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蒸気の制御 第2回

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蒸気に関するWebマガジン No.58

蒸気の制御 第2回

蒸気の制御 第1回はこちらからご覧ください。蒸気流量の制御、バルブ特性、Kv値と蒸気流量について解説しています。

トリム/シートオプション

No.55_1_06_トリムシートオプション.jpgトリムやシートはバルブ特性やバルブの特長を決めることになる一番重要な部品になります。







①流量特性

No.55_1_07_流量特性.jpg

●イコールパーセンテージ
主用途:温度制御、圧力制御、流量制御等の比例制御
●リニア
主用途:水位制御、流量制御(圧力差の変動が少ない場合)、
    一次圧力制御
●ファストオープニング
主用途:ON/OFF制御

②ステライト加工

主用途:減圧比が高いアプリケーション
    流量が多いアプリケーション

③低騒音トリム

No.55_1_08_低騒音トリム.jpg

主用途:主管の減圧制御、蒸気逃がし弁等の減圧比が高いアプリケーション

④微小流量

主用途:研究利用。
    直接加熱等で非常に蒸気流量が少ない場合。

⑤バルブシートと遮断性能(漏れ量)

●メタルシート: クラスIV
 主用途:蒸気主管の圧力制御、少量の蒸気漏れが許容可能なプロセス

●LFPシート: クラスVI
 主用途:温度/圧力制御がシビアなプロセス、遮断弁に近い遮断性能を求めるプロセス

次回はコントロールオプションについて解説いたします。

蒸気の制御 第1回

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蒸気に関するWebマガジン No.57

蒸気の制御 第1回

蒸気制御においていろいろな制御がありますが、どの場合でも原則として"制御弁を流れる蒸気量を調整し、その結果、温度、圧力、流量などを必要な条件に整えること"を蒸気制御と呼びます。

No.55_1_01.jpg

蒸気流量の制御

No.55_1_02.jpg

上の図は、水の分子がバルブを通れる量が少なかったため、同じ体積の蒸気に存在している水の分子量が減ったことを表しています。何らかの要因(制御など)があり、比重が変化したと言えます。
質量「kg」を体積「m3」で割ったものが、比重「kg/m3」です。 (分子量は通常「 mol 」で表しますが、質量と比例の関係にあるので、ここでは「 kg 」の単位で考えてみましょう) 比重が変わると温度と圧力も連動して変わります。つまり蒸気流量を制御するということは、ある一定空間内の比重を変化させ、その結果として温度、圧力も制御するということです。

No.55_1_03.jpg

バルブ特性

バルブにはKv(Cv)値と呼ばれる流体の流れやすさを示す値があります。これはバルブの開度に応じて、変化します。このKv値が開度に対してどのように変化するかによって、大きくバルブ特性が3つに分類されます。その3つは「ファストオープニング」「リニア」「イコールパーセンテージ」とよばれます。

No.55_1_04バルブ特性.jpg

Kv値と蒸気流量

Kv値は蒸気の流れやすさを示しますが、バルブ開度に対してKv値と蒸気流量が同じように変化するわけではありません。蒸気流量はKv値と前後の圧力差によって決められます。つまり蒸気流量が少なくなるにつれて、二次側の圧力が下がり圧力差が大きくなることによって蒸気流量が流れやすくなることになります。

No.55_1_05Kv値と蒸気流量.jpg

蒸気の制御では比例制御がよく採用されます。蒸気流量がバルブ開度に対して比例関係にあることが制御を行いやすいからです。蒸気の制御では多くの場合が、「イコールパーセンテージ」の特性が採用されます。これは「イコールパーセンテージ」が蒸気流量とバルブ開度の関係が正比例に近く制御がしやすいからです。

次回はトリムとシートオプションについて解説いたします。

温水をつくる-貯湯槽編- 第2回

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蒸気に関するWebマガジン No.55

温水をつくる-貯湯槽編- 第2回

温水は非常に身近な熱媒体です。工業はもちろんのこと、ホテル、病院や商業施設といった一般施設においてもよく利用されます。蒸気の熱の利用先として最も使われることが多い用途は温水をつくることではないでしょうか。温水をつくる方法はいろいろありますが、その中でも今回は最も基本的な蒸気で加熱する貯湯槽について考えていきたいと思います。

No.56-2.jpg

貯湯槽の目的は他の給湯設備と同じく第一に温度を安定させることが目的になります。その上で、一定量の保有水量があるので瞬間的な負荷に対しての対応に優れています。実際に設計してみましょう。せっかくなので、実際に数字を当てはめて考えてみましょう。

前回の温水をつくる-貯湯槽編-第1回では、『①貯湯槽の容量』、『②熱負荷と追従性』について解説しました。

Icon3.png③温度ムラとレジオネラ菌対策

貯湯槽内の温度はどうしても、上と下で、あるいは熱交換器から近い場所と遠い箇所とでは温度差が出てしまいます。温度管理を一点で行っている場合、供給している温度が数値通りになっているかはわかりません。その場合には60℃以下で滞留している水が発生する可能性があります。レジオネラ菌は20-45℃の範囲、特に38℃前後で最も繁殖しやすい温度環境になります。貯湯槽ではこういった温度ムラをタンク内に作らないことが重要になります。過大選定された貯湯槽では、温度ムラが発生しやすくレジオネラ菌増殖のリスクが増大します必要以上に大きな貯湯槽を設置するのは避けましょう。温度ムラをなくすためには循環ポンプを設置することも推奨されます。滞留しやすい、熱交換器から一番遠い管底部等に循環ラインを作ることによって、温度ムラを解消しましょう。また、複数のポイントで温度計測をすることによって、安全管理の見える化もいいでしょう。

レジオネラ菌についてはこちらのページでビデオをご覧いただけます。

Icon4.png④ドレン滞留と熱交換器のパンク

100℃以下の流体を加熱した場合に、蒸気圧力が大気圧より下がり負圧になることがあります。この場合に、スチームトラップの二次側より一次側の圧力が下がった場合に、発生したドレンはスチームトラップから排出されることができません。この現象をストールと呼びます。このストールは熱交換器内のウォータハンマ―を引き起こし、加熱コイルの水位レベルでパンクを引き起こす原因になります。また、蒸気の制御弁のハンチング等を起こす原因にもなります。プレッシャーポンプと呼ばれるポンプをスチームトラップの代わりに設置することによって、強制的にドレン排出を行うことができますので、80℃未満の加熱で特に設計より負荷が下がることが予想される場合には、プレッシャーポンプを設置しましょう。

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Icon5.png⑤緊急時の貯湯槽の役割

震災等の緊急時に温水を貯めていると安心ということをよく聞きます。では、実際に貯湯槽が緊急時にどのように役立つかを考えてみましょう。

No.56-11.png

ガスの供給がなくなった場合、ボイラが停止し貯湯槽の加熱ができなくなりますが貯湯しているお湯を供給することができます。ただし、お湯を本来の温度で供給できるのははじめだけで使うにつれて補給水が入ることによって、温度が下がっていきます。仮に1時間の貯湯量があっても、お湯の供給ができるのは、1時間未満となります。

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電気の供給がなくなった場合、この場合はボイラ、及び供給するポンプ自体が停止していることになりますので、使用すれば、給湯システム全体の圧力がすぐに下がり、供給自体ができないと考えていいでしょう。

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水の供給がなくなった場合、この場合には、ポンプ、ボイラ共に稼働し続けることが短時間可能になります。この短時間は受水槽の水の容量で決まってきます。

緊急時の温水利用という点においては、限定的な条件でのみ貯湯槽が役立ちます。緊急時の温水供給が必要なのであれば、それぞれのユーティリティの代替を検討する方が確実です。ガス供給であれば、油炊きのボイラ、電気であれば自家発電、水であれば、井戸や、十分な量の貯水等が検討できるでしょう。緊急時の対応に関しては、実際に使用したい条件を想定してシステムを構築しましょう。

熱力学の公式はこちらでご確認ください。

温水をつくる‐貯湯槽編‐いかがでしたでしょうか。実際に貯湯槽を更新する際に専門家が必要だと感じましたら、ぜひスパイラックス・サーコにお問い合わせください。

温水製造におけるバッチ式と連続式の違いについての記事を公開いたしました。こちらもぜひお読みください。

こちらの記事の対となる『温水をつくる‐瞬間給湯編』を公開いたしました。合わせてご覧ください。

次回は『ドレン回収をあきらめていませんか?』です。ぜひご覧ください。

スチームマネジメント

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蒸気に関するWebマガジン No.53

スチームマネジメント

ボイラーから発生した蒸気は、乾き度維持、圧力制御、流量計測、トラップ管理、ドレン管理等、様々なマネージメントが要求されます。
各箇所における、適切な「スチーム・マネージメント」の実施は、お客様のシステムの生産性向上、効率・環境の改善、コストダウンと共に、それらを高い基準で維持する事に繋がります。

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No.53_表.jpg

これらは『スチーム・マネージメント』の代表例であり、ほかにも多くの項目がありますが、それらすべてをお客様で実践することは大変です!
蒸気のことは、すべてスパイラックス・サーコに任せてください。当社はお客様の持続可能な成長のために、貢献させていただきます。

次回は『温水をつくるー貯湯槽編 第1回』です。

スチームオペレーション

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蒸気に関するWebマガジン No.52

スチームオペレーション

蒸気の発生源であるボイラ室周辺には、様々な機器が設置されています。特に蒸気に初めてかかわるの方々は、見たこともない機器も多く、分からないことも多いのではないでしょうか。

オペレーターの皆様は安全に、適切な蒸気をプロセスに送気するために、日々細心の注意を払って機器を操作します。今回は、オペレーターの日々を、ほんの少し覗き込んでみましょう。

No.52_001.png

①朝一番、蒸気ヘッダーへ

なぜバルブ回し棒が必要なの?

バルブ回し棒は、主にグランドシール方式のバルブの開閉に使用されます。グランドシールは、その締付力により流体が漏れない構造になっていますので、軸棒との摩擦力が大きく、ハンドルを回す力が大きくなりがちです。グランドシール方式の良いところとしては、漏れても、締めれば、ある程度まで漏れは止まります。

●現場の声(問題点)

バルブ回し棒を忘れたら・無くしたら大変。 遠くまで持っていくのは、結構大変です。


解決策:ベローシールバルブBSA_Bellows_Sealed_Stop_Valve_05.png

ベローシールバルブは、その構造上、簡単に手で回すことが可能で、ハンドルも熱くなりません。また、ベローシールで、蒸気漏れがありませんので、保守や省エネでランニングコスト削減に貢献します。

②ヘッダーからプロセスへ

なぜ、1時間も掛かるの?

オペレーターの皆様は、バルブ操作に大変気を使います。蒸気のバルブを一気に開ける行為は、「ウォーターハンマー」を発生させ、安全を脅かすと同時に、システムに壊滅的な損傷を与えることがあります。 ゆっくり、ゆっくり、バルブ操作をするため、各プロセスへ完全に送気する には、1時間以上掛かることは、決して珍しいことではありません。

●現場の声(問題点)

送気に時間が掛かるので、朝早く出社して準備なくちゃ。 数ラインでも立ち上げるのに結構時間が掛かるんだ。


解決策:自動送気システムNo.52_002.png

制御弁を系統のラインに設置します。その制御弁を、タイマー等との組み合わせで、ゆっくり開けます。(蒸気ラインは、ゆっくり開けないといけないのです。)朝出社したときには、ラインは立ち上がっていてすぐに操業に入れます。

③装置の昇温

なぜ、バイパス弁を開けるの?

朝一番は配管内に空気が多く含まれ、蒸気の流入をさまたげています。バイパス弁を開けると空気の排出が速くなります。

●現場の声(問題点)

でも毎回開けるのは面倒だなあ。 実は開けたまま忘れてしまうこともあります。


解決策:自動エア抜き弁

装置に適切な自動エア抜き弁を設置します。また、配管の適切な個所にもエア抜きを設置する事は有効な対策です。蒸気は冷えて凝縮すると、管内が負圧になり、外部からのエアが入ってきますので、操業開始時は配管管内に多くのエアがあります。エアは装置昇温を妨げます。

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まとめ

もちろんその他にも、オペレーターの皆様は、機器からの異音・振動に留意しながら、モニタリング(圧力、水位、流量、温度、TDS、PHなど)、制御(制御弁、ブローなど)など、非常に多くのものを管理しながら、さらなる改善を行っています。

一つ一つの課題を解決できれば、より価値のある業務に時間を費やすことができ、お客様のシステムの生産性向上、効率・環境の改善、コストダウンなどに繋がります。

日々、蒸気に関して疑問に思う事はありませんか?

蒸気の事は、全てスパイラックス・サーコに任せてください。当社はお客様の持続可能な成長のために貢献させていただきます。

次回は『スチームマネジメント』です。ぜひご覧ください。

蒸気配管の内部を見てみよう

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蒸気に関するWebマガジン No.51

蒸気配管の中ってどうなっていると思いますか?

蒸気配管ですから、"蒸気だけが流れている"と思われる方も多いのではないでしょうか?
"蒸気だけが流れている"というのは非常に理想的なのですが、現実ではなかなかそうはいきません。
今回は、蒸気配管の中をのぞきながら、それぞれの流体・物質に対して、適切な解決策を探ってみましょう。

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No.51_008Steam.png蒸気

言うまでもありません。でも実は蒸気には「乾き度」と言うものがあります。ひとくちに"蒸気"といっても、配管に流れている蒸気は同じではありません。過熱蒸気なのか飽和蒸気なのかをはじめ、「温度」「圧力」「乾き度」「流速」等いろいろな要素があります。
蒸気を加熱目的で利用するためには、これらの要素が使用するポイントで安定していることが大切です。

No.51_011dran.pngドレン

蒸気発生時点での浮遊する水であったり放熱等で蒸気が水に凝縮してしまったものを「ドレン」や「凝縮水」と呼びます。過熱蒸気でない限りはボイラーでの蒸気発生時点でも100% 乾き度の蒸気というのは、まずありえません。そのためドレンは蒸気配管には少なからず存在します。
そしてこのドレンが「蒸気は難しい」といわれる代表的な原因といえるでしょう。
ドレンによる「浸食」や「ウォーターハンマー」は蒸気の設備の運営において、保守や安全性に大きく影響を与えます。ドレンの適切な除去は蒸気エンジニアリングにおける大きな一つのテーマといえます。

No.51_010air.png空気

空気を代表する非圧縮性ガスと呼ばれる気体は非常に優秀な断熱材です。
ただし、加熱を行う上では加熱時間、温度の安定やムラや配管の腐食等、蒸気配管にとってのメリットはないといえるでしょう。24 時間運転の工場ならともかく、毎日や週末に蒸気設備を停止する工場では、フランジの隙間などからの空気の混入を防ぐのは困難です。

No.51_009ibutsu.png異物

錆、スケールや金属くずといった固形物は配管を施工するうえで排除しきるのは困難でしょう。ストレーナを詰まらせることにより圧力が低くなってしまったり、制御機器にかみ込んでしまうことによって機器の故障につながります。

今回の関連事項を少しだけまとめました。

No.51_007hyo.png

如何でしたか?蒸気配管の中身は、一様な蒸気だけではありません。配管方法や適切な機器を設置して、配管の環境を整えることで、問題解決につながります。詳しくはお近くのスパイラックス・サーコのエンジニアまでご相談ください。

次回は『スチームオペレーション』です。

過熱蒸気は使えない?

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蒸気に関するWebマガジン No.50

普段は"蒸気"という言葉でひとくくりにされていますが、"過熱蒸気"と"飽和蒸気"という2種類の蒸気があることはご存知ですか? 2つの蒸気は特性の違いから、発電設備等では"過熱蒸気"が、熱利用する施設では"飽和蒸気"が多く利用されています。

排熱ボイラーや発電設備で副次的に生成された過熱蒸気は加熱媒体としては飽和蒸気に劣りますが、幾つかのメリットがあります。

過熱蒸気から飽和蒸気に


過熱蒸気から飽和蒸気に調整するシステムを 減温システム といいます。
過熱蒸気は飽和蒸気より更に熱エネルギーを保有している蒸気です。そのため、過熱蒸気に水を混ぜることにより、飽和蒸気へと調整することができるのです。
ただし、蒸気の理想配管では蒸気(気体)とドレン(液体)が同時に存在することを嫌います。ですので、飽和蒸気より少し過熱されている程度の過熱蒸気へと調整します。
こうすることによって、熱利用設備で利用しやすい飽和蒸気に調整され、熱利用が可能になります。

blog50_001.png

クリックで拡大します。

過熱蒸気と飽和蒸気の使い分け


過熱蒸気と飽和蒸気はそれぞれメリット・デメリットが存在します。
また、過熱蒸気は動力や移送に、飽和蒸気は熱利用に――各工場での最適な使い方は異なりますので、工場の生産、安全、保守、省エネ等を考慮したうえで、最適な蒸気システムを組むことが大切です。

blog50_002.png

スパイラックス・サーコでは過熱蒸気に低圧蒸気を混ぜて中圧蒸気にする減温器をご用意しております。

製品詳細はこちらから。

次回は『蒸気配管の内部を見てみよう』です。ぜひご覧ください。

蒸気見える化の落とし穴 第2回

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ブログタイトルD_蒸気見える化の落とし穴.jpg

蒸気に関するWebマガジン No.49

液体や圧搾空気などでは正確に計測できる流量計で蒸気流量を計測すると、途端に精度が低下するケース見受けられます。このことを理解するには流量計の作動原理だけではなく、配管内の蒸気の流れ状態を正しく理解する必要があります。

◆蒸気の流れ状態

蒸気はボイラから発生して蒸気主管に入ります。最初、配管は冷たく蒸気の熱が配管へと伝わり直ちに凝縮し始めます。 運転開始時には、配管を加熱するために蒸気のエネルギーが使われますので、生じるドレン量は最大になります。配管が加熱された後も配管からの放熱があるため蒸気の凝縮は起こります。したがって配管中を流れる蒸気は気体(蒸気)と液体(ドレン)からなる気液2相の流れとなるのです。その気体と液体の度合いによって、当社では下図のように4種の流れ状態に別けています。

No.49_zu1.jpg

(1) 「塊状流」は、ドレンの発生量が多く蒸気の流速に押されて塊になっています。丁度、風が強いときに水面に波打つ 現象と同じです。この場合、この塊が蒸気流速と同じ速さになるためウォーターハンマーを引き起こし、強い衝撃波を生じます。これにより配管上の流量計や各種センサー、バルブ類に大きな損傷をもたらします。

(2) 「環状流」は、管壁の環状の水膜と中心部の蒸気の部分からなります。管壁の水膜はスパイラル状に回転しながら流れ、この回転による遠心力で管壁に付着しているものと考えられます。

(3)「環状散乱流」は、湿り飽和蒸気の代表的な流れです。環状流に似ていますが気相に浮遊する水滴状態の水分も含まれています。

(4)「散乱流」は水分が浮遊する水滴状態の流れで乾き度の高い蒸気の流れです。

◆汽水分離器(セパレータ)の役割

実際の蒸気計測において流量計を通過する蒸気は乾き飽和蒸気ではなく湿り蒸気の場合がほとんどです。下に汽水分離器の作動原理を示します。汽水分離器は配管壁を流れるドレンと蒸気流速に近いスピードで飛んでいる霧状の水分との両方を除去し、乾き度を向上させる機能です。よって、蒸気流量計の上流側に設置し、乾き度を一定に保つことにより、計測精度を向上させるためには必須の機器といえます。

No.49_zu2.jpg

スパイラックス・サーコのセパレータはこちらのページで確認できます。

次回は過熱蒸気は使えない?です。

蒸気の見える化の落とし穴 第1回

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蒸気に関するWebマガジン No.48

省エネには計測、つまり「見える化」が必須

business_think.gif蒸気の見える化に使われているのは「蒸気流量計」です。しかし、使用されているユーザーの方々からは
・蒸気流量計は精度が悪く役に立たない!
・蒸気流量計の蒸気量とボイラの給水量が合わない!
・蒸気流量計は目安にしかならないのに高すぎる!
・蒸気が流れているのに計測しない!
等の厳しいご意見を頂くこともあるのです。
皆さんは心当たりはありますか?
実は、これらは単に蒸気流量計の精度や計測原理の問題だけではないのです。蒸気の基本性質を十分に配慮した施工やシステムが構築されているかどうかによって、精度に大きな差異が生じることに起因しているのです。


◆正確な蒸気流量計測に必要な機能

job_senesi1.gif

ここからは専門的な解説になります。
蒸気流量を正確に計測するには、何が必要でしょうか。それは蒸気の負荷変動を最大流量から最小流量まで捕捉することです。そのためには蒸気流量計の必須項目として下記の機能が言えます。
① 低流速でも計測できる十分な感度をもつこと
② 計測範囲において高い精度を維持すること
③ レンジアビリティが広いこと
④ リアルタイムで比容積補正をおこなうこと
⑤ 蒸気の乾き度による流量補正を行うこと
など、ハードはもちろんのこと、ソフト的な機能を必要としています。これらのいずれが欠けても蒸気流量を正確には計測することはできないのです。

① 優れた低流速計測性能

蒸気流量計には種類があるが、「可変オリフィス式蒸気流量計」は優れた低流速計測能力を持った製品です。
ここで可変オリフィス式と渦式の低流速域における計測性能の比較を見てみましょう。図1の条件下では、渦式流量計の計測限界はおよそ2.8m/sです。これらの差は、可変オリフィス式が可動コーンをもつことにより最適な位置で差圧を計測する方式であるのに対して、渦式流量計の場合はカルマン渦による流速換算のベースとなるストローハル数と呼ばれる常数が低流速域では一定でなくなってくることによるものと考えられます。


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② レンジアビリティと測定誤差

「レンジアビリティ」は流量計の性能を表す代表的な尺度です。なぜなら、測定誤差と密接に絡んでいるからです。
図2をご覧ください。このグラフは、蒸気システムのスタートアップ時には蒸気量が最大になり、定常運転に入ってからは装置側の負荷に応じて変化する、という経過を示したものです。従って蒸気流量計はこれらの最大値から最小値までの大きな変化を計測しなければなりません。例えば可変オリフィス式を最大流量時に1,000kg/hのラインに使用したと考えると、レンジアビリティは100:1のため下限の最小計測値は10kg/hとなります。一方このラインにオリフィス式流量計を用いたとすると、レンジアビリティが4:1のため最小計測値が250kg/hとなり、この値以下のデータは全て0kg/hと見なされ、時間経過と共に測定誤差として累積されてしまうのです。

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③ 各種流量計のレンジアビリティ比較

各種流量計のレンジアビリティの比較を図3にまとめました。この図では蒸気流速を代表的な実用流速である35m/s時を基準にして比較しています。この場合、渦式流量計はレンジアビリティが12:1程度です。

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次回は配管内の蒸気の流れ状態を正しく理解するために蒸気の流れ状態と汽水分離機(セパレータ)について解説します。

フラッシュ蒸気 第2回 発生のメカニズムと蒸気量

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蒸気に関するWebマガジン No.44

フラッシュ蒸気 第1回をお読みでない方はぜひこちらからお読みください。

◆フラッシュ蒸気発生のメカニズム

フラッシュ蒸気は、ドレンの圧力が低下した際に一部が再蒸発し発生する蒸気のことです。水の温度が圧力低下後の沸点より高ければ発生します。つまり、20℃の室温の水でも、圧力が十分に下がると沸騰します。フラッシュ蒸気は発生する過程こそ違うものの、蒸気であることには変わりないのです。

通常、ボイラ内で水を加熱し発生させる蒸気を生蒸気といいます。実はボイラ内でもプロセスの負荷が高くなりボイラ内の圧力が低下するとフラッシュ蒸気が発生します。しかし、この場合にはフラッシュ蒸気は通常の生蒸気と合流してプロセスに供給されるので区別は困難です。ですので、ボイラで発生する蒸気については生蒸気と総称し、スチームトラップの二次側のように低い圧力で発生する場合に限りフラッシュ蒸気と呼ばれることが一般的です。このように生蒸気とフラッシュ蒸気を別の名前で呼ぶことから、残念ですが、フラッシュ蒸気は価値の低い蒸気と誤って認識されていることが多いのです。

◆ フラッシュ蒸気量

フラッシュ蒸気の再利用をする上で蒸気の発生量を知る必要があります。蒸気量は計算や表、グラフを利用して簡単に求めることができます。

熱交換器で0.7MPagの蒸気を250kg/h消費する例で計算してみます。

フラッシュ蒸気発生量図1.jpg

この場合だと、スチームトラップの一次側には0.7MPagの飽和水として到達し、二次側が大気圧下として排出されます。熱エネルギーに着目すると、一次側では飽和水のエンタルピーのみを保有している状態です。一方、大気圧下になった飽和水は熱エネルギーが余っているため(721.4kJ/kg >419kJ/kg)に、差分の熱エネルギーが一部飽和水に与えられて再蒸発します。この与えられた熱エネルギーは蒸発のエンタルピー(気化熱)と呼ばれます。このフラッシュ蒸気の発生率を計算式に表すと下記の通りになります。

フラッシュ蒸気発生量1.jpg

フラッシュ蒸気発生量2.jpg

発生量はグラフでも求めることができます。

フラッシュ蒸気量.gif









飽和水は250kg/hなのでフラッシュ蒸気の発生率を掛けるとフラッシュ蒸気量が求められます。

フラッシュ蒸気量=ドレン量xフラッシュ蒸気発生量

フラッシュ蒸気量=250 x 0.134 =33.5

つまり250kg/hのドレンから33.5kg/hのフラッシュ蒸気が発生します。

従って、高温ドレンから発生するフラッシュ蒸気をどうすれば有効に利用できるかを検討すべきです。せっかくボイラ室まで戻しても、ボイラ給水タンク(ドレンタンク)の排気管から大気に放出しているケースを多々見受けられますので、何らかの対策が必要となるケースが多くあります。


次回は、これらフラッシュ蒸気の効率利用についてです!

プレッシャーポンプのメンテナンス

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プレッシャーポンプ点検・メンテナンス・サービスのご案内

高温ドレンの回収、またドレン滞留の解消のために、多くのお客様にご使用いただいているスパイラックス・サーコのプレッシャーポンプ。しかし、稼動しつづける各部部品の磨耗・劣化は進行していきます。Pump_Maintenance03_SXS.jpg

突然、ドレンを移送することができなくなった...
そのようなトラブルを防ぐために



スパイラックス・サーコではプレッシャーポンプの点検・メンテナンスサービスを実施しております。

Pump_Maintenance02_SXS.jpg

メンテナンス内容

① 内部点検&部品交換:弊社サービスエンジニアが各部の状態を確認し、消耗部品(給排気弁セット、スプリング・セット)および交換が必要と判断されたその他の部品の交換作業を行います。状態によってはカバー・アセンブリ(カバー+内部部品一式)交換となる場合があります。


② クリーニング:各部部品に付着した汚れを落とします。


③ 補器類点検&交換:ドレン逆流を防ぐ逆止弁、汚れの進入を抑制するストレーナースクリーン等の、プレッシャーポンプ・システム補器の点検・交換を行います。 ※他社製品は点検をお断りしております。


④ 作動確認:作業終了後、正常に作動するかどうかの確認を行います。

主な部品の交換周期目安

Pump_Maintenance01_SXS.jpg

※1 以下の作業はお客様にてご実施願います。
(詳細はお見積もり段階でご連絡致します):
● 当該ポンプを接続している設備の停止
● お客様設備のバルブの開閉作業
● 安全な作業スペース/環境の確保
● お客様の配管からの当該品の脱着とそれに伴うガスケット類のご用意
 (配管施工状態等により、弊社での脱着が困難と判断される場合)


※2 カバー・アセンブリの点検・メンテナンスに関しては、弊社にお送りいただき、オーバーホール後ご返却するサービスも行っております。


※3 上記交換周期は目安であり、作動頻度や設置環境などによっては、交換すべきと判断される時期は変化します。


※4 スチームトラップ、エアベントバルブ、減圧弁なども設置の有無やご使用状況に応じてメンテナンスや交換が必要となります。


※5 部品費用の他、出張作業費用が別途かかります。

ぜひ、スパイラックス・サーコにご連絡ください。事前打ち合わせをもとにお見積書を作成いたします。

プレッシャーポンプの内部構造、駆動原理はこちらの動画でご確認いただけます。

こちらの内容のチラシをご用意しております。

こちらからダウンロードできます。

プレッシャーポンプメンテナンスのご案内_JPL-13-004 ssue3 sxsp.pdf

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フラッシュ蒸気 第1回

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201703_byoin3.jpg蒸気に関するWebマガジン No.43

工場の煙突や配管の先から、「もやもやしたもの」が立ち上がっています。
いつも見慣れている光景ですが、実は、同じ"もやもや"でも、「煙」と「湯気」は違います。 
今回は、タンクの大気解放管や、スチームトラップの出口から出ている「白い湯気」についてのお話です。もしかしたら、再利用する価値のある資源かもしれませんよ。

「白い湯気」の正体は、「フラッシュ蒸気」?

高圧状態にある水が、より低圧下に降下すると、熱を加えなくても再度、蒸発する現象があります(再蒸発)。その再蒸発蒸気の事をフラッシュ蒸気と呼んでいます。例えば、高圧下にあるドレンが、大気圧に降下(開放)すると、ある一定の割合で、フラッシュ蒸気が発生し、その一部が凝縮の過程で「白い湯気」となって目視できるようになるのです。つまり、「白い湯気」は、フラッシュ蒸気によるものとも言えます。

「 フラッシュ蒸気」は分かったけど、それがどうしたの?

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フラッシュ蒸気と言うと、何やら、ボイラーから発生する飽和蒸気と違う様に思えるかもしれません。しかし、それらは全く同じ物性を有した蒸気であり、他の蒸気設備で使用することが可能です。

特集_フラッシュ蒸気とは.jpg

でもその フラッシュ蒸気を、他の蒸気設備で再利用して何かいいことあるの?

タンクの大気解放管や、スチームトラップの出口から出ているフラッシュ蒸気は、大気中に"捨てている"状態です。もし、この捨てている蒸気を他の蒸気設備で再利用できれば、その分、ボイラーで発生させる蒸気量を減らせることになり、減らした分、省エネに繋がるのです。

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なるほど。でも、再利用するほどメリットってあるのですか?

適切な再利用先があることと、どれだけ" 捨てている" のかを、お客様毎に調べる必要がありますが、設備によっては10% 以上のエネルギーを捨てていることがあります。

0.7MPag、100kg/h の蒸気を利用する機器(熱交換器)の理論値で見てみましょう。

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Hito_e_sxs.jpgこの場合は、スチームトラップから排出されるエネルギーは、全体の26%で、フラッシュ蒸気には、11% のエネルギーが使用され、13kg/h(0 MPag)の蒸気量を発生させます。これは、経済面、環境面を考えても再利用するに値する価値あるものと思えませんか?

え!そんなに?

フラッシュ蒸気の再利用の可能性を感じて頂けましたでしょうか?お客様に合わせたご提案をさせて頂きますので、詳しくはお近くのスパイラックス・サーコのエンジニアまでご相談ください。

次回のブログでフラッシュ蒸気の発生のメカニズム、発生蒸気量について詳しく解説します。

+α 湯気と煙の違い

湯気は気化した水分が水滴として析出し白く見えるものです。湯気の成分は水滴= H2O です。温泉や火山の上に見えている白い靄はほぼ湯気です。
黒や灰色の煙は、有機物を燃焼した際に不完全燃焼であると発生するものです。その際に煙に含まれる成分は、炭素が多くを占めますが、燃やす有機物によります。多くの場合、水蒸気も含まれます。例えば、バーベキューで使用する炭は、煙が出ません。これは既に有機物が炭化しているためです。

次回はフラッシュ蒸気の発生のメカニズムと蒸気量について解説します!

ドレン回収についてはこちらで解説しています。

使いづらい低圧蒸気を使いやすい中圧蒸気に! サーモコンプレッサー

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蒸気の省エネを検討すると"フラッシュ蒸気回収"という言葉を聞いたことがある人も多いのではないのでしょうか?ただし、このフラッシュ蒸気の回収は、思いのほか実現が難しかったりします。
そこで今回は「サーモコンプレッサー」という機器を使って低圧蒸気を再圧縮して回収、利用する方法をご紹介します。

▶ サーモコンプレッサーとは?

サーモコンプレッサーは低圧の蒸気をより高い圧力に昇圧させることによって、利用先のない低圧余剰蒸気の有効活用を可能にする省エネ装置で、エゼクターやスチームコンプレッサーとも呼ばれる機器です。

▶ なぜフラッシュ蒸気回収は難しいのか?

フラッシュ蒸気回収が難しい原因は、ひとえに高圧蒸気の設備の近くに低圧蒸気の利用先がなければならず、また使用タイミングも重なっている必要があるからです。例えば、製麺工場では高圧蒸気を利用する"フライヤー"と低圧蒸気を使用する"蒸し"の工程がある、といった状態です。

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しかし、このように両方を一つの生産プロセスで有しているという条件は、どの工場でも見受けられるものではありません。合致するアプリケーションは、ある程度限定されてしまいます。

▶ 回収条件を緩和するには?

高圧蒸気は圧力が高くなければ、再利用に十分なフラッシュ蒸気の量が発生せず、省エネメリットが少なくなります。また、フラッシュ蒸気の圧力を下げすぎると、今度は利用先がなくなってしまいます。
そこで登場するのが、サーモコンプレッサーです。サーモコンプレッサーは高圧蒸気を低圧蒸気と混ぜることによって、中圧蒸気を作ることができます。つまり、低圧蒸気の回収条件を緩和することができるのです。

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▶サーモコンプレッサーの原理

―高圧蒸気と低圧蒸気を混ぜると、中圧蒸気になる。―
こう表現すると非常に簡単に聞こえますが、簡単に混ざるのでしょうか?

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圧力は高いところから低いところに流れます。ですので、低圧蒸気が高圧蒸気に流れ込むということは通常起きません。つまり、低圧蒸気を使って中圧蒸気を作るには、単純に混ぜるだけでは不足なのです。

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そこでサーモコンプレッサーは"ベンチュリ効果"を利用します。ベンチュリ効果とは、流体の流速が速くなると圧力が下がるという効果です。
つまり高圧蒸気を高速で流すことによって瞬間的に低圧蒸気より圧力を低くし、高圧蒸気に低圧蒸気を引き込みます。ここで二つの流体が混合した状態で流速が遅くなることによって中圧蒸気を供給することができるのです。

サーモコンプレッサーの原理については、こちらのビデオで確認いただけます。

▶ いかがでしたか?

サーモコンプレッサーでどのようなアプリケーションでもフラッシュ蒸気回収ができる!・・・というわけではありませんが、フラッシュ蒸気を活用できる幅が広がるのではないでしょうか?
興味を持たれましたら、詳細はスパイラックス・サーコのエンジニアまでご相談ください。

▶ケーススタディ

こちらのページにてケーススタディを2件ご案内しています。ぜひご覧ください!

フィルタースチーム

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蒸気に関するWebマガジン No.36

フィルタースチーム_タイトル1.jpg◆蒸気の種類

蒸気を普段つかわれている方は多いと思いますが、ひとくちに"蒸気"といってもいくつか種類があることはご存知ですか?

『製品の品質と蒸気の純度』で蒸気の種類について説明しています。

今回は蒸気の純度で分類した際の"フィルタースチーム"について考えてみたいと思います。

Customer1.jpg

SXS1.jpg

蒸気の純度と改めて言われても、ボイラーから出たら100%水だよね?と思われる方が多いかと思います。 

実際には極微量ではあるものの異物が混じっています。こういった異物は原水や薬品、配管途中の錆が原因として考えられます。

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異物が混ざっていると聞くと製品への影響が気になると思います。

安全性や品質について心配であればフィルタースチームにしてはいかがでしょうか?

製品と接触がある蒸気については食品飲料業界では2ミクロン以上の粒子を95%除去したものをするように基準が設けられています。*1 (3A Sanitary Standards :Culinary Steam)

人体に入る可能性のある蒸気はきれいな方が安心ですよね。

◆フィルタースチームの作り方

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※クリックでポップアップウィンドウが開きます。

1.ストレーナ

ストレーナの説明.jpg

プレフィルターとして一般的には100メッシュのストレーナーを設置します。そこで、大きな異物(サビやスケールなど)を除去します。

2.セパレータ

セパレータの説明.jpg

セパレータを設置することによって、凝縮水・同伴水を分離、除去し、蒸気の質と純度を向上させます。

3.フィルター

フィルターの説明.jpg

通常は5ミクロンのフィルターを設置します。ただ品質向上のために1ミクロン等のより小さな孔径を選定することも可能です。

フィルタースチームアニメ.gif

4.サンプリング

サンプリングの説明.jpg

凝縮水の定期的なサンプルテストを行い、水処理プログラムが正しく行われていることを確認します。確認は断続的・連続的なものがありますが、連続的であれば、突変にも対応できます。








スパイラックス・サーコのフィルターの詳細につきましてはこちらからご覧ください。

日々、蒸気に関して疑問や困った事はありませんか?

蒸気の事は、全てスパイラックス・サーコに任せてください。当社はお客様の持続可能な成長のために、貢献させていただきます。



次回はドレン回収についてです。こちらからご覧ください。

製品の品質と蒸気の純度

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ブログタイトルDr.S2_02.jpg

蒸気に関するWebマガジン No.34

◆蒸気の純度って、考えたことありますか?

蒸気は、汚染されていない無菌のエネルギー源として理想的であると一般的には考えられています。しかし、プロセスに直接接触する他の媒体と同様に、予防処置を実施して、潜在的リスクを最小限にする必要があります。

一般に、食品加工で使用される蒸気には4種のグレードがあり、各グレードによって汚染リスクが異なります。下の表をご覧頂いてもそれぞれの使用に適した蒸気の純度があることがお分かり頂けるはずです。

蒸気の純度ピラミッド.jpg

1.プラントスチーム

最低グレードの蒸気で潜在汚染リスクが最も高い蒸気です。プラントスチームの使用による汚染レベルは、以下の原因によって決まります。


・ボイラに入れる原水の質

・蒸気システムに注入されている薬注のレベルと、水処理管理プログラムの遵守レベル

・ボイラの正しい操作(蒸気負荷、水位の制御、TDS制御、運転圧力、その他)

・プロセスからの二次汚染

2.フィルタースチーム(食品加工用蒸気)

プラントスチームを使用し、蒸気フィルター(5ミクロン)を通過したものです。蒸気フィルターを使用しても、ボイラー・キャリーオーバーおよび二次汚染による潜在的汚染リスクは残ります。

フィルター通過後の汚染量は、問題の深刻度、保守体制および蒸気流速によってきまります。

こちらのページでフィルターと一般材料の表をご確認ください。

フィルターで除去できる物質

フィルタースチームについては、特集でも解説しています。

こちらもご覧ください。

3.クリーンスチーム

食品・飲料用途向けの最高グレードの蒸気です。通常は、専用のクリーン蒸気発生器で精製水からつくります。クリーンスチームは純度が重視されるプロセスでの使用が適しています。

4.ピュアスチーム

製薬産業においてクリーンスチームを発展させたものです。ピュアスチームの質および純度は、今日の食品飲料産業に求められるレベルを超えるものです。

◆法的な責任・そのための基準

食品飲料製造業者は、一般的にはHACCPの手法に従い、潜在的なリスクを特定して、管理することにより、製品の品質を保証する法的な責任があります。しかし、蒸気の質(乾き度)および純度に関する法律的なガイダンスが存在しないため、製造業者は適切な社内標準を確立し、それが遵守されているかどうかを管理しなければなりません。

第一歩として、蒸気を直接噴射して使用している工程(蒸し、ボイル)で、潜在的なリスクと必要とされる蒸気の純度に関して、検討をしてみてはいかがでしょうか?

もしグレードにご心配や不安に感じることがありましたら、こちらよりご連絡ください。

フィルタースチームについてもぜひご覧ください。こちらから。