水温度が高すぎて給水ポンプにキャビテーションが起こる場合があります。

キャビテーションの対応策

この問題を避けるには、静圧ができるだけ高くなるようポンプに可能な限りの有効吸い込みヘッド(NPSH)を確保することが不可欠です。給水タンクをボイラよりもできるだけ高い位置に設置すると、このようなヘッドの確保に大いに役立ちます。

gcm_31-japanese-proof03-4.png

ドレンを給水タンクへ移送する際にはスパイラックス・サーコのMFP型プレッシャーポンプの設置をお勧めします。

高温流体でもキャビテーションなし/メカニカルシール問題なしで移送でき、システムのメンテナンス費用の削減に貢献できます。

MFP14_001.jpg

ポンプカーソル.png

二方制御弁によるキャビテーション 

キャビテーションが起こる原因

水システム用二方制御弁において下記のような場合に発生しやすくなります。

・圧力損失の大きいアプリケーション。弁座エリアの速度が大きく、局所的な圧力低下が起こるため。

・下流の圧力が液体の気化圧よりもそれほど高くない場合。これは高温の液体や下流での低圧、あるいはこれらが複合的に発生した場合に、よりキャビテーションが起こりやすい。

大口径のバルブでは流れの力が大きいため、キャビテーションによる破損の程度が大きくなりやすいため注意が必要です。

キャビテーションへの対応策

バルブにおける圧力損失や水の温度を常にキャビテーションが起こらないレベルに維持できるわけではありません。これらの状況における解決策の1つは、特にこのような問題を解消するために設計されているバルブプラグや弁座を備えたバルブの設置です。これらの内部装備集合は「耐キャビテーション」トリムに分類されています。

キャビテーション_制御弁.jpg

※スパイラックス・サーコの制御弁ではアンチ・キャビテーショントリムをオプションで選択できます。

制御弁カーソル.png