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高精度流量計による見える化で25%の使途不明蒸気を特定

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製薬会社/日本

目的:既存渦流量計の老朽更新

ソリューション:管理強化のため場内で使用している可変オリフィス式蒸気流量計ILVAを提案

成果:計測可能な下限流量が大幅に改善、本来の蒸気消費を可視化。25%の使途不明蒸気の特定と共に、省エネルギーのポテンシャルを確認

課題

既設の蒸気流量計は渦式を使用しており、設置から15年以上が経過のため更新を計画。更新は単なる流量検出ではなく、実負荷を正確に把握し管理ツールとして活用するため、従来の流量計に比べて幅広い測定範囲と精度を持つ流量計への更新を検討。

JPL-23-001_CaseStudies - Pharma01_HR-1 のコピー.jpg

ソリューション

従来の渦式から可変オリフィス式のILVA型蒸気流量計を採用。

レンジアビリティ(測定範囲)が20︓1から100︓1へと向上、計測可能な下限流量が240㎏/hから24kg/hに大幅に改善。

ILVA_透明 のコピー.jpg

成果

これまで把握ができていなかった25%の使途不明蒸気を特定。

メインのプロセス停止時に常時200~250kg/h程度蒸気を消費していることを確認。

改善ポイントとして省エネルギーのポテンシャルを確認。

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流量計比較

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更新後の状況

下図はクリックで拡大します。JPL-23-001_CaseStudies - Pharma01_HR-2a.jpg

【蒸気流量計更新後の考察】

25%の使途不明蒸気

メインプロセスがバッチ運転の為、メインプロセス待機時の流量は、運転時の1/10 程度。渦式流量計の下限流量を下回るケースが見られた。また渦式流量計における未計測流量を積算した結果、累積誤差は2,280kg/ 日となり、全体の約25%を締めた。 
* 累積誤差2,280kg/ 日÷全体8,982kg/ 日= 0.253 ≒ 25.3%


放熱抑制による省エネルギーの可能性

メインプロセスは、日中の間に稼働しており、その他の時間は空調機、製品保温等の低圧プロセスが稼働。
低圧プロセス稼働時のみ、蒸気主管を0.8MPaG から0.2MPaG に減圧することで配管の放熱ロスを抑制し約40% 分の放熱蒸気量削減による省エネルギーの可能性あり。

こちらのケーススタディは下記よりダウンロードが可能です!

まとめ

プロセスの完全な制御は精密に測定することから始まります。

生産性、効率性、持続可能性を高めるため、プロセス監査からプログラムの最適化までスパイラックス・サーコはトータルでサポートが可能です。

流量をどの程度正確に測定できるか、スパイラックス・サーコにご相談ください

スパイラックス・サーコの流量計

※ILVA型可変オリフィス式流量計は製品前後のエンジニアリングが必要です。詳細はお問い合わせより連絡いただくか、担当営業までご連絡ください。

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Webinar

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2022年に開催しました蒸気の見える化と活用法のWebinarです。

興味がございましたらぜひお問い合わせください!

CO2 削減に対する意識はこれまで以上に高まっています。蒸気の省エネを推進するにあたりその指標となる計測は必要不可欠です。今回のウェビナーでは蒸気の見える化と活用法と題し、蒸気の見える化の必要性、流量計測のポイント、計測データの活用法についてご紹介致します。
【主な内容】
・蒸気の見える化とは
・流量計測でわかること
・流量計測のポイント
・計測データの活用事例

蒸気配管の内部を見てみよう

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蒸気に関するWebマガジン No.51

蒸気配管の中ってどうなっていると思いますか?

蒸気配管ですから、"蒸気だけが流れている"と思われる方も多いのではないでしょうか?
"蒸気だけが流れている"というのは非常に理想的なのですが、現実ではなかなかそうはいきません。
今回は、蒸気配管の中をのぞきながら、それぞれの流体・物質に対して、適切な解決策を探ってみましょう。

No.51_pipeline.gif

No.51_008Steam.png蒸気

言うまでもありません。でも実は蒸気には「乾き度」と言うものがあります。ひとくちに"蒸気"といっても、配管に流れている蒸気は同じではありません。過熱蒸気なのか飽和蒸気なのかをはじめ、「温度」「圧力」「乾き度」「流速」等いろいろな要素があります。
蒸気を加熱目的で利用するためには、これらの要素が使用するポイントで安定していることが大切です。

No.51_011dran.pngドレン

蒸気発生時点での浮遊する水であったり放熱等で蒸気が水に凝縮してしまったものを「ドレン」や「凝縮水」と呼びます。過熱蒸気でない限りはボイラーでの蒸気発生時点でも100% 乾き度の蒸気というのは、まずありえません。そのためドレンは蒸気配管には少なからず存在します。
そしてこのドレンが「蒸気は難しい」といわれる代表的な原因といえるでしょう。
ドレンによる「浸食」や「ウォーターハンマー」は蒸気の設備の運営において、保守や安全性に大きく影響を与えます。ドレンの適切な除去は蒸気エンジニアリングにおける大きな一つのテーマといえます。

No.51_010air.png空気

空気を代表する非圧縮性ガスと呼ばれる気体は非常に優秀な断熱材です。
ただし、加熱を行う上では加熱時間、温度の安定やムラや配管の腐食等、蒸気配管にとってのメリットはないといえるでしょう。24 時間運転の工場ならともかく、毎日や週末に蒸気設備を停止する工場では、フランジの隙間などからの空気の混入を防ぐのは困難です。

No.51_009ibutsu.png異物

錆、スケールや金属くずといった固形物は配管を施工するうえで排除しきるのは困難でしょう。ストレーナを詰まらせることにより圧力が低くなってしまったり、制御機器にかみ込んでしまうことによって機器の故障につながります。

今回の関連事項を少しだけまとめました。

No.51_007hyo.png

如何でしたか?蒸気配管の中身は、一様な蒸気だけではありません。配管方法や適切な機器を設置して、配管の環境を整えることで、問題解決につながります。詳しくはお近くのスパイラックス・サーコのエンジニアまでご相談ください。

次回は『スチームオペレーション』です。

過熱蒸気は使えない?

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蒸気に関するWebマガジン No.50

普段は"蒸気"という言葉でひとくくりにされていますが、"過熱蒸気"と"飽和蒸気"という2種類の蒸気があることはご存知ですか? 2つの蒸気は特性の違いから、発電設備等では"過熱蒸気"が、熱利用する施設では"飽和蒸気"が多く利用されています。

排熱ボイラーや発電設備で副次的に生成された過熱蒸気は加熱媒体としては飽和蒸気に劣りますが、幾つかのメリットがあります。

過熱蒸気から飽和蒸気に


過熱蒸気から飽和蒸気に調整するシステムを 減温システム といいます。
過熱蒸気は飽和蒸気より更に熱エネルギーを保有している蒸気です。そのため、過熱蒸気に水を混ぜることにより、飽和蒸気へと調整することができるのです。
ただし、蒸気の理想配管では蒸気(気体)とドレン(液体)が同時に存在することを嫌います。ですので、飽和蒸気より少し過熱されている程度の過熱蒸気へと調整します。
こうすることによって、熱利用設備で利用しやすい飽和蒸気に調整され、熱利用が可能になります。

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クリックで拡大します。

過熱蒸気と飽和蒸気の使い分け


過熱蒸気と飽和蒸気はそれぞれメリット・デメリットが存在します。
また、過熱蒸気は動力や移送に、飽和蒸気は熱利用に――各工場での最適な使い方は異なりますので、工場の生産、安全、保守、省エネ等を考慮したうえで、最適な蒸気システムを組むことが大切です。

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スパイラックス・サーコでは過熱蒸気に低圧蒸気を混ぜて中圧蒸気にする減温器をご用意しております。

製品詳細はこちらから。

次回は『蒸気配管の内部を見てみよう』です。ぜひご覧ください。

蒸気見える化の落とし穴 第2回

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蒸気に関するWebマガジン No.49

液体や圧搾空気などでは正確に計測できる流量計で蒸気流量を計測すると、途端に精度が低下するケース見受けられます。このことを理解するには流量計の作動原理だけではなく、配管内の蒸気の流れ状態を正しく理解する必要があります。

◆蒸気の流れ状態

蒸気はボイラから発生して蒸気主管に入ります。最初、配管は冷たく蒸気の熱が配管へと伝わり直ちに凝縮し始めます。 運転開始時には、配管を加熱するために蒸気のエネルギーが使われますので、生じるドレン量は最大になります。配管が加熱された後も配管からの放熱があるため蒸気の凝縮は起こります。したがって配管中を流れる蒸気は気体(蒸気)と液体(ドレン)からなる気液2相の流れとなるのです。その気体と液体の度合いによって、当社では下図のように4種の流れ状態に別けています。

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(1) 「塊状流」は、ドレンの発生量が多く蒸気の流速に押されて塊になっています。丁度、風が強いときに水面に波打つ 現象と同じです。この場合、この塊が蒸気流速と同じ速さになるためウォーターハンマーを引き起こし、強い衝撃波を生じます。これにより配管上の流量計や各種センサー、バルブ類に大きな損傷をもたらします。

(2) 「環状流」は、管壁の環状の水膜と中心部の蒸気の部分からなります。管壁の水膜はスパイラル状に回転しながら流れ、この回転による遠心力で管壁に付着しているものと考えられます。

(3)「環状散乱流」は、湿り飽和蒸気の代表的な流れです。環状流に似ていますが気相に浮遊する水滴状態の水分も含まれています。

(4)「散乱流」は水分が浮遊する水滴状態の流れで乾き度の高い蒸気の流れです。

◆汽水分離器(セパレータ)の役割

実際の蒸気計測において流量計を通過する蒸気は乾き飽和蒸気ではなく湿り蒸気の場合がほとんどです。下に汽水分離器の作動原理を示します。汽水分離器は配管壁を流れるドレンと蒸気流速に近いスピードで飛んでいる霧状の水分との両方を除去し、乾き度を向上させる機能です。よって、蒸気流量計の上流側に設置し、乾き度を一定に保つことにより、計測精度を向上させるためには必須の機器といえます。

No.49_zu2.jpg

スパイラックス・サーコのセパレータはこちらのページで確認できます。

次回は過熱蒸気は使えない?です。

蒸気の見える化の落とし穴 第1回

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蒸気に関するWebマガジン No.48

省エネには計測、つまり「見える化」が必須

business_think.gif蒸気の見える化に使われているのは「蒸気流量計」です。しかし、使用されているユーザーの方々からは
・蒸気流量計は精度が悪く役に立たない!
・蒸気流量計の蒸気量とボイラの給水量が合わない!
・蒸気流量計は目安にしかならないのに高すぎる!
・蒸気が流れているのに計測しない!
等の厳しいご意見を頂くこともあるのです。
皆さんは心当たりはありますか?
実は、これらは単に蒸気流量計の精度や計測原理の問題だけではないのです。蒸気の基本性質を十分に配慮した施工やシステムが構築されているかどうかによって、精度に大きな差異が生じることに起因しているのです。


◆正確な蒸気流量計測に必要な機能

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ここからは専門的な解説になります。
蒸気流量を正確に計測するには、何が必要でしょうか。それは蒸気の負荷変動を最大流量から最小流量まで捕捉することです。そのためには蒸気流量計の必須項目として下記の機能が言えます。
① 低流速でも計測できる十分な感度をもつこと
② 計測範囲において高い精度を維持すること
③ レンジアビリティが広いこと
④ リアルタイムで比容積補正をおこなうこと
⑤ 蒸気の乾き度による流量補正を行うこと
など、ハードはもちろんのこと、ソフト的な機能を必要としています。これらのいずれが欠けても蒸気流量を正確には計測することはできないのです。

① 優れた低流速計測性能

蒸気流量計には種類があるが、「可変オリフィス式蒸気流量計」は優れた低流速計測能力を持った製品です。
ここで可変オリフィス式と渦式の低流速域における計測性能の比較を見てみましょう。図1の条件下では、渦式流量計の計測限界はおよそ2.8m/sです。これらの差は、可変オリフィス式が可動コーンをもつことにより最適な位置で差圧を計測する方式であるのに対して、渦式流量計の場合はカルマン渦による流速換算のベースとなるストローハル数と呼ばれる常数が低流速域では一定でなくなってくることによるものと考えられます。


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② レンジアビリティと測定誤差

「レンジアビリティ」は流量計の性能を表す代表的な尺度です。なぜなら、測定誤差と密接に絡んでいるからです。
図2をご覧ください。このグラフは、蒸気システムのスタートアップ時には蒸気量が最大になり、定常運転に入ってからは装置側の負荷に応じて変化する、という経過を示したものです。従って蒸気流量計はこれらの最大値から最小値までの大きな変化を計測しなければなりません。例えば可変オリフィス式を最大流量時に1,000kg/hのラインに使用したと考えると、レンジアビリティは100:1のため下限の最小計測値は10kg/hとなります。一方このラインにオリフィス式流量計を用いたとすると、レンジアビリティが4:1のため最小計測値が250kg/hとなり、この値以下のデータは全て0kg/hと見なされ、時間経過と共に測定誤差として累積されてしまうのです。

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③ 各種流量計のレンジアビリティ比較

各種流量計のレンジアビリティの比較を図3にまとめました。この図では蒸気流速を代表的な実用流速である35m/s時を基準にして比較しています。この場合、渦式流量計はレンジアビリティが12:1程度です。

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次回は配管内の蒸気の流れ状態を正しく理解するために蒸気の流れ状態と汽水分離機(セパレータ)について解説します。