蒸気に関するWebマガジン|スパイラックス・サーコ
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ドレン回収 第3回 ドレン配管の選定2

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蒸気に関するWebマガジン No.41

1.ドレン配管の選定で注意すべき点

ドレン配管の選定について、実際的観点から言えば、他にも検討を要する点があります。


①温度制御

加熱装置を温度制御している場合には、制御弁によって蒸気の圧力は低下します。特に、加熱装置が全負荷状態で、制御弁の容量が圧力損失限界線上で選定されている場合に、装置圧力は半分以下に低下します。もちろん、制御弁の選定はこの圧力損失限界で選定されるとは限らず、圧力低下が更に大きくなる場合も考えられます。
重要なのは、制御弁の下流側の蒸気圧が低いほどフラッシュ蒸気の発生量は少なくなり、ドレン配管の選定に影響するということです。


②温調式トラップ

この種のトラップ(例えば、バイメタル式やバランス・プレッシャー式トラップ)では、飽和温度より低い温度でドレンを排出するように設計されています。実際に使用するトラップによって異なりますが、この温度差は4 ~ 50℃の範囲に入ります。

例えばバランス・プレッシャー式トラップの場合、飽和温度より約13℃低い温度で作動するエレメントが使われており、その分フラッシュ蒸気の発生量は少なくなります。

この場合のドレン主管の口径選定例を次に解説します。
   圧力0.7MPaG での飽和温度  = 169.9℃
   飽和温度△13℃ = 169.9 - 13 = 156.9℃
温度157℃に対応する圧力(蒸気表より)= 0.5MPaG

つまり、上流側圧力は0.7MPaG ではなく0.5MPaG と考えられ、この条件によってドレン配管の口径を小さくすることが可能です。


③運転開始時負荷

運転開始条件とは、プラントが低温状態にあり、蒸気の凝縮速度が最大の状態にある時の条件です。運転開始時の負荷は計算値と大幅に違うため、経験をベースにして単純に2 とか3 とかいう係数を掛けているのが実状です。
プラントでは、必ずしも全部の装置が同時に使用されるとは限らず、多様な運転条件に配慮する必要があります。

例えばクリーニング/ リネン工場の場合には、開始時にまず洗濯に使うため水を加熱し、少し時が経てば、乾燥機で蒸気を使用し、さらにその後蒸気アイロンを使うことになります。

④フラッシュ・タンクやクローズドシステムによるドレン回収

ドレン主管に常に圧力がかかっている事が考えられ、この圧力によってトラップの動作に支障をきたさないよう、これらの装置に対して充分注意を払う必要があります。トラップの管理・メンテナンスをきちんと実施しないと、導入時の性能が維持されず、ヒートバランスが崩れることにより、エネルギー損失の原因となります。


2. 種々の圧力で動作するトラップ

それぞれ異なる圧力で動作する各種のトラップから共通のドレンをドレン主管に排出する場合、実際にどのように施工すればよいかよく質問を受けます。高圧のドレンによって、他の低圧で作動するトラップから排出されるドレンが妨害を受ける事は、よく聞く話です。

ですが、高圧、低圧という圧力は、各トラップ内の主弁に関してかかっている圧力だという事実が見過ごされているのです。個々のトラップの出口側圧力はドレン主管(戻り管)の圧力に、フラッシュ蒸気によって生ずる圧力損失と考えられる背圧を加えた値になるのです。

ドレン主管の圧力条件下で、フラッシュ蒸気の流量に対して配管の口径が小さすぎる場合には背圧が高くなり、低圧で動作するトラップからの排出が制限されたり妨げられたりする事があり得ます。

スチーム・トラップ別ドレン排出温度.jpg
 

結論として、ドレン負荷および共存するフラッシュ蒸気が、許容できる速度で配管内を流れるように、配管の断面積を決めなければなりません。そうすれば、ほとんど過剰な背圧は生じないし、高圧トラップからの排出によって低圧トラップからの排出が妨害されるような事は起きないのです。

フラッシュ蒸気については次回のブログで解説します。