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蒸気の制御 第4回

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蒸気に関するWebマガジン No.60

蒸気の制御 第4回

蒸気の制御 第1回はこちらからご覧ください。蒸気流量の制御、バルブ特性、Kv値と蒸気流量について解説しています。

蒸気の制御 第2回はこちらからご覧ください。トリムとシートオプションについて解説しています。

蒸気の制御 第3回はこちらからご覧ください。コントロールオプションについて解説しています。

蒸気プロセスと制御

No.55_1_10_バッチプロセス.jpg

上に示すバッチプロセスでは製品を設定温度まで加熱し、設定温度にすると温度を一定時間保つという制御です。この場合では蒸気の最大流量は初期の加熱時が一番必要になりますが、製品品質の観点だと温度の精度が一番求められるのは、設定温度の到達後の温度保持の段階になります。「初期の最大流量」「低流量時の制御精度」の2点が必要になります。

No.55_1_11_蒸気逃し弁.jpg

上に示す蒸気の逃がし弁では、急な圧力上昇の際に安全弁の設定圧力前まで制御する必要があります。また蒸気を逃がした後にゆっくりと閉弁していき、低流量時での制御も求められることが考えられます。「圧力維持のための瞬間最大流量」「開弁速度」「低騒音対策」「非作動時の蒸気漏れ」「低流量時における制御精度」等がバルブの選定において重要視されます。

上記のプロセス以外にも、それぞれのプロセスではそれぞれに特徴があり、そのプロセスにおける最適な選定をすることが大切です。

こちらの蒸気の制御に関するCaseStudyはこちらからご覧いただけます。

制御のお話し 第八回

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制御のお話し_タイトル8.gifのサムネイル画像蒸気に関するWebマガジン No.32

制御のお話 第八回

前回は『制御対象と目的』でした。

コントローラー

今までお話ししてきた制御、その主役が「コントローラー」と言えます。

温度制御であれば、目的の温度を設定し、今の温度はどうなっているかを確認するのも、このコントローラーで行うことになります。

センサーの状態及びアクチュエーターの動きを確認することは稀ですが、コントローラーが制御している状況は、常に何らかの方法で確認していることが多いです。

例えば、殺菌工程のような場合、必要とされる殺菌温度を維持できているかを、常に監視及び記録することは、殺菌ができていることを保障するための貴重なデータとなります。

制御のお話し8-0.jpg

左が当社のSX35型と呼んでいるハーフサイズのコントローラー、右がフルサイズのSX36型コントローラーです。両方とも縦寸法が96mm、横寸法がSX35が48mm、SX36が96mmです。

基本的な機能面は同じなので、コンパクトさが重要であればSX35、操作性や表示の見易さを重視するのであればSX36というような選び方をします。制御のお話し8-1.jpg

仮に上記のような表示例で、蒸気を使った加熱制御を行っている場合を想定してみましょう。

設定したSP目的温度(50℃)よりも、PV現在温度(20.8℃)の方が低いので、バルブを今の開度よりも更に開けて蒸気をより多く供給するようにするのがコントローラーの動き(役割)になります。逆に冷却制御であれば、目的温度(50℃)より、現在温度(20.8℃)の方が低いので、冷え過ぎを解消するために、冷却用のバルブを閉めることになります。

このように、目的に応じてコントローラーがバルブを開け閉めするという、極めて重要な役割を担っているのです。

 

また、表示に関していうと、温度センサーの測温抵抗体や熱電対場合には、使用するセンサーの種類と小数点以下を表示する/しないを設定すればOKです。ですが、温度制御以外のトランスミッターを使用する場合は、4~20mA の電流信号になるので、制御対象に応じて表示設定を行うことになります。

例えば、圧力制御でトランスミッターのレンジが 0.00 ~ 1.00MPa の場合には、コントローラーの表示を小数点以下2ケタ表示に設定して、表示レンジを「 0.00 ~ 1.00 」にします。

流量制御であれば、流量計の測定レンジが 0~1,000kg/h であれば、小数点以下を無しにして「 0~1000 」にします。

湿度制御であれば「 0.0~100.0 」%というようにすれば、コントローラーの表示が分かりやすくなります。

 

最新の装置には、コントローラーではなく、タッチパネルを使用したタイプが多く見られるようになってきました。写真は当社製の温水製造ユニットですが、タッチパネルが採用されています。

制御のお話し8-2.jpg

制御のお話し8-3.jpg 

このように、制御はどんどん進化を続けているので、これからが楽しみですね。

 

今回より「制御のお話し」は、おしまいです。

次回は『減圧弁とタービン等による発電後の減圧蒸気の違い』です。ぜひこちらからご覧ください。

制御のお話し 第七回

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制御のお話し_タイトル7.jpg蒸気に関するWebマガジン No.31

◆制御のお話し 第七回

前回は電動式アクチュエーターについて解説しました。

制御対象と目的

何を制御するかで制御名称が決まります。温度を維持したければ温度制御、圧力なら圧力制御になります。

蒸気及び高温水を対象として、制御種類は大きく分けると以下の5種類が考えられます。

制御のお話し7-1_制御対象と目的3.jpg

このように、温度センサー制御に使用する温度センサーの信号を除くと、電流信号である4~20mAが主に使用されており、日本ばかりでなく、世界的に見てもこの傾向は同じと言えます。

 

■温度センサー

蒸気と高温水を温度制御する場合に使用する温度センサーは、「測温抵抗体」と「熱電対」の2つが代表的なものと言えます。

制御のお話し7-1_測温抵抗体.jpg

制御のお話し7-1_測温抵抗体-許容差表.jpg

白金(Pt)は0℃の時に、100Ωの抵抗値が得られ、温度が上昇すると、抵抗値も上昇します。

0℃の時には100Ω、160℃の時には161.05Ω、というように世界統一規格になっているので、海外製品でも日本で問題なく使用できます。

制御のお話し7-1_熱電対.jpg異種金属を先端で溶接し、その先端部の温度が0℃の時に 0mV 、温度が上がれば電圧も増加します。

熱電対は使う金属によって特徴が異なり、以下のような種類があります。↑の写真のものは補償導線の色が茶色なので、Tタイプと判別できます。制御のお話し7-1_熱電対-許容差表.jpg

 

他の 圧力、水位、湿度、流量のトランスミッターは、検知機構はさまざまですが、形状は似たようなものになりますので、ここでは2種類を紹介します。

圧力トランスミッター2.jpg圧力トランスミッター 水位トランスミッター.jpg水位トランスミッター

 

次回は「コントローラー」についてお話しします。

制御のお話し 第六回

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制御のお話し6ー4-3.jpg蒸気に関するWebマガジン No.30

◆制御のお話し 第六回

前回は他力式アクチュエーターについてのお話しでした。

電動式アクチュエーター

電動モーターを動力源として使用し、モーターの横回転をギヤを使って上下動に変えて、バルブを開けたり閉めたりします。 ※上下動でバルブを開閉する点は、空圧式と一緒です。

下図のように、電源の接続の仕方によって、モーターが右回転または左回転します。そのため、空圧式のように用途によってスプリングの位置を変える等の構造を変える必要がなく、加熱用途/冷却用途共に外観の違いはありません。制御のお話し6-3-2.gif

ポテンショメーター・ポジショナーカード.jpg

 

これを比例制御に使用する際には、「ポテンショ・メーター」と「ポジショナー・カード」というものが追加されます。

 

ポテンショ・メーター バルブの開度を抵抗値の変化によって検知する、ボリュームのような抵抗器

ポジショナー・カード 制御信号がバルブの開度と一致するようにモーターを正転、または逆転させる基板

 

 

空圧式と電動式の違いをまとめると、表のようになります。さまざまな要件を検討した上で選択することが重要です。

制御のお話しEL-2.jpg

キャップ3.gif

 

スパイラックス・サーコの電動式アクチュエータの詳細はこちらをご覧ください。

 

次は「制御対象と目的」についてお話しします。

制御のお話し 第五回

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制御のお話し_タイトル5.jpg 蒸気に関するWebマガジン No.29

◆制御のお話し 第五回 

第4回ではアクチュエーターについてお話ししました。

他力式アクチュエーター

バルブを開けたり、閉めたりするのがアクチュエーターであり、前回は自力式の外部の駆動源を必要としないタイプのお話をしました。

今回は他の動力源を必要とする他力式アクチュエーターのお話しをします。他力式の駆動源は、大きく分けると空気式電気式に分かれます。

制御のお話し5-2.jpg

空気式アクチュエーター制御のお話し5-1.jpg

圧搾空気スペースに空気を供給し、スプリングの力を上回るとダイヤフラム部を持ち上げることになるので、連結されているバルブも開いていきます。空気を抜くと、スプリングの力が掛かっているのでダイヤフラム部が下がってくるので、連結されているバルブも閉じていきます。制御のお話し5-3.gif

この圧搾空気スペースの圧力を調整すれば、バルブを比例的に開けたり閉めたりすることができます。

制御のお話し5-4.jpg

駆動源の空気がなくなると、スプリングの力によってバルブが必然的に閉まります。

加熱アプリケーションの際には、アクチュエーターに何らかのトラブルがあった際に、バルブを閉める方が安全性が高くなります。

最近は生産性向上よりも、安全性を向上させる方が優先度が高い傾向にあるので、加熱アプリケーションに広く使用されています。

逆に、冷却アプリケーションの場合、アクチュエーターに何らかのトラブルがあった際に、過冷却になったとしてもバルブを開けている方が安全性が高くなります。したがって、スプリングの位置を逆にして、スプリングの力でバルブを開くようにしたのが、冷却用のアクチュエーターです。制御のお話し第5回.jpg

外観は同じに見えても、スプリングの位置を変えるだけで、動きが逆になる(できる)ので、歴史も長く、幅広い分野で今でも広く使われています。

そして、バルブ開度を正確にコントロールするためのポジショナという機器が搭載されているのが一般的です。

制御のお話し5-6.jpg制御のお話し5-5.jpg

次回は「電動式アクチュエーター」についてお話しします。

制御のお話し 第四回

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制御のお話し_タイトル4.jpg蒸気に関するWebマガジン No.28

◆制御のお話し 第四回 

第3回では時間比例制御についてお話ししました。

アクチュエーター とは?

バルブを開けたり、閉めたりする機構を備えた機器がアクチュエーターです。

バルブを流れる流体(加熱であれば蒸気、冷却であれば冷水)の量を増減させて温度をコントロールしようとするのがアクチュエーターの役割です。

制御のお話し4-1.jpg

大きく分けると2つに大別されます。

1つは自力式と呼ばれる自己完結型のタイプです。次回(第五回)で紹介する、電気や空気という他からの駆動源を必要としないので、据え付けも比較的容易になるため、手軽に使えるというメリットがあります。

設定温度に対して±1℃以内というような、制御精度を厳しく要求されるアプリケーションには使用できませんが、例として"80℃位を維持できれば良い"というようなアプリケーションであれば、適しています。

電機を使わないので、防爆エリアや屋外でも使用できるというメリットもあります。

今回は、この自力式を紹介します。(写真:KA33型温調弁+SA121型アクチュエーター)

制御のお話し4-アクチュエーター_2304修正.gif

制御のお話し4-3.jpg

作動内容を簡単に説明しましょう。

上図のピンク色の部分には、油が封入されています。

タンクの加熱を例にしてみます。

温度感知部内の油が、加熱されていくと膨張していきます。膨張によってプッシュロッドが伸び、バルブ(赤い部分)が上方向に移動することでバルブが閉じていきます。

逆にタンク内の水温が下がれば、油が冷えて体積が減少するので、プッシュロッドもその分下がってバルブが開くのです。

アクチュエーターの動き-加熱用.gifアクチュエーターの動き-冷却用.gif

アクチュエーターは、油の膨張及び収縮による単純な作動しかできないので、バルブの方で加熱または冷却ができるように工夫しています。

自力式アクチュエーターの動きをまとめると、このようになります。 表.jpg

 

次回は、「他力式アクチュエーター」についてお話しします。