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スチームトラップの種類#01 温調式

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Temperature adjustment_sxs00.jpg蒸気に関するWebマガジン No.7

スチームトラップは温調式、機械式、熱力学式の3つに分けられます。

今回はこの中の温調式スチームトラップの動作、メリット/デメリットについて解説します。

◆温調式スチームトラップ

温調式スチームトラップは流体の温度変化によって動作します。

飽和蒸気の温度は圧力によって決まります。蒸気スペースでは、蒸気が蒸発エンタルピー(熱)を排出することにより、蒸気温度のドレンが形成されます。さらに熱が失われることによって、結果的にドレンの温度が下がります。このタイプのスチームトラップは、この温度低下を感知してドレンを通過させます。蒸気がトラップに到達すると、温度が上がりトラップが閉まります。

温調式スチームトラップには3種類あります。

-液体膨張式
-バランスプレッシャー式
-バイメタル式

◆液体膨張式

Temperature adjustment_sxs01.jpgこれはもっとも単純な温調式トラップの一種です。加熱された油入エレメントが膨張し、ドレンの流出をストップします。

Temperature adjustment_sxs04.jpg

メリット

デメリット

低温で排出できる。

100℃以下のドレンを排出するので、蒸気スペースからの迅速な排出はできない。

始動時に完全開弁し、空気を排出し、最大のドレン排出容量を確保できる。

通常は並列作動する別のトラップを必要とする。通常、単独では使用しない。

振動・ウォーターハンマーなどに耐性あり。

凍結条件にさらされる場合には、保温が必要。

◆バランスプレッシャー式

Temperature adjustment_sxs02.jpg

このトラップは、液体膨張式に大幅な改善を加えたものです。沸点が水より低くなるように特殊な液体と水の混合物を入れたカプセルが周りの蒸気圧によって作動します。

Temperature adjustment_sxs05.jpg

メリット

デメリット

小さく軽量で、サイズの割に容量が大きい。

腐食性ドレンやウォーターハンマーによる破損に弱い傾向がある。(ベローズが内蔵されているトラップのみ)

始動時に完全開弁し、空気を排出し、最大のドレン排出容量を確保できる。

飽和温度以下まで下がらないと開弁しないため、蒸気スペースからの迅速な排出はできない。

トラップのメンテナンスが容易。

-

凍結の心配が少ない。

-

◆バイメタル式

Temperature adjustment_sxs03.jpg

2枚の異種金属片を一つのエレメントに溶接したバイメタル式エレメントが温度に反応してドレンの流出をストップします。

Temperature adjustment_sxs06.jpg

メリット

デメリット

小型であるが大容量に対応可能。

広い範囲の蒸気圧で動作するため、オリフィスのサイズを変える必要がない。

100℃以下のドレンを排出するので、蒸気スペースからの迅速な排出はできない。

始動時に完全開弁し、空気を排出し、最大のドレン排出容量を確保できる。

エレメントの反応が遅いため、負荷や圧力の変化に迅速に対応できない。

凍結の心配が少ない。

冷却レグの延長が必要になる場合がある。

背圧の軽減に有効。

配管汚れの詰まりに弱い物がある。


スチームトラップの種類、温調式はいかがでしょうか。下記のページで機械式と熱力学式について説明しています。ぜひこちらもご覧ください。

スチームトラップの種類 機械式(フロート式、バケット式)

スチームトラップの種類 熱力学式(ディスク式など)