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ドレン回収をあきらめていませんか?

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蒸気に関するWebマガジン No.56

ドレン回収をあきらめていませんか?

ドレン回収が省エネルギーになるとわかっていても様々な理由でドレン回収をあきらめているケースが見られます。今回はドレンを回収できないと思われるポイントを4つご紹介します。

遠い.png

①ボイラ室にあるタンクまで100Mと遠く、配管工事もしなければならないので、回収メリットがないと思うのですが?

ドレン回収メリット計算をしたところ、工事に対する投資費用回収期間は2.5年で、ドレン回収工事を実施する事になりました。

400万円/年saving!


温水と冷水.png

②プラントには加熱・冷却プロセスがあり、ドレンと冷水を共通配管にしているので、水質上、回収には向かないと考えているのですが?

加熱ラインのみの回収工事を実施しました。投資費用回収期間は2年です。

75万円/年saving!


汚染.png

③洗浄液を熱交換器で加熱して使用しているけど、ドレン水の汚染が怖いので回収できないのですが?

当社のドレン水監視システムを導入し、捨てていたドレンを回収するようにしました。投資費用回収期間は1.5年です。

220万円/年saving!


温度が低い.png

④ドレン回収はしているのだけれども、給水温度が30℃と低いのです。でも、回収タンクからは、"もうもう"と湯気が出ているのだけれども?

簡単なタンク改善工事を実施し、給水温度は60℃にまで上がりました。投資費用回収期間は5か月です。

77万円/年saving!


(その他)
●管末、及びジャケット釜装置からドレンが低圧で、自圧で回収ができので廃棄しているのですが?
●電気が近くにないので、ポンプで送ることができないのですが?

ドレンは価値ある資源で多くのケースで回収に値します。蒸気ドレン回収に関わるご質問があれば、当社のエンジニアまでご相談ください。適切なソリューションをご提案させて頂きます。

次回は『蒸気の制御 第1回』です。

蒸気制御においていろいろな制御がありますが、どの場合でも原則として"制御弁を流れる蒸気量を調整し、その結果、温度、圧力、流量などを必要な条件に整えること"を蒸気制御と呼びます。ではどのように蒸気を制御しているか、Kv値やバルブ特性、トリム、シートなどを解説しています。ぜひご覧ください。

温水をつくる-貯湯槽編- 第2回

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蒸気に関するWebマガジン No.55

温水をつくる-貯湯槽編- 第2回

温水は非常に身近な熱媒体です。工業はもちろんのこと、ホテル、病院や商業施設といった一般施設においてもよく利用されます。蒸気の熱の利用先として最も使われることが多い用途は温水をつくることではないでしょうか。温水をつくる方法はいろいろありますが、その中でも今回は最も基本的な蒸気で加熱する貯湯槽について考えていきたいと思います。

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貯湯槽の目的は他の給湯設備と同じく第一に温度を安定させることが目的になります。その上で、一定量の保有水量があるので瞬間的な負荷に対しての対応に優れています。実際に設計してみましょう。せっかくなので、実際に数字を当てはめて考えてみましょう。

前回の温水をつくる-貯湯槽編-第1回では、『①貯湯槽の容量』、『②熱負荷と追従性』について解説しました。

Icon3.png③温度ムラとレジオネラ菌対策

貯湯槽内の温度はどうしても、上と下で、あるいは熱交換器から近い場所と遠い箇所とでは温度差が出てしまいます。温度管理を一点で行っている場合、供給している温度が数値通りになっているかはわかりません。その場合には60℃以下で滞留している水が発生する可能性があります。レジオネラ菌は20-45℃の範囲、特に38℃前後で最も繁殖しやすい温度環境になります。貯湯槽ではこういった温度ムラをタンク内に作らないことが重要になります。過大選定された貯湯槽では、温度ムラが発生しやすくレジオネラ菌増殖のリスクが増大します必要以上に大きな貯湯槽を設置するのは避けましょう。温度ムラをなくすためには循環ポンプを設置することも推奨されます。滞留しやすい、熱交換器から一番遠い管底部等に循環ラインを作ることによって、温度ムラを解消しましょう。また、複数のポイントで温度計測をすることによって、安全管理の見える化もいいでしょう。

レジオネラ菌についてはこちらのページでビデオをご覧いただけます。

Icon4.png④ドレン滞留と熱交換器のパンク

100℃以下の流体を加熱した場合に、蒸気圧力が大気圧より下がり負圧になることがあります。この場合に、スチームトラップの二次側より一次側の圧力が下がった場合に、発生したドレンはスチームトラップから排出されることができません。この現象をストールと呼びます。このストールは熱交換器内のウォータハンマ―を引き起こし、加熱コイルの水位レベルでパンクを引き起こす原因になります。また、蒸気の制御弁のハンチング等を起こす原因にもなります。プレッシャーポンプと呼ばれるポンプをスチームトラップの代わりに設置することによって、強制的にドレン排出を行うことができますので、80℃未満の加熱で特に設計より負荷が下がることが予想される場合には、プレッシャーポンプを設置しましょう。

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Icon5.png⑤緊急時の貯湯槽の役割

震災等の緊急時に温水を貯めていると安心ということをよく聞きます。では、実際に貯湯槽が緊急時にどのように役立つかを考えてみましょう。

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ガスの供給がなくなった場合、ボイラが停止し貯湯槽の加熱ができなくなりますが貯湯しているお湯を供給することができます。ただし、お湯を本来の温度で供給できるのははじめだけで使うにつれて補給水が入ることによって、温度が下がっていきます。仮に1時間の貯湯量があっても、お湯の供給ができるのは、1時間未満となります。

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電気の供給がなくなった場合、この場合はボイラ、及び供給するポンプ自体が停止していることになりますので、使用すれば、給湯システム全体の圧力がすぐに下がり、供給自体ができないと考えていいでしょう。

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水の供給がなくなった場合、この場合には、ポンプ、ボイラ共に稼働し続けることが短時間可能になります。この短時間は受水槽の水の容量で決まってきます。

緊急時の温水利用という点においては、限定的な条件でのみ貯湯槽が役立ちます。緊急時の温水供給が必要なのであれば、それぞれのユーティリティの代替を検討する方が確実です。ガス供給であれば、油炊きのボイラ、電気であれば自家発電、水であれば、井戸や、十分な量の貯水等が検討できるでしょう。緊急時の対応に関しては、実際に使用したい条件を想定してシステムを構築しましょう。

熱力学の公式はこちらでご確認ください。

温水をつくる‐貯湯槽編‐いかがでしたでしょうか。実際に貯湯槽を更新する際に専門家が必要だと感じましたら、ぜひスパイラックス・サーコにお問い合わせください。

温水製造におけるバッチ式と連続式の違いについての記事を公開いたしました。こちらもぜひお読みください。

こちらの記事の対となる『温水をつくる‐瞬間給湯編』を公開いたしました。合わせてご覧ください。

次回は『ドレン回収をあきらめていませんか?』です。ぜひご覧ください。

スチームマネジメント

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蒸気に関するWebマガジン No.53

スチームマネジメント

ボイラーから発生した蒸気は、乾き度維持、圧力制御、流量計測、トラップ管理、ドレン管理等、様々なマネージメントが要求されます。
各箇所における、適切な「スチーム・マネージメント」の実施は、お客様のシステムの生産性向上、効率・環境の改善、コストダウンと共に、それらを高い基準で維持する事に繋がります。

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これらは『スチーム・マネージメント』の代表例であり、ほかにも多くの項目がありますが、それらすべてをお客様で実践することは大変です!
蒸気のことは、すべてスパイラックス・サーコに任せてください。当社はお客様の持続可能な成長のために、貢献させていただきます。

次回は『温水をつくるー貯湯槽編 第1回』です。

蒸気配管の内部を見てみよう

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蒸気に関するWebマガジン No.51

蒸気配管の中ってどうなっていると思いますか?

蒸気配管ですから、"蒸気だけが流れている"と思われる方も多いのではないでしょうか?
"蒸気だけが流れている"というのは非常に理想的なのですが、現実ではなかなかそうはいきません。
今回は、蒸気配管の中をのぞきながら、それぞれの流体・物質に対して、適切な解決策を探ってみましょう。

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No.51_008Steam.png蒸気

言うまでもありません。でも実は蒸気には「乾き度」と言うものがあります。ひとくちに"蒸気"といっても、配管に流れている蒸気は同じではありません。過熱蒸気なのか飽和蒸気なのかをはじめ、「温度」「圧力」「乾き度」「流速」等いろいろな要素があります。
蒸気を加熱目的で利用するためには、これらの要素が使用するポイントで安定していることが大切です。

No.51_011dran.pngドレン

蒸気発生時点での浮遊する水であったり放熱等で蒸気が水に凝縮してしまったものを「ドレン」や「凝縮水」と呼びます。過熱蒸気でない限りはボイラーでの蒸気発生時点でも100% 乾き度の蒸気というのは、まずありえません。そのためドレンは蒸気配管には少なからず存在します。
そしてこのドレンが「蒸気は難しい」といわれる代表的な原因といえるでしょう。
ドレンによる「浸食」や「ウォーターハンマー」は蒸気の設備の運営において、保守や安全性に大きく影響を与えます。ドレンの適切な除去は蒸気エンジニアリングにおける大きな一つのテーマといえます。

No.51_010air.png空気

空気を代表する非圧縮性ガスと呼ばれる気体は非常に優秀な断熱材です。
ただし、加熱を行う上では加熱時間、温度の安定やムラや配管の腐食等、蒸気配管にとってのメリットはないといえるでしょう。24 時間運転の工場ならともかく、毎日や週末に蒸気設備を停止する工場では、フランジの隙間などからの空気の混入を防ぐのは困難です。

No.51_009ibutsu.png異物

錆、スケールや金属くずといった固形物は配管を施工するうえで排除しきるのは困難でしょう。ストレーナを詰まらせることにより圧力が低くなってしまったり、制御機器にかみ込んでしまうことによって機器の故障につながります。

今回の関連事項を少しだけまとめました。

No.51_007hyo.png

如何でしたか?蒸気配管の中身は、一様な蒸気だけではありません。配管方法や適切な機器を設置して、配管の環境を整えることで、問題解決につながります。詳しくはお近くのスパイラックス・サーコのエンジニアまでご相談ください。

次回は『スチームオペレーション』です。

過熱蒸気は使えない?

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蒸気に関するWebマガジン No.50

普段は"蒸気"という言葉でひとくくりにされていますが、"過熱蒸気"と"飽和蒸気"という2種類の蒸気があることはご存知ですか? 2つの蒸気は特性の違いから、発電設備等では"過熱蒸気"が、熱利用する施設では"飽和蒸気"が多く利用されています。

排熱ボイラーや発電設備で副次的に生成された過熱蒸気は加熱媒体としては飽和蒸気に劣りますが、幾つかのメリットがあります。

過熱蒸気から飽和蒸気に


過熱蒸気から飽和蒸気に調整するシステムを 減温システム といいます。
過熱蒸気は飽和蒸気より更に熱エネルギーを保有している蒸気です。そのため、過熱蒸気に水を混ぜることにより、飽和蒸気へと調整することができるのです。
ただし、蒸気の理想配管では蒸気(気体)とドレン(液体)が同時に存在することを嫌います。ですので、飽和蒸気より少し過熱されている程度の過熱蒸気へと調整します。
こうすることによって、熱利用設備で利用しやすい飽和蒸気に調整され、熱利用が可能になります。

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クリックで拡大します。

過熱蒸気と飽和蒸気の使い分け


過熱蒸気と飽和蒸気はそれぞれメリット・デメリットが存在します。
また、過熱蒸気は動力や移送に、飽和蒸気は熱利用に――各工場での最適な使い方は異なりますので、工場の生産、安全、保守、省エネ等を考慮したうえで、最適な蒸気システムを組むことが大切です。

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スパイラックス・サーコでは過熱蒸気に低圧蒸気を混ぜて中圧蒸気にする減温器をご用意しております。

製品詳細はこちらから。

次回は『蒸気配管の内部を見てみよう』です。ぜひご覧ください。

流量計測#01

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流量計測タイトル.jpg

蒸気に関するWebマガジン No.10

流量計測は必要なのか?

"なぜ、蒸気の流量計測をする必要があるの?全体のエネルギーコストは分かっているし、ただのメーターでしょ?"

流量計を使用していないシステムではこのような声が聞こえてきます。

蒸気の流量計測とは、単に流量計を設置して計測するだけではなく、その得られた貴重な情報は、エネルギー管理、プロセスやアプリケーションの効率化や改善、原価計算など、様々な場面でソリューションと共に使用されます。

流量計測イメージ.jpg

流量計測をするとどんなことがわかる?

瞬時積算イメージ.jpg

項目

流量計測の活用例

使用データ

行方不明蒸気

プラントが停止しているのに、数字が出ている。漏れや放熱ロスの確認が急がれます。

瞬時・積算

ピークロード

ピークロードが判明します。ピークロードを分散させることができれば、設備機器の最適化が図れます。

瞬時

プロセス制御

制御目的の流量計測では、通常と違った数値が現れることがあります。機器の異常などを察知することができます。

瞬時

プラントの効率化

設備導入や改善の費用対効果の数値に使用されます。またその結果を、導入前後で比較検証できます。

瞬時・積算

エネルギー管理

全体のエネルギーコスト算出や、製品の原価計算に使用され、エネルギー削減の数値目標として使用されます。

積算

指さし右から左(赤).jpgこれらのことは蒸気流量計測なしではできません。蒸気流量計測は様々な改善につながる価値ある情報をもたらしてくれます。

流量計測#02では、なぜ蒸気の流量計測が難しいのか、蒸気流量計測を行う際に注意しなければいけないポイントについて解説します。こちらからご覧ください。

Why Steam? #02

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WhySteam#02.jpg蒸気に関するWebマガジン No.4

◆なぜ蒸気をつかうのでしょう?

Why Steam? #01に引き続き、なぜエネルギーとして蒸気を使うのかについて解説します。ポイントは全部で6つあります。

ポイント1、効率的で経済的!

ポイント2、輸送が容易で経済的!

については、Why Steam? #01をご覧ください。

ポイント3◆制御が容易!

飽和蒸気の圧力と温度はお互いに関連しているので、エネルギー投入量は飽和蒸気圧力を制御することで容易に制御できます。精度の高い空圧式アクチュエータとポジショナーを用い、2方弁を使用することで制御と施工を簡素化することができます。

  蒸気 温水 熱媒油
制御 二方弁で容易 三方弁で複雑 三方弁で複雑
温度変更 容易 困難 困難

ポイント4◆プロセスのエネルギー伝達が容易

蒸気は熱伝達に優れています。蒸気は均一な温度で、機器内に充満し、一定の温度で凝縮・熱伝達するので、伝熱面における温度ムラはありません。また、その伝熱性の高さから、必要とされる伝熱面積が小さくなり、装置の小型化が可能になります。

  蒸気 温水 熱媒油
熱伝達率 高い 中程度 低い

ポイント5◆運用管理が容易

蒸気制御機器を管理システムと組み合わせ、使用するエネルギーの効率化を最大限にすることができます。蒸気設備は、適切な施工・運用・メンテナンスを行えば長期的な使用が可能になります。

TFA型流量計_製品カタログ201706.sxs.jpg

ポイント6◆幅広い用途

蒸気は熱媒体だけでなく、殺菌性があるので食品、医薬品、病院でも使用されます。製油所、クリーニング、製紙、繊維、醸造、ゴム、ビル衛生・空調など様々な業種で使用されており、製品加温、乾燥、蒸留、加硫、加湿、温水製造など、様々なプロセスで使用されています。

  蒸気 温水 熱媒油
用途 広い 限定的 非常に限定的
火災の危険性 なし なし あり

蒸気を効率的にプロセスで使用することと同時に、今まで捨てていたエネルギー(排熱)であるフラッシュ蒸気ドレンがもつエネルギーをも最大限回収できれば、さらなるコスト削減、環境への対応が実現できます。

次回は『蒸気の乾き度』について解説します。ぜひご覧ください。