FT14型フロート式スチームトラップ
スパイラックス・サーコのヒンジボールフロート式スチームトラップは1940年代に開発され継続的な製品改善がされています。FT14型スチームトラップは1990年の発売開始以降改善を重ねながら、既に百万台以上が製造された信頼と実績のある世界標準のヒンジボールフロート式スチームトラップであり今日でも世界中のお客様において様々な箇所でご使用いただいております。
ヒンジボールフロート式スチームトラップの用途
ヒンジボールフロート式スチームトラップは連続的にドレンを排出する必要性があるアプリケーションに使用され圧力や流量に急激な変動がある場合でも対応します。例えば常に最大の熱伝達が必要な場合はドレンを即座にプラントから除去しなければなりません。熱伝達面に余分なドレンが存在すると、効率が低下し最大定格に達しないばかりか耐用年数も短くなるケースもあります。

FT14型には材質や接続、設計定格などによりいくつかバリエーションがあります。製品レンジを纏めました。

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作動原理などはこちらで確認できます
スチームトラップの種類 -機械式-
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技術仕様書、取扱説明書はメンバーズサイトにて
ダウンロードできます
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工場の煙突や配管の先から、もやもやしたものが立ち上がっていませんか?
白い蒸気の正体は蒸気漏れではなくフラッシュ蒸気かもしれません。フラッシュ蒸気についてはこちらの記事をご覧ください。
今回は実際にフラッシュ蒸気を回収したCaseStudyを2つご紹介します。

製紙会社におけるフラッシュ蒸気の回収
きっかけ
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ご提案
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◆ドレンタンクの大気開放管から放出されるフラッシュ蒸気が気になっていた。
◆燃料費の高騰により省エネできる方法を模索していた。
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生産の安定性を測りながら同時にフラッシュ蒸気を回収し、熱エネルギーの削減できるユニットを工事費も削減できるパッケージでご提案しました。
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お客様のコメント
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大気開放管から放出されるフラッシュ蒸気が1/3程度になりました。約1年でペイアウトできるのでありがたいです。
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食品会社におけるフラッシュ蒸気の回収
きっかけ
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ご提案
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◆ボイラ給水タンクからの蒸気漏れが気になっていた。
◆製品と接した蒸気のドレンを有効使用できないか。
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給水タンクからのフラッシュ蒸気はプロセスに再利用しました。また、製品と接したドレンは廃熱回収システムを可能な限り工事も簡単なパッケージでご提案しました。
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お客様のコメント
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燃料費が4%削減できている。試算頂いた通りの結果でとても満足しています。
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フラッシュタンク
フラッシュタンクにつきましたはこちらをご覧ください。詳細はこちらよりお問い合わせください。
無圧の廃蒸気、無圧フラッシュ蒸気の回収につきましてはこちらにて解説しております。

蒸気システムにおいてドレン回収は大きな省エネ要素です。ドレンからでるフラッシュ蒸気を回収することができれば更なる省エネにつながります。
お問い合わせは上部『お問い合わせ』よりお願いいたします。
蒸気に関するWebマガジン No.89
※こちらの記事はスチームトラップマネジメント第2回です。第1回はこちらからご覧ください。
スチームトラップがドレンを排出するのに重要なことは分かったと思います。しかしスチームトラップはスチームトラップに到達したドレンしか排出できません、なのでドレンが発生してからしっかりとスチームトラップに到達するように配管を設計してあげることが非常に大切です。トラップはある程度なにを使っても許容できる場合がありますが、スチームトラップまでの道のりは確実にしておかないとドレン排出はできません。

スチームトラップの排出後
ドレンがスチームトラップを出た後はどうなるかご存じですか?圧力次第ではありますがドレンの一部は蒸気になります。この蒸気をフラッシュ蒸気と呼ぶのですが質量では一部でも体積とすると90%以上が蒸気になります。そのためドレン配管は水配管ではなく蒸気配管として設計する必要があります。また既存のドレン主管につなぐ場合には満水の可能性もありますのでウォータハンマ―の可能性もあります。少しでもリスクを低減するためにディフューザを設置し影響を少なくしましょう。

省エネトラップはどのトラップ?
省エネトラップという言葉を時々聞くことはありませんか?厳密にいうと多少の省エネ性はあるのですがここでの答えは省エネトラップは存在しません。なぜならスチームトラップはドレンを排出するだけです。『ドレンをつくることはしない』=『エネルギーを浪費しない』のでそもそも省エネ性を考えるのは難しいですね。細かな省エネ性に関してはDr Steamの『スチームトラップとして必要な機能』をご覧ください。
ちなみにオリフィストラップやラビリンストラップという種類のトラップがあります。これらは全閉ができないタイプのトラップです。(ISOではトラップには定義されない)これらは常に一定負荷を条件に選定しますので条件によっては蒸気を漏らすことを前提に設計します。なので省エネとは真逆と立ち位置にいるトラップです。もともとメンテナンスができない船で故障しないことを優先として設計されて使用されていたトラップですね。
トラップマネジメントの省エネルギー
省エネトラップは基本的に存在しないといいましたが、トラップマネジメントでは省エネができます。トラップが正常稼働時にはトラップは蒸気を漏らしませんが、故障時は蒸気を漏らします。なのでいかに故障したスチームトラップを早く修理するかがトラップマネジメントの課題です。その上でポイントは2つです。
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❶ 故障の早期発見
定期的なトラップ点検やトラップ故障の自動検知(STAPS)等でなるべく早く発見する。
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❷トラップ交換の早期実施
スチームトラップステーションでは配管の取り外しをする必要がないため5分程度でのトラップ交換が可能です。また遮断弁を二重にしブローダウンバルブを設置することによって、蒸気通気中の交換が可能になるため定期修繕のタイミングまでの蒸気ロスを防ぐことができます。
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第3回はスチームトラップの見直しによる制御弁の故障解消のケーススタディをご紹介します!
ジョイントラシリーズ対応の多機能ディスクトラップ新登場!
・2MPaラインで安定した稼働を実現
・組み合わせ12種類
・ジョイントラシリーズ初の空気障害対応オプション

・このようなお客様にお勧め!

スパイラックス・サーコのジョイントラシリーズ


製品の詳細
UTD26型ディスク式スチームトラップの技術仕様書はこちらから閲覧、ダウンロードが可能です。
取扱説明書はこちらから。
蒸気に関するWebマガジン No.55
温水をつくる-貯湯槽編- 第2回
温水は非常に身近な熱媒体です。工業はもちろんのこと、ホテル、病院や商業施設といった一般施設においてもよく利用されます。蒸気の熱の利用先として最も使われることが多い用途は温水をつくることではないでしょうか。温水をつくる方法はいろいろありますが、その中でも今回は最も基本的な蒸気で加熱する貯湯槽について考えていきたいと思います。

貯湯槽の目的は他の給湯設備と同じく第一に温度を安定させることが目的になります。その上で、一定量の保有水量があるので瞬間的な負荷に対しての対応に優れています。実際に設計してみましょう。せっかくなので、実際に数字を当てはめて考えてみましょう。
前回の温水をつくる-貯湯槽編-第1回では、『①貯湯槽の容量』、『②熱負荷と追従性』について解説しました。
③温度ムラとレジオネラ菌対策
貯湯槽内の温度はどうしても、上と下で、あるいは熱交換器から近い場所と遠い箇所とでは温度差が出てしまいます。温度管理を一点で行っている場合、供給している温度が数値通りになっているかはわかりません。その場合には60℃以下で滞留している水が発生する可能性があります。レジオネラ菌は20-45℃の範囲、特に38℃前後で最も繁殖しやすい温度環境になります。貯湯槽ではこういった温度ムラをタンク内に作らないことが重要になります。過大選定された貯湯槽では、温度ムラが発生しやすくレジオネラ菌増殖のリスクが増大します。必要以上に大きな貯湯槽を設置するのは避けましょう。温度ムラをなくすためには循環ポンプを設置することも推奨されます。滞留しやすい、熱交換器から一番遠い管底部等に循環ラインを作ることによって、温度ムラを解消しましょう。また、複数のポイントで温度計測をすることによって、安全管理の見える化もいいでしょう。
レジオネラ菌についてはこちらのページでビデオをご覧いただけます。
④ドレン滞留と熱交換器のパンク
100℃以下の流体を加熱した場合に、蒸気圧力が大気圧より下がり負圧になることがあります。この場合に、スチームトラップの二次側より一次側の圧力が下がった場合に、発生したドレンはスチームトラップから排出されることができません。この現象をストールと呼びます。このストールは熱交換器内のウォータハンマ―を引き起こし、加熱コイルの水位レベルでパンクを引き起こす原因になります。また、蒸気の制御弁のハンチング等を起こす原因にもなります。プレッシャーポンプと呼ばれるポンプをスチームトラップの代わりに設置することによって、強制的にドレン排出を行うことができますので、80℃未満の加熱で特に設計より負荷が下がることが予想される場合には、プレッシャーポンプを設置しましょう。

⑤緊急時の貯湯槽の役割
震災等の緊急時に温水を貯めていると安心ということをよく聞きます。では、実際に貯湯槽が緊急時にどのように役立つかを考えてみましょう。

ガスの供給がなくなった場合、ボイラが停止し貯湯槽の加熱ができなくなりますが貯湯しているお湯を供給することができます。ただし、お湯を本来の温度で供給できるのははじめだけで使うにつれて補給水が入ることによって、温度が下がっていきます。仮に1時間の貯湯量があっても、お湯の供給ができるのは、1時間未満となります。

電気の供給がなくなった場合、この場合はボイラ、及び供給するポンプ自体が停止していることになりますので、使用すれば、給湯システム全体の圧力がすぐに下がり、供給自体ができないと考えていいでしょう。

水の供給がなくなった場合、この場合には、ポンプ、ボイラ共に稼働し続けることが短時間可能になります。この短時間は受水槽の水の容量で決まってきます。
緊急時の温水利用という点においては、限定的な条件でのみ貯湯槽が役立ちます。緊急時の温水供給が必要なのであれば、それぞれのユーティリティの代替を検討する方が確実です。ガス供給であれば、油炊きのボイラ、電気であれば自家発電、水であれば、井戸や、十分な量の貯水等が検討できるでしょう。緊急時の対応に関しては、実際に使用したい条件を想定してシステムを構築しましょう。
熱力学の公式はこちらでご確認ください。
温水をつくる‐貯湯槽編‐いかがでしたでしょうか。実際に貯湯槽を更新する際に専門家が必要だと感じましたら、ぜひスパイラックス・サーコにお問い合わせください。
温水製造におけるバッチ式と連続式の違いについての記事を公開いたしました。こちらもぜひお読みください。
こちらの記事の対となる『温水をつくる‐瞬間給湯編』を公開いたしました。合わせてご覧ください。
次回は『ドレン回収をあきらめていませんか?』です。ぜひご覧ください。
蒸気に関するWebマガジン No.53
スチームマネジメント
ボイラーから発生した蒸気は、乾き度維持、圧力制御、流量計測、トラップ管理、ドレン管理等、様々なマネージメントが要求されます。
各箇所における、適切な「スチーム・マネージメント」の実施は、お客様のシステムの生産性向上、効率・環境の改善、コストダウンと共に、それらを高い基準で維持する事に繋がります。


これらは『スチーム・マネージメント』の代表例であり、ほかにも多くの項目がありますが、それらすべてをお客様で実践することは大変です!
蒸気のことは、すべてスパイラックス・サーコに任せてください。当社はお客様の持続可能な成長のために、貢献させていただきます。
次回は『温水をつくるー貯湯槽編 第1回』です。
蒸気に関するWebマガジン No.51
蒸気配管の中ってどうなっていると思いますか?
蒸気配管ですから、"蒸気だけが流れている"と思われる方も多いのではないでしょうか?
"蒸気だけが流れている"というのは非常に理想的なのですが、現実ではなかなかそうはいきません。
今回は、蒸気配管の中をのぞきながら、それぞれの流体・物質に対して、適切な解決策を探ってみましょう。

蒸気
言うまでもありません。でも実は蒸気には「乾き度」と言うものがあります。ひとくちに"蒸気"といっても、配管に流れている蒸気は同じではありません。過熱蒸気なのか飽和蒸気なのかをはじめ、「温度」「圧力」「乾き度」「流速」等いろいろな要素があります。
蒸気を加熱目的で利用するためには、これらの要素が使用するポイントで安定していることが大切です。
ドレン
蒸気発生時点での浮遊する水であったり放熱等で蒸気が水に凝縮してしまったものを「ドレン」や「凝縮水」と呼びます。過熱蒸気でない限りはボイラーでの蒸気発生時点でも100% 乾き度の蒸気というのは、まずありえません。そのためドレンは蒸気配管には少なからず存在します。
そしてこのドレンが「蒸気は難しい」といわれる代表的な原因といえるでしょう。
ドレンによる「浸食」や「ウォーターハンマー」は蒸気の設備の運営において、保守や安全性に大きく影響を与えます。ドレンの適切な除去は蒸気エンジニアリングにおける大きな一つのテーマといえます。
空気
空気を代表する非圧縮性ガスと呼ばれる気体は非常に優秀な断熱材です。
ただし、加熱を行う上では加熱時間、温度の安定やムラや配管の腐食等、蒸気配管にとってのメリットはないといえるでしょう。24 時間運転の工場ならともかく、毎日や週末に蒸気設備を停止する工場では、フランジの隙間などからの空気の混入を防ぐのは困難です。
異物
錆、スケールや金属くずといった固形物は配管を施工するうえで排除しきるのは困難でしょう。ストレーナを詰まらせることにより圧力が低くなってしまったり、制御機器にかみ込んでしまうことによって機器の故障につながります。
今回の関連事項を少しだけまとめました。

如何でしたか?蒸気配管の中身は、一様な蒸気だけではありません。配管方法や適切な機器を設置して、配管の環境を整えることで、問題解決につながります。詳しくはお近くのスパイラックス・サーコのエンジニアまでご相談ください。
次回は『スチームオペレーション』です。
蒸気に関するWebマガジン No.50
普段は"蒸気"という言葉でひとくくりにされていますが、"過熱蒸気"と"飽和蒸気"という2種類の蒸気があることはご存知ですか? 2つの蒸気は特性の違いから、発電設備等では"過熱蒸気"が、熱利用する施設では"飽和蒸気"が多く利用されています。
排熱ボイラーや発電設備で副次的に生成された過熱蒸気は加熱媒体としては飽和蒸気に劣りますが、幾つかのメリットがあります。
過熱蒸気から飽和蒸気に
過熱蒸気から飽和蒸気に調整するシステムを 減温システム といいます。
過熱蒸気は飽和蒸気より更に熱エネルギーを保有している蒸気です。そのため、過熱蒸気に水を混ぜることにより、飽和蒸気へと調整することができるのです。
ただし、蒸気の理想配管では蒸気(気体)とドレン(液体)が同時に存在することを嫌います。ですので、飽和蒸気より少し過熱されている程度の過熱蒸気へと調整します。
こうすることによって、熱利用設備で利用しやすい飽和蒸気に調整され、熱利用が可能になります。

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過熱蒸気と飽和蒸気の使い分け
過熱蒸気と飽和蒸気はそれぞれメリット・デメリットが存在します。
また、過熱蒸気は動力や移送に、飽和蒸気は熱利用に――各工場での最適な使い方は異なりますので、工場の生産、安全、保守、省エネ等を考慮したうえで、最適な蒸気システムを組むことが大切です。

スパイラックス・サーコでは過熱蒸気に低圧蒸気を混ぜて中圧蒸気にする減温器をご用意しております。
製品詳細はこちらから。
次回は『蒸気配管の内部を見てみよう』です。ぜひご覧ください。
First for steam solutions
スパイラックス・サーコのスチームソリューション
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