蒸気に関するWebマガジン|スパイラックス・サーコ
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First for Steam Solutions

ドレン回収 第2回 ドレン配管の選定1

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蒸気に関するWebマガジン No39

ドレン配管の選定は難しい?

ドレン管の口径選定については、多くの変動要因があり、全てに適用できるような単純な推奨規準と言えるものはありません。

例えば、制御システムによる圧力変化、トラップの種類、さらには工湯内の空調等によって変化する雰囲気温度など様々な変動要因があります。

また、ドレン回収がいかに省エネにとって重要であるかが判っていても、ドレンを回収したら、次のような問題が発生したという事例が後を絶ちません。

1) ドレンが戻らない

2) 生産装置のドレン抜けが悪くなった

3) 生産装置の効率低下や温度が上がらない

4) 装置の始動に時間がかかるようになった

5) ドレン配管でウォーターハンマーが発生する

6) ドレン配管の傷みが早い(腐食、浸食)

7) ドレンタンクが沸騰して危ない

これらの問題は、ドレン管径の選定には下記の4種類の配管設計があるのに対し、多くの場合、ドレンは液体として認知され、管径の選定には液体配管としての基準が用いられているということです。

Dr.steam2.jpg

1)装置からトラップに至る配管・・ドレンを基準に、ドレン配管サイズを選定

2)トラップ出口配管・・フラッシュ蒸気を基準に、ドレン配管サイズを選定

3) ドレン共通回収管・・フラッシュ蒸気を基準に、ドレン配管サイズを選定

4)ポンプによる回収管(図示なし)・・ドレンを基準に、ドレン配管サイズを選定

ここで注意すべきことは、ドレン配管は液体だけが流れる配管では無いと言うことです。液体しか流れないドレン管とは「4.ポンプによる回収管」だけです。

というのは、ポンプは液体しか送れないから、ポンプ手前で気液分離し、液体だけがポンプによって送られる仕組みになっているからです。
従って、ポンプの容量や圧力損失等で液体配管としてドレン管径を設計できるのは、このケースだけ。

「1.トラップまでのドレン管」についてはトラップの管径選定が正しく行われていれば、トラップと同径の配管で問題ありません。

フラッシュ蒸気を基準に、ドレン配管サイズを選定

通常、設備費の観点からドレン配管は、できるだけ小口径になるように選定します。
ですが、実際にスチームトラップから排出されるのは常に、ドレンとフラッシュ蒸気の混合流体ですが、配管の設計に際しては一般に水の流量として取り扱われる事が多いのです。
 トラップの直前の圧力とドレン管内の圧力差によって左右されはしますが、フラッシュ蒸気の容積がドレンの400倍以上もなり得る事が、常に配慮されているとは言えません。この事実だけから見ても、ドレン回収システムの設計はドレンではなく、フラッシュ蒸気の容積に基づいて行うべきなのです。
 その理由は、下記の例を考えれば説明できます。すなわち、トラップの圧力が0.4MPa (ゲージ)、ドレン主管の圧力が大気圧という例です。この時、約10%のドレンがフラッシュ蒸気として再蒸発します。

Dr.steam9-1.jpg

「配管口径選定例」


 前述の例において1,000kg/hのドレン負荷を適用します。すなわち、トラップを通ってドレン1kgが排出されると、排出側配管は圧力0MPa(ゲージ)で0.1kgの蒸気と0.9kgのドレンを通過させなければならないのです。
水の容積 =900リッター/h =0.9m3/h
蒸気の容積 =100kg/h×1.673m3/kg =167.3m3/h
合計容積 = =168.2m3/h
(圧力0MPa(ゲージ)に放ける蒸気の比容積は1.673m3/kg。)
 ドレン1kg/hあたりの配管内の全容積流量は168.2m3/hであり、この内蒸気が99.46%、水が0.54%を占めます。
 すなわち、フラッシュ蒸気が配管のほぼ全容積を占めているとも言えます。

(厳密には大量のフラッシュ蒸気がドレン管内に排出されると、管内圧力が大気圧よりわずかに上昇し、フラッシュ蒸気量がわずかに減ることが考えられます。)blog-Drsteam9-2.jpg

 すべてのドレンが配管の底を流れることはほぼ確実ですが、その流速はフラッシュ蒸気の流速より遅く、やがてドレン高さが増して、その質量流量とフラッシュ蒸気の質量流量を足したものがトラップを通過する全質量流量に等しくなる状態になります。

 このようなドレン主配管の口径選定は、フラッシュ蒸気の質量流量から、「配管選定表」を使って選定できます。また、ドレン主配管の低部にドレンが流れているため、共存するフラッシュ蒸気が湿り蒸気になることは避けられません。
従って、ウォーター・ハンマーや配管のエルボ部での浸食を防止するため、フラッシュ蒸気の流速は15m/s以下になるように設計しなければなりません。
このような設計では、ドレン管が入口蒸気管より太くなるケースもあり、既存のドレン管設計とのギャップが明らかです。
 前例を使って、フラッシュ蒸気の質量流量を計算し、配管容量表から正しい配管口径の選定事例を示します。 (液体ドレン配管として選定すると32A - 40Aの配管径となるのが一般的です)


 フラッシュ蒸気の質量流量 =10%×1,000kg/h  =100kg/h

 排出配管内圧力0MPa(ゲージ)で、質量流量100kg/hのフラッシュ蒸気を基にドレン管を選定
 配管選定 口径 = 65mm
 となります。

次回のブログでは、ドレン配管選定の注意点を解説していきます!